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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
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58/83

第58話 人狼は誰だ

2ヶ月近くの更新停止申し訳ありませんでした!

ここから徐々に更新ペースを上げていきますので!

ではどうぞ!

ジェニー討伐から一週間。日本支部の一部の征魔士は重苦しい雰囲気を漂わせていた。本だらけの朔夜の部屋を尋ねていた白銀とアレックスもその雰囲気に飲まれていた。


「何ですかそのしけた面」


「朔夜、あのメッセージ見てないのか‥」


「あぁ、内通者の件ですか。それでなんで俺を?」


「天才的な頭脳を持つ君なら、もう内通者が分かってるのかなって隊長が」


「さすがに俺を過大評価しすぎですよ‥俺は名探偵じゃないんですから‥俺の答えを待たなくてもどうせ今日の緊急会議で明らかになりますよ」


「だといいんだが‥」


「緊急の10小隊会議‥今回も第4小隊と第6小隊、第7小隊は欠席なんだよね? 今いない彼らの方が怪しいんじゃ‥」


「そういや、白銀先輩。何で今うちの支部って第2、第3、第4、第6、第7がいないんですか?」


「彼らは俺らみたいにここ近辺じゃなくて、東北や九州。あまりにも距離が離れすぎてる場所を専門にやってるんだ。今回はその第4、第6、第7を残して第2、第3が来てるってわけ。もうそろそろ来るはずなんだが‥」


白銀はそう言いながら自らの携帯を確認する。


「‥そろそろ時間だ。俺たちも向かうぞ」


「待ってください白銀先輩」


背を向けた白銀を朔夜が呼び止める。


「今回の会議。先輩に頼みたいことがあるんです」


「頼み事?」


「ちょっとルール違反するので、それに協力して貰えますか?」


「‥‥は?」


白銀の呆気に取られた顔に対して、アレックスは驚く様子もなく、分かりきった上での苦笑いを朔夜に返した。


「あー、ほんとにやるんだね‥」


「ルール違反って‥俺にまで責任行くんじゃないだろうな?」


「それは無いです。怒られるのはアレックスと俺だけにとどめるようにしますから」


「‥まぁ、それなら」


白銀は渋々、朔夜の話に耳を傾けた。


ーーーーー


「あ、来たきた。おーい竜次〜」


征魔連合軍 日本支部 中央会議室。外からの侵入対策として窓もなく、明かりも長机に備え付けられた青いネオンライトのみのその暗い部屋には、金丸(かねまる) 翔真(しょうま) 司馬(しば) 龍之介(りゅうのすけ)繰実沢(くるみざわ) 骸(むくろ) の三人の姿があった。


「よーっす。みんな早いな」


「‥三分前に来るやつが言う事か。それ」


「龍之介の言う通りよ。それにさらっと遅刻してくる後輩はなんかあたし達に弁明は無いわけ?」


「チッ‥言わなきゃバレないと思ったのに‥」


白銀の後ろに隠れるように入室した朔夜を、骸は見逃さなかった。


「まぁまぁ、骸もそんなカリカリしないで。というか二人が一緒って珍しいね」


「たまたま一緒になっただけさ」


「先輩方、おはようです」


会話の中にアレックスが紛れる。


「おぉアレックスくんじゃん。君も来たんだ」


「ええ、隊長に無理言って連れてきてもらったんです」


「へぇ‥ねぇアレックスくん」


翔真はアレックスの肩に手を置いて、わずかに口を動かす。


「ルール違反も程々にね」


「‥!」


アレックスは謎の悪寒を覚えながら、翔真の顔を見る。翔真は軽く笑みを返して席に着いた。


(何だろう‥この違和感‥まさか)


