第九十話
「良いことを考えた」
罠の種類を見たら矢が飛び出すようなタイプの罠で命はそれを逆に利用してデュラハン達に食らわせようと考える。罠は特定の床を踏んだら作動するもので馬を走らせてこちらに向かってくるデュラハンのタイミングを計りながら罠を作動させる。
すると一斉にとてつもない量の矢が壁から発射されてデュラハン等はヤマアラシの様な状態となっており息絶え絶えと言った感じでありフラウが雷撃を放つと魔石へと姿を変える。
「えぐいな……」
こんなにも効果があるとは思っておらず良くて五発とかその位かと思っていたら尋常ではない量の矢が無数に放たれてこれを自分達が踏んだらと考えるとゾッとする。
これだから罠は恐ろしいのだ。確りとスカウトの授業を受けていてよかった。霧山には感謝しかない。
それから随分と進んだが、モンスターには遭遇しないが奥に進めば進むほど魔素が濃くなるのを感じる。
「終点か」
開けた場所へと辿り着いて腐敗臭が立ち込めておりあまりの悪臭に鼻を覆う。とてつもない臭気が周囲に充満しておりその中心点には今にもグズグズに崩れそうな腐肉の体をしたドラゴンが鎮座している。
ゾンビドラゴン
腐食、ブレス、鉤爪
敵を見定めたゾンビドラゴンは腐肉の体を揺らしながらこちらに向かってくる。腐肉の体は常に腐食のスキルを帯びており下手をしたら装備が壊れてしまうのでその対処法として神聖魔法のエンチャントを施している。
「テンペスト・ランス」
魔力を暴走させて威力を高めた嵐の槍を放つ。ゾンビドラゴンはその腐った体ゆえに成龍が持っている龍鱗を有しておらず物理耐性も魔法耐性も有していない。
しかし、放たれた嵐の槍は立ち込める腐食のオーラによって直撃する前に腐ってしまう。
「出鱈目なスキルだな……」
魔力暴走を施した呪文を一方的に無力化するなんて出鱈目にも程がある。これは並の攻撃はさっきの様に無力化されてしまうに相違ない。
ならばと命は十六夜を送還してバジレウスを召喚する。ゾンビドラゴンよりも大型の体躯で召喚されたバジレウスは早速、ブレスを放ち、ゾンビドラゴンはそれに呼応して腐食のブレスでそれを相殺する。
命はその間に前衛であるアインとアヴァリスをゾンビドラゴンの足元へと転移させて一気に攻勢に転じさせる。
「カタカタ」
足元に転移してアインはエンチャントを施された大剣でゾンビドラゴンの体を一閃する。アインの攻撃にゾンビドラゴンはうめき声を上げてダメージの大きさが伺える。
続けざまにアヴァリスの拳が突き刺さり腐肉の体が一部、崩れてしまう大ダメージでありその腐った肉体のせいかあまり体力は多くない様で目に見えて消耗している。
「シャイン!」
「ヤ!」
命の命令と共に聖なる炎が降り注がれる。聖炎は神聖属性とアンデットの弱点である炎属性の二種類の属性を有したユニークスキルでその威力は特攻が入ればバジレウスの紅蓮よりも高い威力を発揮する。
しかし、ゾンビドラゴンもやられっぱなしではなく周囲に腐食のオーラを大規模に展開し聖炎を掻き消さんと頭上へと集中させており聖炎の威力が減衰される。
「荒業だな」
冷静にそう判断する。腐食のオーラを全開に展開して事でゾンビドラゴンはかなり消耗しており致命傷を避けたがあれではそう長く戦えないだろう。
そんな状態の相手を前に油断する命ではない。窮鼠猫を嚙むということわざがあるように追い詰められた相手は何をするか分からず慎重に慎重を重ねた方がいい。
「グラビティ・ランス」
腐食のオーラに掻き消されないようにと幾重にも展開した重力の槍を発射する。腐食のオーラを全開したため、消耗しているゾンビドラゴンにそれを止めることは出来ずまともに受けてしまう。
下拵えは出来たのでフラウの上級雷魔法がゾンビドラゴンに降り注ぐ。天を割く、一条の雷がゾンビドラゴンに命中するも倒すには至っていない。
「カタカタ」
雷を大剣に纏わせたアインがゾンビドラゴンを一刀両断する。フラウの放った雷を大剣にエンチャントさせた一撃であり下手をすれば雷を浴びてしまうがアインの繊細な大剣捌きによって刀身にだけ雷を纏わせるという絶技である。




