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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
57/83

第57話 手繰り寄せた残糸

投稿遅れて申し訳ありません!

それではどうぞ!

ジェニー討伐後、征魔士達はエリア5に戻り勝利の喜びに浸る暇もなく、怪我人の手当に追われていた。


「毒くらった人ー? 解毒剤持ってくから手挙げてー!」


白鳩と桐原を中心に巣の封印で負傷した征魔士に回復魔法を施している中、エリア5で戦っていた四人はジェニーの亡骸を調べていた。


「にしても派手にやったわね‥‥叶夢?」


ベロニカが後ろを向き叶夢を見るが、叶夢は倒れたまま動かなかった。


「魔力切れで動けねえ‥‥」


叶夢は掠れ気味の声で返事をかえす。肉体損傷こそ、魔族の再生力によって異常なスピードで治癒されていたが体力や気力の疲労は治る事がなかった。


「あんまり無理すんなよ。あの状態で倒しただけでもお前は十分よくやった」


「朔夜が褒めてくれるのか‥‥なんか変なもん食ったか? それともジェニーの毒がまだ残ってるのか?」


「人が素直に褒めてやったのにその態度はなんだよ‥‥」


「むしろ俺がお前に感謝する方だろ。サンキューな朔夜。あの雷撃が無かったら詰んでた」


「なになにあんたら。何処でそんな素直な感謝覚えたの? 昔だったら絶対言わなかったわよね?」


「うるせえ‥朔夜。褒めたんだからちょっと肩借せ」


「なんだよ、まだあの死体に用事でもあんのか?」


「あぁ、ちょっとな‥」


朔夜は言われるがまま叶夢を竜の死体の元に連れていく。


「ここの竜の首は‥‥無いな。となるとやっぱり‥」


叶夢は竜の前に来るや否や、何かを探し始めた。そしてある部分を注視し、何かを見つけると刀を持ち近づく。


「お前何探してんだ?」


「ジェニーの人間態。食われはしたがまだ胃に一部が残ってるから取り出そうとな‥」


「なんで見えるんですかそんなの‥」


千夜は引きながら叶夢に聞く。叶夢は神具発動時の黄色い虎の目を千夜に向けて答えた。


「俺の神具だよ‥こいつは魔力回路を見て魔法をコピーする。その副産物で生物のどこに魔力回路が通ってんのがか見えるんだ。そしてその目で胸をちょっと見たら魔力回路が以上に密集してる箇所があった」


「つまり?」


「ここに溶けかけのジェニーがいるってことだ」


叶夢は紅祟を竜の首の付け根に突き立てて、胃の近くまで道を通す。既に生命活動が制止している竜の遺体からは勢い良く血が吹きでることも無かったが、それでもその返り血は叶夢の顔を赤く塗っていった。


「おえ‥」


千夜はその惨状に口を抑えて、目を背ける。


「よし胃袋‥‥臭いな」


叶夢が竜の胃袋を外にさらけ出す。そこには巨大な蜘蛛の足や、溶けかけのスパイダーデビルの死体があった。


「マジで臭すぎるんですけど! 叶夢、しばらくあたし達に近づかないでよ!?」


「はいはい‥あとでハグしてやるよベロニカ」


「いや叶夢。こいつマジで言ってるからな? ベロニカに関しては珍しく嫌がってるからな?」


「そんなに臭いかよ‥‥よしいた!」


叶夢が取り出した蜘蛛の脚を胃の中に突っ込み、胃液の中を掻き分けてジェニーの遺体を取り出す。


「で‥この死体をどうするんだ?」


「鼻つまみながら聞くなよ‥まぁ見てろ」


叶夢は外に出したジェニーの頭を鷲掴みにして、魔力回路をジェニーに伸ばした。


「何やってんだよお前は‥」


「俺の神具の裏技みたいな使い方だよ」


魔力回路が頭部にある程度回ったあと、叶夢を金槌で殴られたような頭痛が襲う。痛みに顔を歪ませながら、叶夢は自らの脳に流れ込んだジェニーの記憶を盗み見る。


(やっぱり‥こいつはサクリファイスに改造された魔族‥‥そんで、今喋ってるのがサクリファイスか‥)


