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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第53話 金と銀の騎士




遺跡にある京花の部屋で寝泊まりしているネコ。

今日も、空間魔法で作った自分のマンション部屋で朝食を終え

京花の部屋でおこなわれる授業を受ける。


京花の教えてくれる錬金術は、実験も多く興味深いことが多い。

また、授業が終わってからの遺跡探検など俺は毎日が充実していた。



「では、今日の授業を終わります」

今日も京花の授業は内容が濃かった。

今回錬金術で習ったのは、上級ポーションの作り方。


上級ポーションは、回復量がけた違いに多く上質のものになると

欠損した肉体を再生することができた。

まるで、劣化版エリクサーだった。


俺は、完成した目の前のポーション瓶の中に入っている液体を眺めていると

京花から、声をかけられた。

「その5つの上級ポーションは、ケロちゃんの好きにしていいんだよ」


俺は、思わず振り向く。

「こんな危ないものを、良いのか?」

京花は、驚いている俺に満面の笑みを浮かべて


「人化して、初めて高品質な上級ポーションを作ったんだもの。

それは、私からのお祝いかな」

そんな言葉を聞いて、俺は苦笑いを浮かべて


「人化は、ネコの姿で錬金術なんてとんでもないと京花が怒ったからだろう。

でも、ありがたく受け取っておくよ」

俺は、ポーションの便を空間収納でしまうと後片付けをする。



錬金術の使った道具を片付けていると、ムツミが訪ねてきた。

「主、遺跡とダンジョンの境に壁と門を作り終えました」

ムツミの報告に京花は「ご苦労様」と短く答える。


「これで、ダンジョンと遺跡が別々になったってことか?」

京花は、錬金術で使った道具を棚にしまいながら答えてくれる。

「そうだよ、これでダンジョンからの干渉も受けなくて済む」


「一応、警戒はしますけどね」

とムツミは、一言付け加えた。



「…そういえば、あの白い騎士にムツミたちは以前手古摺っていたのか?」

俺は、前から気になっていたことを聞いてみる。

ダンジョンに奪われた、遺跡の宝物を取り返していた


ムツミたちホムンクルスを退けていた敵。

それはどんな相手だろうと想像していたが、あの白騎士だったとはな。

だが、次のムツミの言葉で考えてしまった。


「いいえ、私たちが手古摺っていた相手は、あの白騎士ではありません」

これには、京花も興味を引いた。

「じゃあ、ムツミたちを手古摺らせた相手ってどんな奴だ?」


「はい、それは金と銀の騎士です」

京花は「続けて」と続きを促すと

「まず金の騎士ですが、戦闘スタイルは白騎士と同じです。


全身を包んだ金の鎧に、金のランスと金の騎士盾。

戦い方も白騎士と同じで劣勢になると、金の片手剣2本を両手に持ち

二刀流で戦ってきます。


銀の騎士は、両手で扱う大剣を振るう戦闘スタイルです。

全身を銀の鎧で包み、盾を持たずに銀の大剣1本のみ。

ただ、この銀の騎士は金の騎士が劣勢になると後方に下がり魔法を使ってきます。


しかも、金の騎士の支援に回るのです。

これには、私たちも何度となく挑みましたが勝てませんでした」

「騎士が魔法とは、なかなか思い切った戦い方だね」


京花は金と銀の騎士の戦い方に、感心していた。

「それなら、ダンジョンコアの部屋で出た白騎士は何だろう?」

「おそらくだが…」と京花が言いにくそうにする。


「金と銀の騎士は、何者かに倒されたんだろうね。

ダンジョンボスは、学習型というのかな?

放置された時間や今まで倒してきた相手によって、姿や強さが変わるからね。


最初は白騎士だったものが成長して金や銀の騎士になったのかもね」



…そうなると、いったい誰がダンジョンボスの金と銀の騎士を倒したのか。

しかも、ムツミたちがボスに挑まなくなった時から

俺たちがダンジョンボスに挑んだ時までの間に…


時間は半月、ダンジョンは70階層まである。

かなりのパーティーだろうな……

「ん~、どんな奴が倒したのかギルドで調べてみるか…」


「ケロちゃん、気になるのかい?」

「ああ、すごく気になるな」

京花は、首を傾け何が気になっているのか分からないようだ。


「不思議そうな顔しているぞ、京花」

京花はムツミを一瞬見ると、俺に向き直り理由を聞いてきた。

「よければ、理由を教えてくれるか?」


「…簡単なことだよ、ダンジョンボスを倒した後の宝物だよ」

「宝物…」と呟く京花はまだ分からないようだ。


「あのな京花、ダンジョンボスを倒したら宝物が現れるよな?

もし、金と銀の騎士を倒した奴がいるなら

そいつは宝物をとらなかったってことだ。


なぜなら、遺跡の宝物は金と銀の騎士ではなくその後の白騎士を倒した

ムツミたちが手に入れたんだから。

しかも、遺跡からとられた宝物が全部だ…」


そこで京花もやっと気が付いた。

やっぱ1000年以上生きていると、鈍くなるのかな?

「なるほど、金と銀を倒して出てきた宝物は遺跡の宝物。


ならば、ムツミたちが遺跡の宝物を手に入れたということは……

それで、ケロちゃんは興味を持ったわけか」

「まあな、ボスを倒しただけでなぜ帰ったのか気になってな…」


京花は、笑顔で俺の顔を見ている。

「…なんだ?」

「ケロちゃんは、もしかしてを気にしているんだろう?」


…何でこんな時だけ鋭いのかな~

「……」

「フフフ、ケロちゃんは優しいな~


ボスを倒した後の宝物をとらなかったのではなく、

取れなかったのではと考える君は、優しいよ」

俺はプイっと、そっぽを向いた。


声に出して、わざわざ言わなくてもいいだろうに…







ここまで読んでくれてありがとう。


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