表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
24/83

第24話 銀竜

例のごとく、キャラ設定を後書きに付け足しておきます!

ご自由にお確認ください!


では24話をどうぞ!

「はいはーい。ようこそ白銀君。後輩二人なら上だよ」


「案内ご苦労さま。翔真」


「ふんっ、生意気な後輩の顔。見に来てやったわよ」


「相変わらず態度のでかさだな。繰実沢(くるみざわ)


叶夢は聞き覚えのない声に反応するように、客席から寝ていた身体を起こした。

叶夢の視界に写ったのは銀髪の髪の青年と後ろに棺桶を背負った青い目と緑色の目を持ったオッドアイの少女だった。


「待ってましたよ。白銀(しらがね)先輩に繰実沢(くるみざわ)先輩」


朔夜は帽子をかぶり直し、訪れた二人に駆け寄った。


「遅れてごめんな朔夜。俺も急ぎはしたんだけどむくろが‥」


「しょ、しょうがないだろ! 私だって女性だ。化粧とか用意が‥‥で、そこの新顔が?」


「はい。噂の新人ですよ」


朔夜は叶夢を指差し、客席まで案内した。叶夢もフードを直すと白銀と骸に駆け寄った。


「第31小隊隊長。刀堂 叶夢です」


「へぇ、君が噂の叶夢くんか‥‥思ったより少年だね。第5小隊隊長の白銀(しらがね) 竜次(りゅうじ)だ。よろしくね」


白銀は手を差し出し、叶夢もそれに応じるように手を出し握手を交わした。


「見た目だけなら拍子抜けだな‥‥第9小隊隊長。繰実沢(くるみざわ) (むくろ)だ。」


「よろしくお願いします。繰実沢先輩」


叶夢は軽く頭を下げた。


「にしても珍しいね。竜次がちゃんと約束通り来てくれるなんて」


「今回ばかりは早めに仕事を片付けて、新人の顔を拝みに行きたかったからな。骸は叶夢の事を伝えたら付いてきていた」


「文句でもあるのか?」


「あはは‥‥骸ちゃんらしいわ」


他愛もない談話をしている先達の中で、叶夢は白銀一人を見つめていた。あの人間だけは感じたオーラが異質だったからだ。


「気になるのか?」


「そりゃ、あの『銀龍』の息子だからな。それに、俺が初見でビビらせられたのもこれが初めてだったし」


「へぇ、珍しい。銃口向けられても本読んでるぐらいには度胸座ってると思ってたぜ? お前」


叶夢が白銀に抱いたのは恐怖と畏敬。それこそ、目の前に龍が舞い降りたかのような衝撃を走らせた。


「そんなお前を現実に引き戻す事実を伝えてやろう。繰実沢先輩は翔真先輩と同い年だ」


「嘘だろ‥‥特例で入ってきた中学生かと思ったぞ‥‥って危な!」


朔夜は事実を伝えると、呆気に取られている叶夢を盾にすぐに後ろに下がった。

一方の叶夢は驚くあまりに硬直してしまったが、それはあっさり現実に引き戻される事になる。髪の長い戦闘用のパペットが後ろの棺桶から出現し叶夢に襲いかかってきたからだ。叶夢は間一髪で後ろに下がって避けた。


「私は生憎地獄耳でな。さっきの小言も聞こえてしまったぞ朔夜。それに驚きならもう少し隠した方がいい」


「すいません!」


「こっちの新人は素直で結構だが」


「あ、きたねえぞ! てか繰実沢先輩! 俺の時はそんな素直に勘違いした俺を見逃してなかったはずだろ!?」


「悪いがこっちは未来ある後輩なのでな‥‥第1小隊のお前なら既に未来は無いから遠慮なしにボコれる」


「あんた今ボコるって言ったよな!?」


「五月蝿い。クリスティーヌ、行ってこい」


「うわぁ! その人形を俺に近づけるなぁ!」


骸の後ろにあった棺桶から着飾られた洋人形が飛び出し、朔夜に襲いかかった。しかし朔夜は雷衣(ボルテックモード)を使い叶夢達の後ろに逃げ込んだ。


「なんだ。クリスティーヌはお前を抱擁ほうようするのを楽しみにしてたぞ?」


「俺の首の動脈を食い散らかすの間違いだろ‥‥悪かったですよ繰実沢先輩」


「よし。戻れクリスティーヌ」


クリスティーヌと呼ばれるパペットは、骸が指示を出すとただ足を動かして自分を身体を棺桶の中に運び、再び収納された。


「あの‥‥今のって戦闘用パペットですか?」


「あぁ、そうだ」


戦闘用パペットとは、その名の通りに征魔士が使う戦闘用の人形。糸を使って操るのでは無く、コピーした自分の魔力回路を同調させて操る。いわば普通の人間でいう脳波で動かす感覚である。