叶夢がみたのは、顔いっぱいに迫った床のタイルだった。そしてその上から合成音声のような声が聞こえていた。


(なんか必死に命乞いしてんな‥‥)


叶夢は苦痛に耐えながらも、上からの声に耳を傾ける。


「‥‥解ッテイルナ? 失敗ハ 一度 モ 許サレナイ。モシ 私ノ 正体 ガ 知ラレル 様ナラ‥‥貴様 ノ 命 ハ 無イト 思エ」


「は、はい!! 了解致しました! 必ずやゼルリッチの魔子を殲滅し、その首を貴方の元に届けてみせます!」


(やっぱり俺らは殲滅対象か‥‥となるとこいつは誰だ? ゼルリッチの関係者だってのは確定なんだが‥‥)


「大シテ 期待ハシテイナイ。‥ガ、モシ ソノ言葉ガ真実ニナルヨウナラ、『ロシア』ニ来イ。ソコデ 首 ヲ 確認スル」


「かしこまりました!」


声の主の立ち去る足音にジェニーは表を上げることなく、部屋を出ていく所で記憶が途切れた。


「‥‥なるほどな」


「何したんだよ叶夢。というか大丈夫か? なんか苦しみまくってたが‥」


叶夢は額に出た脂汗を拭う。


「神具使ってこの肉塊の記憶を盗み見た」


「お前の神具の裏技でか?」


「そう‥‥俺の神具が魔法のコピーに必要なのは二つ。

1.魔力回路がどこに魔力を流れて。

2.相手がどういう動作で魔法を撃ってるか。

この二点だ」


「それでどうやって記憶を読み取れるようになるんですか?」


「普通の奴ならこの二つが揃ってなきゃ、魔法をコピーしようなんて考えない。だが俺のモンテ・クリストは違う。融合係数が高くなっちまったが故に発想が俺に寄っちまったんだよ‥」


