十文字隊長との別れ
「本当にこの決定に悔いは無いんだな?」
「隊長…。もうゼロフォースは無いじゃないですか?」
「ああ。戦時特別部隊だからな。騙してすまんな。」
「別に嘘をつかれたとは誰も思っていないですよ?」
「沖矢俊才。貴様ほどの人材をシャバに送り込むのは非常に悔やまれる。」
「ゼロフォース無き今、連邦軍でやれる事はもう何もありませんから。」
「考え直してはくれぬか?もう少し連邦軍の為に?」
「残念ながら私が求めているのは強さだけですから。」
「そうか?同じ武人として、もう少し見所のあると思っていたが?」
「正直な話、只の士官なら誰にでも務まるものですから。」
「徴兵の兵士ではないからな。貴様は。」
「このゼロフォースにいた数年間の経験は無駄にはしません。絶対。」
「一度決めたらこうと動かないのは相変わらずだな。」
「十文字隊長には本当にお世話になりました。」
「これからどうするつもりだ?」
「そうですね。義勇兵士にでもなろうかと。」
「正規軍の士官の座を手放してまでやる価値はあるのか?」
「それはやってみなければ分かりません。」
「お前には戦争の刺激が足りぬ様だな。まぁ、好きにしろ。沖矢貴様はまだ若い。色々な世界を見てこい。」
「隊長はこれからどの様に?」
「連邦軍本部からは常設の特殊部隊創設の話も来ている。」
「ゼロフォースのお陰で、大佐に昇進する事が決まったよ。まぁ、そんなところだ。先の事は誰にも分からんがな。」
「もしかすると、戦場でパタリと?」
「会わない事を願うばかりだがな。」
「連邦軍ももっと勢力を伸ばしたいでしょう?」
「日本連邦政府の意向など知るか。」
「新しい部隊で頑張って下さいね!大佐。」
「皮肉にしか聞こえんがまぁ、良い。」
「俺が目指す高みも険しいが、貴様ほどの険しさはないだろう。」
「それは充分に理解しているつもりです。」
「それ位の困難を乗り越える力と自信は持っている…。か。」
「十文字隊長、どうかお元気で。」
「沖矢俊才、貴様もな。」