「動かすだけでも魔力回路を使うのに‥‥ヒートアウトしないんですか?」


「私は最小限の魔力で動かしているからな。続けてであれば1時間は通して動かせれる。」


「確かに繰実沢先輩がヒートアウトした所見たことありませんもんね」


「人より魔力回路が頑丈だからな」


骸はドヤ顔で腕を捲り、力こぶを作る仕草を見せた。


「んでどうする? 一戦やる?」


「久々にか? 翔真、やけに積極的だな」


「いいじゃないか。私も身体を動かしたい所だったからな」


「んじゃ俺もやります。班分けは」


「俺と骸。翔真に龍之介でいいんじゃないか?」


「よし! ならさっさとやろう!」


意気投合した四人は後輩二人を置いて、下のコロシアムに降りていった。朔夜と叶夢は翔真達が座っていた席に着き、四人の姿を見た。


「にしても仲良いな。あの四人」


「同期だからな。確か、白鳩さんとも同じだった気がするが」


「お前もあいつのことさん付けかよ」


「叶夢、よく見とけよ。あの人達は俺らみたいに征魔士ウィザードを殺してきた征魔士じゃない。純粋に魔族だけを倒してきた本物の征魔士の戦いだ」


「俺らが本物じゃないみたいな言い方だな」


「そりゃ、悪人とはいえ魔族よりも人の方を殺してたら、本職に失礼だろ」


「今はそうじゃねえだろ。俺らはもうゼルリッチの魔子じゃねえんだからな」


「朔夜くーん。試合開始の合図お願いしまーす」


「はーい」


叶夢が再びコロシアムに目を向けると、四人は既に向かい合っていた。朔夜は席から立ち上がり息を吸うと、普通の倍以上の声でコロシアムに向けて叫んだ。


「試合開始!」


朔夜の号令と共に、四人は目の色を変えてそれぞれの武器を携えると一斉に向こうの相手に走り出し、攻撃を仕掛けた。


「そら!」


「よっと」


一番に鉄をぶつけたのは翔真と白銀だった。

翔真は懐のナイフを出して先手を取ったが、竜次の刀に防がれてしまった。


「やっぱ、あっさり二本目は抜いてくれないよね」


「そう簡単には抜かないよ。お前が本気で来ない限りはね!」


白銀は刀を大きく振って翔真を払うと、体制を崩した翔真に向けて次の一撃を当てるため迫った。


「おっと‥‥危ない!」


翔真に向けて刀を持った白銀が迫る。崩して失ったバランスに身を任せてさらに後ろに下がると魔力回路に魔力を通した。


光弾(フラッシュ・バン)!」


「ぐっ!」


左手に溜め込んだライトのような光を大きく広げて白銀の顔の前にあてがった。網膜の保護の為に白銀は目を閉じ視界を遮断された。


「へへ。お得意の騙し討ち」


「嘘つけギリギリだったろ」


後ろに下がると龍之介の背中にぶつかった。龍之介自身も骸のクリスティーヌから猛攻撃を受けて防戦一方の状態から後ろに下がってきた。


「ったく‥‥神具出し惜しみしてたらこっちがやられちまうな」


「俺はまだ行けるけど」


「告げる‥訊け! 時代の夜明けを告げし龍の咆哮を! 神具解放! 坂本龍馬!」


龍之介の刀から青白い炎が吹き出し、龍之介の左手に流れ込む。その炎の中から現れたのはエンフィールド銃だった。


「おぉ、いきなり神具とは‥‥女だってこと忘れてないかしら? クリスティーヌ!」


「忘れてるわけない‥‥だろ!」


猪突猛進。神具を開帳した龍之介はクリスティーヌに向けてエンフィールド銃を向けて引き金を引いた。その銃弾と共に龍を形づくった青い炎がクリスティーヌに襲いかかった。


「まさかあの四人全員神具持ちか!?」


「何をそんなに驚いてんだよ。だから言ったろ。10小隊以上の奴らは全員化物ぞろいだって」