「発想が叶夢‥」


「無けりゃ無理やり引き摺り出す。人の脳に魔力回路を繋げて記憶を盗み見るときだってある」


「えげつないわね‥それで何か分かったの?」


「サクリファイスの場所を突き止めた」


「マジですか!?」


「あぁ。ジェニーの記憶から、俺たちを襲う前と思われる記憶を見た」


「サクリファイスは? どんな面してた?」


朔夜が叶夢に詰め寄る。


「姿は確認できなかった。ただ、あいつはこう言った。『ロシアで待ってる』って」


「‥‥まじか」


「となると‥」


叶夢の発言に朔夜とベロニカは頭を抱えた。


「なんだよ二人とも、その反応は」


「‥‥いや何でもな」


目を逸らした朔夜の携帯にタイミング良く電話がかかって来た。


「はい、朔夜です」


『こちら白鳩。そっちの四人は無事?』


「まぁ何とか‥叶夢も普通に動けてはいるみたいですし」


『それは良かった‥ある程度用事が済んだならこっちに戻ってきて。任務の終了手続き、今日中に終わらせて早く帰るよ』


「了解です」


朔夜が電話を切り、再び叶夢の方を見る。叶夢は千夜に連れられ先に拠点への帰り道を歩いていた。


「朔夜」


「なんだよベロニカ。お前にしてはらしくない顔してんな」


朔夜が叶夢達を追いかけようと足を進めると、ベロニカが不安そうな顔で朔夜を呼び止める。


「叶夢の情報によれば、サクリファイスが向かったのがロシア‥‥てことは」


「あぁ、アイツがいる。今一番叶夢が会っちゃいけない奴がな」


「あんたも会いたくないでしょ?」


「あぁ、あれは俺がいちばん嫌いなタイプだからな。たとえ支部長命令でも着いていくつもりは無い」


朔夜とベロニカが想像していた人物はただ一人。それはベロニカに不安を覚えさせ、朔夜に叶夢以上の嫌悪感を思わせる程の人物であった。


「おーい! 二人で何話してんだよー?」


後ろを向いた叶夢が二人を呼びながら、駆け寄って来た。


「どうするの? 叶夢に言うの?」


「後で言っとく‥何でもねーよ!」


朔夜とベロニカは叶夢に向かってそう叫ぶと、四人で拠点までの帰路についた。


ーーーーー


「と、ここまでが任務の記録です」


『なるほどなるほど‥魔族が変異ねぇ‥』


帰りのヘリコプターの中で、白鳩と叶夢はリアムとテレビ通話を繋げて、任務の報告を行っていた。


『にしてもすごいね。超魔族を制御したなんて』


「確かにその件に関しては僕も詳しく聞きたいね。どんな感覚だったの?」


「どんな感覚って‥まぁ、普段よりは強くなってた。あと余計な魔力が刀に行ってくれたお陰で魔法も強化されてたし‥あの調整ほんと助かりましたよ。リアムさん」


『あはは、僕そんな使い方考えてなかったんだけどね。でも面白いデータが出たんだからそれは何よりさ』


「もしかして、いつか叶夢くんが超魔族を制御できるかもしれないってことですか?」


『あくまで可能性さ。その紅祟はまだ調整段階で渡してるからこそ、その性能に設定している。ただ、今回の叶夢くんの使い方を聞くと、叶夢くんの手に完全に馴染む前に破損しそうで怖いんだよね‥』


「すいません‥」


『割と扱いには気を付けてね。それ壊したら次の作るのに一年は確実にかかるから』


「「一年!?」」


二人は声を揃えて驚く。リアムは耳を塞ぎながら二人を笑った。


『さっきも言ったけど今回はあくまで試作してみた一本だ。その分素材とかケチらずに使ったら思ったよりコストかかっちゃってね。手元にあった魔煌石まこうせき全部なくなっちゃったんだよ』


