エンプラーダの資質
研究段階においては、まだまだ知られていない事も多く、エンプラーダが何故エースに成りうる素質を持っているかと言う事もよく分かっていないのである。沖矢は恐らくエンプラーダの資質を持っており、そう言う認識を本人も持ってはいた。
しかし、エンプラーダの資質があるからと言っても、結局実力が無ければエースには成れない。過去にエースになった人間の多くがエンプラーダではあったが、本当のエースに成る為には真の実力がいる。いくつもの修羅場を乗り越えてこそ、真のエースに成るのだが、それには当然危険と言うリスクも伴う。
戦闘機や艦乗りと言うエースパイロットとは異なり、歩兵におけるエースと言うのは、言うまでもなく実力のある、腕っぷしのある人間である事は確かである。エンプラーダであろうがそうでなかろうが、腕っぷしがあれば、それだけでエースに成れるのである。
しかしながら、エンプラーダであるエースと、エンプラーダではないエースでは、決定的に異なる事がある。それは向上心だ。それも比較にならないほど差が出てしまう。エンプラーダであるエースの方が己の実力に対しても飽くなき向上心を持つ為、限界なく強さを極めようとする傾向にある。
それに比べてエンプラーダの資質のないエースにとっては、ある程度の強さを持った所で満足してしまう傾向がある。強さに限界を作るか否かと言う差は非常に重要な事である。エースである人間にエンプラーダの資質が求められるのは、その為である。
沖矢はどちらかと言えば、好戦的でありエンプラーダの資質を持つ。己の強さに限界を作らないタイプの人間だ。過去の戦闘行動からも、それは見て取れる。だが、何度も言う様だがエンプラーダの資質を持つ人間であるだけでは不完全である。真のエースに成る為には、充分な戦闘経験を持ち、それを活かす為の充分な戦技が必要である。それらを兼ね備えたエンプラーダこそ、連邦軍ゼロフォースのエースに相応しい。そうなる可能性が高まるのである。




