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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第三百話 卒業式です2


 芹先輩の答辞が始まると、あちこちからすすり泣く声が聞こえてきました。それから昨年と同じく写真を撮る音があちこちから……。

 新聞部は相変わらず大きなカメラを持っていました。もしかして私も撮られていました? 緊張して気づきませんでしたけど。

 


「最後になりましたが、泉都門学園高等部のさらなる発展と皆様のご健勝を心から祈りつつ、答辞の言葉とさせていただきます。卒業生代表一条芹」



 読み終わった答辞を演台に置くと、芹先輩はにっこりと微笑みました。

 一礼をして壇上を去ると席に戻っていきます。


 あぁ、もう終わってしまう。


 ピアノの伴奏が始まって、式歌斉唱となりました。

 泣きながら歌っている卒業生もいて、胸がキュッとなりました。

 

「これにて泉都門学園高等部の卒業証書授与式を閉会いたします。……卒業生が退場いたします。大きな拍手でお見送りください」


 真由ちゃんの言葉と共に全員が起立し、拍手が起こりました。


 入ってきた順番に卒業生が退場していきます。

 一度教室に戻って、担任の先生の最後のお話があるでしょう。


「康くん、芹先輩と修斗先輩が生徒会室に来ると思うので、飲み物の用意をお願いするわね」

「はい、飲み物ですか?」

「走って来ると思うから」

「あぁ……なるほど」

 クラスバッジ狙いの女子たちに追いかけられること必至ですからね。

 康くんが生徒会室に行ってから私たちは椅子の片づけなどをしていました。真由ちゃんと真琴には花束の用意をお願いしているので純君とお手伝いの方々でテンポよく終えました。並べるよりは早いですね。

 お手伝いの方に飾られた花をお願いして、私たちも生徒会室へと向かうことにしました。


 途中で速水くんに会いました。


「一条先輩たち、無事に生徒会室に入ったよ」

「ありがとう」

 毎年風紀委員も大変ですね。

 後で差し入れを届けましょう。


 生徒会室に入るとソファに座ってお茶を飲んでいる芹先輩と、少し疲れた様子の修斗先輩がいました。

 また抱えて走ったのでしょうか。

「お疲れさまです芹先輩修斗先輩」

「あ、陽向ちゃん、純君お帰りー」

「廊下どうでした?」

「うん、去年と変わらず凄かった」

「いや、多かったと思う」

 修斗先輩が深いため息を吐いて、ようやくお茶を飲みながら言いました。

 

 まぁ確かに、昨年の三年生は三人でしたから分散されていたかもしれないですね。


「修斗すごかったんだよ」

「そうなんですか?」



 修斗先輩がアクロバティックに芹先輩と逃走したという記事が校内新聞に載るのは次の日でした。



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