「そういう意味で!?」


「でもまぁ、10小隊の壁がでかいのは日本独自とも言われてる。アメリカとかイギリスになると神具持ちが10小隊以上で一つの小隊に一人二人いるかいないか程度だからな」


「ジャパニーズ・サムライスピリッツ‥‥」


「どちらかと言えばバーサーカー?」


呆気に取られている叶夢を無視して、朔夜はコロシアムの戦いに集中した。自分がここで手本とすべき先達の戦いを間近で見れる貴重な機会とわかっていたからだ。


「ぐっ‥‥龍馬発動の龍之介はクリスティーヌだけじゃ分が悪いか‥‥あの透明に足止めされる」


「考える暇があるならもっとクリスティーヌを動かしたらどうだ!」


一瞬で距離を詰めた龍之介の刃は確実に骸の首に向けて振るわれた。


「‥言われずともやってる」


追い詰められた骸の表情は苦しむ顔から嘲笑に変わる。


「ぐっ! これはクリスティーヌの首!?」


「人形にはこういう使い方もあるんだよ!」


骸がクリスティーヌに出した指示は『分解(ブロッケン)』。即ち身体を四肢と胴体と首に分解して龍馬の龍の追跡を巻くと、クリスティーヌの頭部が龍之介の肩に噛み付いた。

そしてそのままクリスティーヌの頭部には胴体。その胴体に四肢が合体する。その合体した四肢は龍之介に絡みつき、抑え込んだ。


「重い」


「さて、止めと行こうかしら」


「やれやれ‥龍之介もまだまだだね」


「他人の心配してる場合か?」


膝をついた龍之介を見ながら、目の前の刃をナイフで捌いていた翔真が呟いた。その言葉に耳を貸すことなく白銀は刃の勢いをさらに強くした。


「やれやれ‥‥僕も使うとしようか」


「させるか! お前が神具使うとかなりめんどくさいからな!」


翔真が後ろに下がって詠唱を開始しようとしたが、白銀も踏み込む左足に強化を付けて地面を大きく蹴り、刀を大きく突き出した。

突き出された刀は翔真の腹を静かに貫通した。


「ぐっ‥‥なんちゃって」


「分身か!」


刺した時点で幻影だと知った白銀は、視界の隅々まで翔真の姿を探した。


「告げる。我らに姿はない。故にそれは音無き刃。静かに忍び寄り、月明かりに血を晒す。神具解放。ジャック・ザ・リッパー」


怪しげな笑顔を浮かべた翔真の姿が消えた。


「骸! 今すぐクリスティーヌを自分のそばに戻せ! ジャックが来るぞ!」


「翔真め‥‥まさか白銀の前で神具を使うとは! クリスティーヌ戻れ! 感覚器官を最大まで研ぎ澄ませ!」


龍之介にまとわりついていたクリスティーヌは、龍之介を離すと一目散に主たる骸の元に戻った。

しかし骸の元に帰ることは無かった。解放された龍之介の蒼炎がクリスティーヌの足に食らいついたからだ。バランスを崩したクリスティーヌは大きく転んだ。


「させるかよ‥‥」


「っ!‥‥分解!」


身体が不要と判断した骸はクリスティーヌの首を手元に戻した。そして首に触れると同時に魔力回路に魔力を通し、魔法を打てる体制に入った。


「来るなら来い!」


「てりゃ!」


後ろに気配を感じた骸は、既に分解したクリスティーヌの両腕で後ろの気配の正体を捕獲した。だが、声のトーンで翔真で無く、龍之介だということはすぐに分かった。


「お前に言ったんじゃない‥‥さぁ、大人しく出てきたらどうだ!」


「えぇ~僕に言ってないなら誰に言ったの?」


「!?」


「くっ‥‥骸! 後ろに下がれ!」


白銀が急いで骸の元に向かう。目の先には倒れた龍之介と龍之介の皮が剥がれ、骸にナイフを振りかざした翔真の姿が映る。数秒後には振りかざしたナイフは骸の身体に突き刺さるだろう。