「あの‥ひとつ聞きたいんですけど、魔煌石ってその性質上結構値段するんじゃ無かったでしたっけ?」


『白鳩ご名答! 実は紅祟にかかった費用だけで四百年近くは贅沢し放題で過ごせるし、最新の戦闘機に至っては二桁ギリギリまで買えますので』


「はあああああ!? あんた、なんで俺の刀そんなブルジョワにしてんだよ!? 使いずらいわ馬鹿野郎!」


叶夢の刀を握る手が震え始めた。


『あぁ大丈夫だよ! 耐久性には優れてるから! 核にも耐えれる豪華仕様!』


「よく分からないけど、すごい頑丈なんですね‥」


『‥余計なさてさて、話は戻るけど』


リアムは咳払いをして脱線した話を戻す。


『改めて任務お疲れ様。さすが頼光が認めた征魔士達だ。報酬も楽しみにしててね』


「あの話聞いた後にお金の話されると、こっちの心が痛くなるんですが‥‥叶夢くん、大事に使いなよ? それ」


「‥既に今日刀に落雷させたりしちゃったんだけど俺‥」


『お、通信来た。それじゃみんなまたあとで〜』


リアムは二人の通信を切断した後、座った椅子を回して外を見る。窓の外はオレンジ色の空が広がっており、モニターの光よりも優しい光がリアムの目を休ませていた。


「‥‥だってよ。良かったね頼光よりみつ


『悪いな、わざわざ盗み聞き黙ってもらって』


つきっぱなしのモニターには、不安そうな頼光の顔が映っていた。


「別にいいさ。子供は親がいない方が弁舌に話すからね」


『誰が父親だ。第一、俺の子供はそんなにグレてねえよ』


「ちゃんと顔ぐらいは見せておきなよ? 子供はいつどうなるか分からないんだから」


『あぁわかった‥じゃなくて! サクリファイスの件だ!』


「そうだね‥話は聞いての通りさ。あいつは運がいいのか悪いのか‥ロシアにいるって言った」


征魔連合軍ウィザード・チャリオッツロシア支部‥なるほど、そらか』


「報告も兼ねて通信を繋げてる途中さ‥‥お、繋がった繋がった」


リアムのモニターの通信画面にアイコンが一つ増える。


「やっほー久しぶり! 去年の十二会議以来かな? 十二帝の一人、炎帝 焔原ほむらばら そらくん?」


『‥相変わらずクソうるせえ奴だな。リアム』


リアムの軽快な挨拶に、気だるげな低い声が返ってくる。テレビ通話の画面に映ったのは赤のメッシュが入った長めの茶髪に、オレンジ色の瞳を持った男性の顔だった。


『お前こそ随分と疲れてんな。空』


『今日も魔子まごの後始末があったんだよ‥‥いいよな、お前らのとこ大人しくて』


『そうでもない、俺はつい最近ヤンチャな奴が増えて大変だ』


『そうか‥‥紅い死神引き入れたんだっけな』


「さて 空、本題に入っていいかい?」


リアムは咳払いをして、空に話しかける。


『あぁ、そういやそうだな。世間話する為に俺を呼んだって訳じゃ無いだろ?』


「勿論、結論から言っちゃうとサクリファイスがそっちに逃げた」


『ほう? 詳しく聞かせろ』


リアムは叶夢からの通信での報告を数十分かけて、空に伝えた。


『‥あっはははははは! なんだよそれ! おもしれえなその任務話! お前風に言うなら小説一つ書けるぜ! あっはははははは!』


「よく笑えるよね君‥結構ピンチなんじゃないの?」


『何言ってんだ。獲物がわざわざこのロシアに来てくれたんだぜ? この大地に足を踏み入れた事を後悔させてやるよ‥』


「空らしい解答こたえだね‥‥魔子以外に戦力でもあるみたいに」


『丁度利用しがいのある奴がロシアに来ててな‥ほんとつくづくタイミングが悪いやつだぜサクリファイス』


『その口振り、フリーの征魔士でも雇ったのか?』


『雇ったっつーか‥‥丁度今居座ってるんだよ』


「へぇ‥どんなやつ? 僕の知ってる人?」


空は目の前のソファでいびきをかいて寝る一人の征魔士を見ながら、少し笑って答えた。


『まぁ知ってる奴だな』


『うーん‥‥誰だ? クロサキあたりか?』


『あんな気味の悪いやつここに入れるわけないだろ‥』


「じゃあ‥蛇之原じゃのはら 狩耶かりやくん?」


『正解だ。ただいまぐっすり熟睡してやがるよ』


「相変わらずだねえ」


リアムは勝手の仲間が揃った感覚に、懐かしさと嬉しさの混じった声を漏らす。


『ともかくだ。サクリファイスの件に関してだが、本部の方には俺から連絡する。サクリファイスの討伐に向けて支部同士でも連携しながら進めてくぞ』


「はーい。お願いしたよ頼光」


『それじゃ俺は落ちる。叶夢達の帰り道頼んだぞ』


通話の画面から神座のアイコンが消える。


