第51話 人化の不安
アンナとの別れから1か月後の遺跡内。
俺は京花から『錬金術』について学んでいた。
俺は、錬金魔法をすでに習得していたが
京花曰く『錬金術と錬金魔法は違う』とのこと。
そのため、錬金術を1から京花に習っていたのだ。
まあ、そのためでもないが俺はアンナの使っていた屋敷を出ている。
今もあの屋敷には、管理人やメイドがいるのだが
そこに俺がいつまでもいる必要はないだろう。
だから、屋敷を出て遺跡の京花のところに居候しているのだ。
「…ケロちゃん、私の授業、聞いてましたか?」
『京花先生、聞いてました』
「よろしい、では続けます…」
今俺は授業中だ、京花に錬金術を教えてくれとお願いしたらこうなった。
なんでも、1200年ぶりの授業とかで懐かしくて先生をしたかったそうだ。
熱心に教えてくれるのは良いんだが、熱が入りすぎている感じがするな~
そう言えば、ムツミの遺跡の宝物奪還部隊の活躍は目覚ましいものがあった。
ここ4年で、9割がたの宝物を取り戻したそうだ。
後の1割は、ダンジョンの最深部にあるそうだが実力が伴わずに
今は手が出せないそうだ。
そこで、京花と俺が加わってダンジョンの最深部へ行くことになった。
しかし、俺の授業が終わらないといけないので今は延期状態だ。
それと、俺もダンジョンには潜っている。
いざという時、戦えないと困るからな。
そうだな、久しぶりに俺のステータスを公開するか。
【ステータス】
名前 ケルベロス[宮野 太郎]
年齢 11歳[+46歳]
職業 ネコ魔導格闘家
レベル 131
生命力 42100
魔力 2550000
攻撃力 物理 740
魔法 20000
防御力 物理 8400
魔法 20000
スキル 異世界言語習得 不老不死[限定]
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法 空間魔法 治癒魔法
炎魔法 氷魔法 雷魔法 鉄魔法 飛行魔法 鍛冶魔法
光魔法 闇魔法 木魔法 音魔法 錬金魔法 付与魔法
聖魔法 影魔法
生活魔法 鑑定魔法 解体魔法
魔力操作 夜目 念話 気配察知 隠蔽 気功 人化
料理
格闘技Lv81 身体強化Lv79 錬金術Lv45
称号 魔道に目覚めしネコ 暗殺ネコ 幸運を呼ぶネコ
魔道を極めしネコ イヌの名前を付けられたネコ
格闘王を目指すネコ 料理を極めしネコ 寂しがりやなネコ
加護 ユーキュリアの加護 ボルデリオの加護 ネリネの溺愛
ローラニアの期待 レビーブルの加護
さて、いろいろ規格外なネコになってしまっているが
今回注目なのは、スキルのところの『錬金術』だろう。
習い始めたばかりの錬金術が、なぜこんなにも高レベルなのか。
それは錬金魔法の習得が大きくかかわってくる。
京花曰く、錬金魔法とは錬金術の初歩にすぎないと。
そのため、錬金術のレベルが錬金魔法を覚えている分プラスされたとのこと。
だから、習い始めの錬金術のレベルが高くなるわけだ。
後、新しい称号は触れないでくれ。
それから、新しい加護が付いていたな。
レビーブルは、魔道具の女神さまだ。
錬金術の女神さまとは姉妹で、双子かというほど容姿が似ているそうだ。
魔道具を作るものにとってこの加護は、
造った魔道具の出来を左右するものらしい。
とにかく、このステータスならば足手まといにはならないだろう。
ダンジョンの最深部へ行くのが、楽しみになってきたな。
「ケロちゃん! 聞いてますか?」
『はい、聞いてます!』
「私の授業に集中してくださいね、まったく…」
怒らせてしまった。ここは授業に集中しよう。
京花の授業が終わり、寛いでいると京花から話があった。
「ケロちゃん、明日の授業はお休みですよ」
『え? 何か用事があるんですか?』
「ええ、ムツミたちと一緒にダンジョンの最下層へ行きます」
『おお、ついに動くのか~』
「勿論、ケロちゃんも一緒に行ってもらいます」
俺はその言葉を待っていたかのように、喜んでいた。
京花の次の言葉を聞くまでは。
「ただし、ケロちゃんは人化して参加してもらいます!」
『……はぁ?!』
「聞こえませんでしたか? ケロちゃんは『人化』して参加です!」
『な、なぜ?』
京花は得意げな態度で、俺に話をしている。
「ケロちゃんのネコとしての実力は見させてもらいました。
それはもうネコとしては規格外です。
しかし、せっかく人化できるなら人化した後の実力も見ておきたいので
明日のダンジョンには、人化して参加です! いいですね?」
『あ~、人化してって……』
「いいですね!」
『はい! 人化して参加させてもらいます!』
京花は満足げな顔で頷いている。
「よろしい、では、明日に備えてしっかり休むように! 解散!」
人化後の俺の実力か、考えたこともなかったな。
戦うために人化を覚えたんじゃなかったからな…
つまり、人化して戦うのは、始めてってことになる。
大丈夫だろうか?
今からでも、ダンジョンに行って練習しておこうかな?
ああ~、不安だ~
ここまで読んでくれてありがとう。