「わかった!」


白銀の指示に従い、骸は魔力による強化をつけて後ろに下がった。一定距離離れたのを見送った白銀は自分の剣に冷気を宿らせ、そのまま思いっきり振り飾った。


大氷瀑布(アイシクル・ブラスター)!」


剣が生み出すのは斬撃にあらず。雪崩のごとき激流を巻き込んだ氷の津波。その全てが翔真に襲い来る。


「完全に殺す気でしょこれ!?」


「翔真!」


龍之介の声に反応した翔真は龍之介の方向を向く。龍之介は巨大な氷の津波に向けて全速力で駆けていた。


「了解。頼んだよ龍之介!」


焔龍刹(フレア・アサルト・ドライブ)!」


龍之介の炎を纏った斬撃と銃撃をかわすために、翔真は再びジャック・ザ・リッパーを使って姿を消した。そして氷の津波は龍之介の魔法によって打ち砕かれた。降り注ぐ砕氷は観客席にまで及んだ。


「綺麗だな。いてっ!」


「大きめのが落ちてきたな。普段の行いか?」


「な訳‥‥お前こそ落ちてきてるぞ?」


「え? ぶっ」


朔夜が言われるままに上を見上げると、顔が受け皿になりバスケットボールぐらいの氷が顔面に着地した。


「あ、ごめんな朔夜!」


「謝るのは白銀先輩じゃなくて、必要以上に粉砕した龍之介先輩だと思うんですけど‥」


「避けなかったお前が悪い」


「アンタなぁ!」


ハンカチで鼻血を吹きつつ試合観戦を続ける朔夜だった。


「にしても竜次。そろそろ潮時だと思うからさ、お互い次の一撃で決めるとしない?」


「奇遇だな。俺もそう思ってたところだ。どうせ最後の一撃で済ませるなら二本目を抜いてやる」


白銀は右腰に掛けた二本目に手を伸ばす。翔真も姿を現し、ナイフに魔力を流し込む。


「告げる、壱ノ太刀に宿るは無限の力。限界を超えし人の心。弐ノ太刀に宿るは零の力。無心に瞳を得る」


一つ目の詠唱が終わると右手の刀には氷が。二つ目の詠唱が終わると左手の刀には炎が現れ始めた。翔真も目の色を変えて、ナイフを逆手に持つ。


「我は無空に至りし二振りの剣。神具解放。宮本 武蔵」


解放された刀からは相反する概念が現れていた。右手に宿ったのは永久凍土。左手に宿ったのは炎滅焦土。その二つから大量の魔力が溢れ出し、二つの概念をさらに巨大な刃に変換した。


「「神具奥義」」


「繰実沢先輩。あれは流石に止めた方がいいと思います」


「私に言うか?」


「ヒートアウトしてる龍之介先輩には恐れながら何も出来ないと思われます」


「思ってても言うなよ。後輩にそれ言われるとかなり傷つくぞ」


既に客席に上がり、戦線離脱した龍之介は朔夜に蹴りを入れた。


「でも流石にやばいぞ。あの二人の神具奥義はコロシアムごと俺らが持ってかれる」


「そんなに威力あるんですか?」


「頭の弱い叶夢に具体的な威力を伝えてやる。クレーター1つ余裕で出来る」


「なるほど! 朔夜の表現はわかりやすい!」


「二人とも。話してる暇あるんだったら自分の身を守ることを考えておけ」


三人が話に夢中になっている間に、数10m先では二つの巨大な魔力の渦が一触即発の状態になっていた。


「告げる。鳴り響け悲劇。憎悪と哀愁に塗れた舞台をここに‥‥神具解放。エリック!」


神具解放と共に半透明の鍵盤が骸の周りに現れた。


「さて耳を塞ごう」


「了解っす」


唐突に耳を手を当てた2人を見て、叶夢もその場のノリで耳に手を当てた。


「では‥‥劇を始めよう」


骸は自分の目の前に現れた鍵盤を叩き始め、音を刻み込む。その鍵盤を叩く度に低いオルガンの音やピアノの高い音などが入り交じり、聴く者を自分の世界に引きずり込んだ。


「‥‥」


「‥‥」


「終劇」


骸が一言呟くと、神具は解除され目の前に現れた半透明の鍵盤も消えた。


「あれって‥‥何なんすか?」


「神具エリック。わかりやすく言うならオペラ座の怪人だ。」


「オペラ座の怪人‥‥ですか」


「あの神具の演奏を聴けば最後。しばらくは骸の操り人形だ。見ろ」


龍之介が指を指したのはコロシアムの中心。つい数秒前まで禍々しいと言えるほどの魔力と殺気を纏っていた翔真と白銀だった。

しかし演奏が始まる前と終わった後で大きく雰囲気が違っていた。無言でただマネキンの様に立ち尽くしているだけ。


「俺らも聴いてたらあれだぞ。」


「‥‥そういえば、あんたら二人俺に警告無しで勝手に耳塞いでたよな」


「まさかあっさり耳を塞ぐとは」


「だから言ったんですよ龍之介先輩。叶夢の近くじゃ意味がないって」


「あんたらはめたな!」


叶夢は安堵の息を漏らす。自分も耳を塞がず堂々とあの音楽を聴いていればあの状態になっていたと。よりによってこの世で一番信頼してない親友の前でああなれば顔に落書きは必須だろう。