「そういやさ。空のところの魔子ってどんなやつ?」


『唐突だな?‥‥まぁ性格は最悪だ。実力があり過ぎる分尚更な』


「でも彼が来てからロシア支部の成果もだいぶ上がってきてるじゃん?」


『その結果が奴の性格をさらに酷くしてる。あの結果はほとんどが命令に背いた独断行動でやらかしたもんだからな』


「空の言うことも聞かないなんて、かなりヤンチャだなあ‥よく引き入れたねそんな人」


『引き入れること自体は簡単だったんだ‥ある条件を飲んだおかげでな』


「‥なるほど、叶夢くんの首か」


『あいつ相当恨まれてるな‥‥俺が勝手に言い出した事とはいえ、ロシアに来て大丈夫どころか会わせるのも危険そうだ』


「色々そこも考えないとね‥お、噂をすれば帰ってきたみたいだ。僕はお迎えに行ってくるよ」


『あぁ、わかっ』


空の了承の声は、ノイズと共に消える。リアムは何かを察してクスッと笑い、部屋を後にした。


ーーーーー


「‥‥人が思い出話に花を咲かせている時に、何の用だ。ゼノン・・・


場所は変わり、征魔連合軍ロシア支部 支部長室。空の正面にあった入口のドアは熱を帯びた刃物のようなもので斬られた事により、切断面がオレンジ色に染まっていた。


「‥懐かしい名前が聞こえたんでな。忌々しいクソ野郎の名前が」


空の前に立っていたのは、柘榴ざくろのように赤い髪を持ちながらも、その目は髪色とは真逆のコバルト色をし、制服の上に黒く長いコートを羽織った青年。ゼノン・マクスウェル だった。


「気のせいだろ。お前には関係ない」


「関係無いって事は無いだろ。そういう契約だ。叶夢がここに来るんだよな? なら殺していいんだよなァ!」


ゼノンは右手に持った自らの武器である大鎌の刃先を片手で振り下ろして床に叩き付ける。その破壊音から、常人では考えられない程の重さのするものであったが、それをゼノンはあろう事か右腕一本で保持していた。


「物壊さなきゃ話せねえのかお前は‥」


「わりぃわりぃ‥久々に嬉しい報告だったからさァ。それで、いつ来ンだよ? 明日か? 明後日か? 一週間後か? いつでも予定空けとかないとなァ‥‥」


「何や‥随分と騒がしいなぁ‥」


一連の物音にソファで寝ていた紫色の目を持った男が目を覚ます。


「起きたのか、蛇之原」


「おはようさん、空。そりゃ、あんだけ物音起こされたら、寝れるもんも寝れへんわ」


その関西弁を話す男は身体を少し伸ばすと、背中まである長い黒髪を後ろで一つ結びにして、ゆっくりソファから立ち上がる。


「なんやゼノンくん。偉いご機嫌やね?」


「あぁ、当然だ。何せ俺が殺したかった相手がようやく目の前に現れてくれたんだからな」


「‥とにかく部屋に戻れ。作戦内容は決まり次第伝える」


「おうよ。出来るだけ早めにな」


そう言うとゼノンは鎌を背中に戻して、扉の残骸を一蹴して破壊し、部屋を後にした。


「いやはや、ゼノンくんがあんな前のめりなるのも珍しいこっちゃね。空くんによう似とるわ‥」


「俺はあんなに酷くねえよ‥‥なんであのクソガキ拾っちまったんだ俺」


空は机の上で頭を抱える。


「‥そういや会話は聞いてたか?」


「勿論、聞いとったで。サクリファイスの討滅やろ?」


「他の支部との連携もあるから、尚更ゼノンが心配なんだよ‥」


「そりゃそうやろな。でも今はそんな事気にしとる暇無さそうやけどな」


「サクリファイスが動くってことか?」


「いいや、あいつはロシアからしばらく‥‥二ヶ月近くは動けへんはずや」


「なぜ言い切れる?」


「ここを何処だと思っとるん? 極寒の地ロシアやで? 国の面積が広い分、どこに行ったか分からへんし、凍った土地にでも行けば人は確実に寄り付けんからな」


「確かに‥」


「それに‥」


「それに?」


蛇之原は携帯に手を伸ばすと、とあるメッセージを打ち込んで、それを誰かに送信する。


「突然、誰に連絡した?」


「頼光や。ほれ内容」


蛇之原は携帯を空に向けて投げる。空は慌て気味にそれを受け取り、メッセージ画面を見る。


「ッ!?」


空は自らの目を疑う。それの様子を見た蛇之原はクスリと笑う。


「おいこれって! 本当なのか!?」


「本当や。そもそも俺はこれを伝える為に、ここに来たんやから」


蛇之原が渡した携帯の画面には無機質な文字列でこう紡がれていた。


『日本支部にサクリファイスの内通者がいる』

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