「なんだろうなあの顔。いつも不気味な人だけど、今日に限って色んな感情が混ざってる」


「考え過ぎだよね‥まさか」


「あの人も複雑な心境なんだろうな‥さてそろそろ会議が始まる。お前も準備しろ」


「うん‥」


そう言うと朔夜は席に着く。アレックスも席に着くとすぐに持ってきたノートパソコンを開いた。


「全員、席に着いたなー?」


「支部長が遅刻ってどういうことですか‥」


会議開始時間になり、ようやく神座が部屋に現れる。外の光が漏れた入り口には神座の後ろに二人の影があった。


「こいつら迎えにいってたんだから仕方ないだろ。ほら入れ、司(つかさ) 櫂(かい)」


神座に言われるままに二人は会議室に入る。一人は黒髪に紫色のメッシュを入れ、耳にピアスをした青年。もう一人は黒髪に十字架のネックレスをした穏やかな顔をした青年だった。


「遅れてしまって申し訳ありません。そしてみんな元気そうでなによりです」


十字架のネックレスをした青年が、口を開く。


「んだよ‥なんか見慣れねえヤツもいんな」


「おや、その席は‥白鳩くんでは無いのですか?」


「白鳩は色々あって第1降りた。今は最近入ったあいつが第1小隊の隊長ってわけだ」


青年の疑問に神座が答える。朔夜は神座の発言が終わると、起立して二人に向き直った。


「現 第1小隊隊長、出雲 朔夜です」


「私は司。第2小隊隊長。神宮寺(じんぐうじ) 司(つかさ)と申します。そして私の隣にいるのが第3小隊隊長 阿原(あばら) 櫂(かい)です。以後お見知り置きを」


「よろしくお願いします。神宮寺先輩に阿原先輩」


「よし自己紹介も済んだし、早速始めるぞ」


司と櫂が席につくのを確認した神座は一番奥の支部長用の席についた。同時にそれが会議開始の合図でもあった。


「これより緊急会議を始める。今回の議題だがみんなに告げた通りだ」


「サクリファイスの内通者‥ですか」


「その情報は確かなんですか?」


骸が疑問を投げかける。神座は頭を抱えながら骸に同情するように口を開いた。


「まぁ伝えてくれたやつがやつだからな‥」


「支部長。質問よろしいでしょうか?」


「あぁ、いいぞ司」


「そもそもその情報は誰から得たものなのですか? まさか詳細不明の野良の征魔士からでは?」


「詳細不明とか疑わしい人物だったら、こんな会議開いてねえよ‥‥蛇之原(じゃのはら) 狩耶(かりや)。あいつからだ」


「蛇之原 狩耶!? それってあの十二帝の!?」


「そう、あいつは表で活躍フリーの征魔士でありながらも裏社会の魔族情勢や征魔士情勢にも詳しい。そんなあいつがサクリファイスの痕跡探してる時に、発覚したみたいなんだが‥‥」


「それで‥流出した情報って?」


朔夜がそう言うと神座は自分の手元にあった端末を操作して、流出されたと思われる情報のリストを全員の端末に送った。


「これは‥‥すげえなうちの戦力ほぼバレてる。それに最近の任務記録も」


「なんだ? 俺らの情報は漏れてなかったのか?」


櫂はリストの中に自分と司の名前が無いことに気付く。


「幸い、お前らは外にいる時間の方が長かったからな。そこら辺は漏れてないみたいだ」


「‥‥やっぱり無いな」


「だからさっきから言ってんだろ? 新入り」


「あぁ、そうですね」


朔夜は流出した情報に違和感を覚えながら読み進めた。


「‥なるほど。わかりました」


「わかったって、何がだよ司」


「流出させた張本人。内通者ですよ」


司は微笑みながらそう告げた。


「司らしくもないね。そんな冗談」


「いいえ翔真。これは冗談ではありません。私も櫂もこの場の情報だけでは推理するにはあまりにも無謀だと考え、帰りの中で実際の任務記録と流出した情報などを重ね合わせてました」


「その結果は?」


「まぁ待てよ新入り。今から司が話すからよ」


櫂は満足気な笑みを浮かべながら司の方を見る。


「では述べさせてもらいます。内通者は‥貴方です」


司は右手の人差し指で、ただ一人を指差す。


「金丸 翔真」


「‥へぇ」


部屋にいた誰もが唖然とする。結論を続ける司と櫂、そしてさっきよりも不気味な笑みを浮かべる翔真を除いて。

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