「人の神具の能力をガキ大将リサイタルみたいに言うな」


「いやー、迷惑かけたな」


「全くだよ竜次。君が二本目を抜くなんて言うから」


「抜けつったのお前だろ」


頭に軽い一撃を貰った翔真は頭を抱え込む。骸と白銀は疲れのあまりに溜息を吐き出す。


「んで。どうだった? 叶夢くん」


「え? 何がですか?」


「俺らの戦い方見て、なんか気づいた?」


「何かって」


叶夢は今までの戦いを全て脳で一気に閲覧して、ある事に気が付いた。戦闘においてあるものが欠落していた戦いだと。


「軽い警告とかはあったんですが。先輩達、戦闘において一切作戦についての会話をしていませんでした。言葉を交わさないであそこまでのコンビネーションは互いの事をよく分かってないと出来ないはずなのに、それ同期とはいえ即席のペアでやってのける所がすげえと思いました」


叶夢は痛感する。自分が甘く見ていた10小隊以上の壁がより厚くより高くなったのを、のし上がるためにこの人間達を蹴落とすぐらいの力が必要になったのを。


「んあー‥‥久々の模擬戦はどっと疲れた」


「何を寝言を。翔真は隠れてナイフ振ってただけじゃない」


「それは言わない約束っしょ」


コロシアムを後にした六人は既に日が沈みかけオレンジ色に染まった食堂で休憩をしていた。


「ここの立ち回りは‥‥」


「でもここなら‥」


「それだと‥」


「てか竜次。随分と叶夢くんにきっちり教えてるね」


「あぁ、早く来れなかったお詫びにな」


「すごい‥‥第1小隊隊長の糞説明より何倍もわかりやすい」


「おい!」


「あぁ、ごめん。比べる対象を間違えた」


「お前‥‥はぁ、そこまで大口叩いたなら絶対ランク戦最後まで生き残れよ?」


「ふ、当然だよ」


朔夜が拳を突き出し、叶夢もそれに応じるように拳を突き出し朔夜の拳とハイタッチをした。


「それより叶夢。お前が言ってた門限18時とっくに過ぎてるがいいのか?」


「‥‥は!」


朔夜の言葉で思い出す。起きてすぐに見た書き置きを。叶夢の顔がみるみる青くなっていった。


「今日はここでおいとまさせていただきます。先輩方、ふつつか者ものですがこれからも宜しくお願いします! それじゃ!」


早口で別れの挨拶を告げて叶夢はダッシュで食堂を後にした。


「どうでしたか? あれが俺の元同僚です」


「まぁ面白そうな子だよね。骸ちゃんと龍之介くんはどう思う?」


「戦いを見てない分あまり言えないけど‥‥まぁオーラはあったわね。あれならイフリート倒したのも納得できる」


「朔夜の苦戦具合を見れば分かった。あれなら全員が警戒する。あいつを見た時に初めて白銀を見た時と同じ感覚を味わった」


龍之介の顔がさらに張り詰める。直感的に叶夢はまだ成長を残してなおあの強さを誇る。完成すれば自分はあっさり超えられてしまうだろうという事を。


「んじゃ最後に竜次」


「んー。あれなら今は楽に倒せそうだなって」


「以外に辛口だね」


「朔夜が言ってたからどんな凄い人かと思ったら、割と期待外れ。初めての握手で少し殺気を出しただけで萎縮いしゅくしちゃってたんだからな」


あの時、叶夢が感じた殺気は故意的に出されたものだと朔夜は理解した。


「マイナスだらけの評価だけどまぁこれからに期待って言うのが俺の正直な感想」


「これからとは?」


「殺気出して萎縮したとはいえ、殺気を感知するスピードが明らかに速すぎた。あれは相当な手練だよ。だからこそのランク戦だ。そこであっさり終わるようなら」


「そんなことは無いと思うよ。竜次」


テーブルに頬杖を付けた翔真が白銀の言葉を遮るように話し始めた。


「彼はうまく善戦してくれるはずさ。なんせ

この口の人付き合いが悪いことでリーダーシップの無い朔夜がここまで推してるんだから」


「翔真先輩。いい加減ぶん殴りますよ」


「出雲。落ち着け」


