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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん
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第8話 探し物と生活魔法




冒険者ギルドの2階の資料室から出ると、誰にも見つからないように1階へ。

そして、1階の食堂の椅子の下へ潜り込み辺りを見渡す。

うむ、今回も気づかれている気配なし!


でも、冒険者ギルドって夕方になると本当に人でいっぱいになるんだな…


食堂も混み始めたし、隙を見て外に避難するか…

おや?あの親子は『ドラゴン親子』とかいう冒険者たち。

確か、かなりの強さでランクAという高ランクだとか?


あの赤い狼の時以来だな、見かけるのは。

それにしても、あの女の子可愛いな~

ツインテールが似合っていて、金髪なのに髪サラサラだな。


しかし、父親の方はどう見ても脳筋にしか見えないんだが

あれで頼りになる男なのだろう。

今も、いろんな人からあいさつされているしな…



さて、今の混み具合ならギルドを出ても気づかれないだろう…

これからいろいろ実践するから、例の屋敷へ行こう。

俺は忍び足で、さっさとギルドを出て行った。



ギルドを出て、あの屋敷へ向かうため路地裏を足早に進んでいると

俺を捕まえようとして眠らされた犬獣人のおっさんが、兵士2人に連行されていた。

ん~、眠らせたのはまずかったかな…


「はぁ~、ついてねぇぜ…」

「なに言ってんだ、

お前があんなところで寝ていたおかげで捕らえることができたんだ。

お前を眠らせた奴には感謝しかないぞ?」


「まったくだ、泥棒に強盗、おまけに小動物を虐待して快楽をえるなんて

俺たちには理解しがたい奴だ」

「何言ってるんだよ。

無抵抗の動物を殴り飛ばしてみなよ、スカッとするぜ!

町周りなんてイライラが溜まってんじゃねぇのかい?」


……うん、眠らせずに燃やせばよかった。

「ほら、行くぞ!

無抵抗の動物殴って、何が面白いんだよ…」

おっさんは、兵士に蹴られて連行されていった。もっと蹴ってやれ!




少しイラつきながら、夕方の町を例の廃墟の屋敷へ向かう。

あの犬獣人のおっさんがあのネコ達を痛めつけていたのか…

イラつくけど、俺も普通のネコなら同じ目にあっていたのかな……


つくづく、今に感謝だな。ありがとう天使さん!


さて、感謝をしていると屋敷についた。

相変わらず、人の気配がしない屋敷だな。

前に忍び込んだとおり、門の隙間をかいくぐり窓の隙間から中に入る。


中に入った部屋は、やっぱり埃だらけだ。

えっと、確か生活魔法に物をきれいにする魔法があったな…

俺は空間収納の中から本を取り出し、床に置いて魔法を探す。


…あった、ふむふむ……よし、イメージ完了!


【クリーン】


魔法を唱えると、部屋全体が光り出し一瞬で部屋がきれいになった。

すごいな、埃一つ落ちてないぞ!

日本のテレビ番組でやっていたお掃除のプロがしていたところを想像したけど

やはり、すごくきれいになったな~


この調子で、屋敷全体をきれいにして生活魔法を身につけるかな。

さっそく俺は、部屋を出て屋敷内をうろつきながらきれいにしていく。


しかし、この行為がこの屋敷の秘密を俺に分からせることになった。

なぜなら、今俺の目の前に足のない女性が現れていた。

『こんばんは、ネコさん』


俺はどこから声がしたのだろうと、周りをキョロキョロしてみる。

『わかっているくせに、キョロキョロしないで~』

ふむ、この女性は世間でいうところの幽霊さんかな?


『はい、私は幽霊です』

俺の考えが読めるとは、なかなかやるな幽霊さん!

『それほどでも、ありませんよ~』


うむ、照れてないで現れた理由を言ってみて。

『はい、実はネコさんに探してほしいものがあるんです』

探し物か、見つかるかどうかわからないがそれでも良ければいいぞ。


『ネコさん、ありがとう~』

それで、何を探せばいいんだ?

『宝石です、青いお空と同じような色をした宝石を探してほしいんです』


そんな宝石がこの屋敷にあるのか?

『はい、あるはずです。

私から宝石を奪おうとした女は、私を殺して手に入れようとしていましたが

結局見つからずこの町から逃げていきましたから…』


見つからなかったということは、持ってなかった?

『はい、どこで失くしたのか分かりませんが…』

この屋敷以外は?


『私がこの屋敷に来たときは持ってました。

それからこの屋敷から出ることなく殺されましたから……』

…わかった、探してみるよ。


俺は屋敷の清掃をしながら、幽霊さんの宝石を探し始めた。

始めは各部屋を回り、キッチン、トイレ、ロビー、お風呂、階段から2階へ。

2階の各部屋、廊下、トイレときれいにしながら探していく。


しかし、なかなか見つからず時間だけが過ぎていく。

俺は幽霊さんに聞いてみた。

まだ探していない部屋とかはないかな?


『えっと、キッチンの傍に地下の冷所への扉があります』

俺は、1階にあるキッチンへ行き地下への扉を発見!

風魔法を駆使して扉を開けると、中へ入っていった。


うっ! すごい匂いだ…


【ウィンドストリーム】


小さい風の渦を発生させ、部屋の中の空気を屋敷の外へ排出する。

代わりに、新鮮な空気を外から部屋の中へ入れる。

『すごーい、ネコさん魔法が使えるんですね~』


幽霊の女性が拍手してくれる。

匂いが何とかなったところで、『夜目』を使って辺りを見渡すと

部屋の隅に白骨を発見。白骨の中に青い宝石を発見した。


『あ、ありました。この宝石です~』

幽霊の女性は宝石をその手に握りしめると、涙を流しながら消えていった。

『ネコさん……ありがとうです……』



幽霊が宝石とともに消えると、白骨はサラサラと粉になって崩れた。

死んだとき死体の下に宝石が隠れて見つけることができなかったのかな?

それとも、見つけてほしかったのかな?


俺にはよくわからないが、わかることはある。

いつの間に俺は幽霊に免疫ができたんだ?

日本で生きていた時は、幽霊なんて怖くて怖くてしょうがなかったんだがな…


一度死んだからかな?

まあ、深くは考えないようにしよう。

それよりも、『生活魔法』を身につけたぞ。


最初の部屋に戻って、他の魔法も身につけるかな~








ここまで読んでくれてありがとう。


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