「‥‥すいません」


頭に血が上った朔夜を司馬が止めた。朔夜は我に返り席に座る。


「あの人の言葉が信用ならないなら、あんたの小隊のブレインに叶夢の事を訪ねてみるといい。きっと同じ事を言うはずですよ」


「アレックスにか‥‥なら翔真の言葉を信じてみよう」


この朔夜の言葉が嘘になるか真になるか。彼らの中で叶夢の強さを確かめれるのは今日を除き、ランク戦のみとなった。

金丸(かねまる) 翔馬(しょうま)

178cm/60kg

8/31

使用武器 ナイフ


第10小隊隊長。得意魔法は光魔法。藍色混じりの髪に細めが特徴。金丸当麻の実の兄である。

叶夢以上に駆け引きが上手く、叶夢の反転する眼(リバーサル・アイ)を逆に利用できる数少ない人物。味覚に関係する罰ゲーム用品を試し過ぎて若干味音痴気味になっているのが悩み。

神具はジャック・ザ・リッパー。神具能力は一時的に姿を消すことと姿を変化させる能力。ただし一撃を与えてしまうと相手を距離を離さなければ能力が使えなくなってしまう。

潜在魔法は相手の魔力回路に触れることで相手が使えるランダムな魔法を発動させる時限爆弾(スイッチヒッター)



司馬(しば) 龍之介(りゅうのすけ)

6/5

169cm/56kg


使用武器 銃 刀


第8小隊隊長。使用魔法は炎魔法。常に和装に身を包み、長い黒髪を後ろで一つにまとめている。和装の理由はただ単に好きだから。刀の扱いだけでなく、銃の扱いにも長けたオールレンジ対応の征魔士。常に口にものを入れておかなければイラつく性格の持ち主であるため、ご飯の時以外はガム等を食べている。その性格上、口数が少ない。

使用神具は坂本 龍馬。神具使用時に左手にエンフィールド銃が現れる。神具能力は魔法を使った際の攻撃に魔力で形成された龍を召喚する。



白銀(しらがね) 竜次(りゅうじ)

9/7

173cm/60kg

使用武器 二刀流


第5小隊隊長。銀髪の青い目の青年。使用魔法は炎魔法と氷魔法。

父に「銀龍」と恐れられた白銀(しらがね) 王竜(おうりゅう)を持つ。幼い頃から父の教育の元に征魔士を目指し、特例で15歳から征魔連合軍に入軍。(本来は義務教育を終え、16歳で入軍する。)実力だけでも朔夜を大きく超えているが第5小隊に居座り続ける理由は「まだ自分は上にたてる立場じゃない。」と昇格がある度に神座に直談判して昇格を見送ってもらっているから。二刀流使いではあるが、無闇に使いたがらない。一本で間に合わないと判断した時に二本目を抜く。

刀の名前は『蒼天』と『朱天』。

使用神具は宮本 武蔵。神具能力は刀に『無限』と『零』の概念を宿らせる能力。一本だけだと、能力が相殺されてしまい意味をなさないが、二本目を抜くと片方に『無限』。もう片方に『零』が宿り初めて能力が発動可能となる。竜次は『無限』が宿った刀に氷魔法を流すことで巨大な氷を出すことが出来たり、『零』が宿った刀に炎魔法を流して生物や魔族だけでなく魔法なども無に帰す事ができる。



繰実沢(くるみざわ) (むくろ)

145cm/40kg

8/30

使用武器 クリスティーヌ (戦闘用パペット)


第9小隊隊長。使用魔法は毒魔法。クリーム色の髪に左目が緑、右目が青色のオッドアイの少女。この背でも翔真と同い年である。小柄な体型ではあるが胸は大きめ。自尊心が高くお嬢様基質のため、かなり強気な性格の持ち主。しかし小動物を見るとかなり性格が変わる。着る服はだいたいゴスロリ。武器はマネキンのような人形で、名前はクリスティーヌ。クリスティーヌには自分の魔力回路をコピーさせている為、ほとんどタイムラグなしで自由に操ることが出来る。

使用神具はエリック。オペラ座の怪人である。発動時には半透明のピアノの鍵盤が現れる。神具能力はピアノの音を聞いたモノをクリスティーヌと同じ様に操る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