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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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1180 おじさんは猫耳祭りに参加できるのかい?


 ――猫耳祭り。

 それは実に危険なものである。

 

 特におじさんが関わると、だ。

 安心の信頼と実績があるから。

 

 過去、二度にわたっておじさんは猫耳で騒動を起こした。

 いや、起きてしまったというべきか。

 どこかの誰かさんがとても興奮したからである。


 故に危険物指定されて封印されていたのだ。

 無論、封印されていたとはいえ、魔道具作りはおじさんの趣味である。

 

 なので、数は確保しているのだ。

 色々と作るのが楽しいから。

 

「――猫耳祭りとはなんです?」


 ルルエラが興味を持ったようである。

 聖女にむかって問いただしたのだから。

 

「だから、これよ、これ」


 セロシエ嬢の頭頂部側面でピコピコする猫耳。

 それを指さす聖女だ。

 

「それがお祭りになりますの?」


 ルルエラの反応に、やれやれと肩をすくめる聖女だ。


「これだから貴族ってやつは。わかってないわね」


 一応、聖女も貴族である。

 コントレラス侯爵家の養女なのだから。

 その言動にちょっとイラッときたルルエラだ。

 

「なにがわかっていないと言うのですか!」


「ノリと勢いよ!」


 どどーんとぶちかます聖女だ。

 

「……ノリと勢い?」


 なんのことやらと首を傾げるルルエラであった。

 良くも悪くも真面目なのだ。

 

「リー!」


 おじさんは頷いた。

 そして――聖女の手元に新しい猫耳を転移してやる。

 

「ぱいるだーおおおおおん!」


 今度は猫耳をルルエラにつける聖女。

 

「ほれ、水鏡でも作って見てみ?」


 言われたとおりにするルルエラである。

 自らの頭上にある猫耳を見て、絶句してしまう。

 

「案外、パイセンも似合ってるわね!」


 聖女がビッと親指を立てる。

 

「エーリカ、まさか……それを全員につけようって言うんじゃ……」


 プロセルピナ嬢が頬を引き攣らせながら言う。

 

「だから、猫耳祭りだって言ってるじゃん!」


 だっと逃げだそうとするプロセルピナ嬢だ。

 しかし彼女の足は動かない。

 セロシエ嬢が掴んでいたからだ。

 

「ふふふ……ボクだけ猫耳だなんて恥ずかしいじゃないか」


「い、いや。ち、ちがうんだ!」


 だが、セロシエ嬢の力は緩まない。

 プロセルピナ嬢がいやいやというように首を横に振る。

 

 そこに聖女が近づいてきた。

 猫耳を手にして。

 

「むふふ! いいわよ、セロシエ。そのまま掴んでなさい」


「もちろんだ!」


「ぱいるだーおおおおおん!」


「ああああああ!」


 ぺたんとへたりこむプロセルピナ嬢だ。

 その頭にはしっかりと猫耳がついていた。

 

「ぬわはははは! 次はどこのどいつだい?」


 にたりと笑う聖女。

 カタリナ嬢、ルミヤルヴィ嬢と残りの脳筋三騎士が頬を引き攣らせた。

 

「エーリカ、私はつけたいのです!」


 パトリーシア嬢だ。

 他にもジリヤ嬢とジャニーヌ嬢の二人が続く。

 彼女たちは、いわゆるかわいい系女子だ。

 

「ようこそ、我が猫耳教団へ!」


 勢力が拡大していく猫耳教団である。

 

「リー様。私たちも猫耳教団に入信しますわ!」


 アルベルタ嬢たち狂信者の会である。

 彼女たちはおじさんのためならなんでもするのだ。

 

 例え猫耳だろうと、その身につける。

 おじさんに近づくために。

 

 そもそも猫耳教団とかないのだけど。

 

 そんな三人をちらりと見るおじさんだ。

 微笑み、猫耳を転移させる。

 

「ありがとうございます!」


 一切の迷いなく装着する狂信者の会だ。

 その頭上で、猫耳がピコピコと動く。

 

 結局のところ――賛否はあれど全員が猫耳を装着した。

 おじさん以外。

 

「で、エーリカ。これで満足なのですか?」


 ルルエラが問う。

 彼女は実に堂々としていた。

 水鏡で、自らの姿を確認して思ったのである。

 

 ――意外とイケてる、と。

 だから、なんら恥じることなどないのだ。


 さすがに公爵家の令嬢である。

 腹が据わっているのだ。


「ちっちっち。ここから猫耳祭りが始まるのよ」


 聖女にも猫耳がついていた。

 

「どう始まるのです?」


「第一回チキチキ猫になる選手権!」


 もはやおじさん以外、意味がわからないだろう。


「だから、どういうことなのです!」


 ルルエラの言葉に、聖女が返す。

 

「今日はこれから語尾に“にゃ”とか“にゃん”とかつけるのよ」


「は? 意味がわからないにゃん!」


 思わず、自分の口を押さえるルルエラだ。

 なぜか勝手に口がそう動いていたからである。

 

「むふふふ。随分とノリと勢いがわかってきたようじゃにゃいの! パイセン」


「い、いや。そうじゃにゃくって……またにゃん?」


「ルルエラ先輩、随分と順応が早いのですにゃん!」


 はう、と自分の口を塞ぐパトリーシア嬢だ。

 

「え? これっていったいなんなのにゃん」


 勝手ににゃんがつく。

 これは……。

 

「リー!」


 聖女が説明を求めようとした。

 だが、おじさんは首を横に振る。

 

 そんな機能は猫耳につけていないのだから。

 となると――どこかの誰かさん。

 いや、猫の神とかの仕業だろうか。

 

 いずれにしても――特に害はなさそうである。

 だから、おじさんは言った。

 

「まぁそのままでも大丈夫でしょう。ところで、わたくしも猫耳を……」


「それはダメ。絶対にダメ!」


 聖女が両手でバツマークを作っている。

 それもそうか、と思い直すおじさんだ。

 

「むっふっふ。猫耳祭りの始まりにゃああああん!」


 聖女が叫んだ。

 最初は嫌がっていた面々もいる。

 

 セロシエ嬢たちだ。

 だが、彼女たちもなんだかんだで楽しそうにしている。

 教室中ににゃんにゃんと声が響く。

 

 ちなみに、この騒動に巻きこまれた男子たち。

 彼らは完全に気配を消していた。

 巻きこまれてなるものか、と。

 

 絶対に酷いことになる。

 そう確信していたのだ。

 

 だから――ものすごい勢いで気配を殺す術を覚えていた。

 

「ふふ……それにしても猫耳教団だにゃんて……エーリカは大丈夫にゃん」


 だって、神殿の聖女だから。

 勝手に新たな宗教を作っていいわけがない。


「気にするにゃん。許してくれるにゃん」


 誰が、という話だ。

 後年のことだが、男子たちがこのことを綴った日記が発見される。

 ただし、その一部は欠けていたのだ。

 

 故に――後年の学者たちは考える。

 薔薇乙女十字団(ローゼンクロイツ)内にある、もうひとつの組織。

 それが猫耳教団だと。

 

 これが薔薇乙女十字団(ローゼンクロイツ)が秘密結社と呼ばれる所以だ。

 フリーメーソンに対するイルミナティみたいな。

 そういう怪しい組織だと思われたのである。

 

 ぱんぱんと手を叩く音がした。

 おじさんだ。

 

「では、そろそろ絵を描くことに集中してくださいにゃん」


 ちょっとしたお茶目だった。

 おじさんに語尾の強制はない。

 そんなことをしたら大変なことになるから。

 

 だが――素で放たれたその一言は強烈だった。

 

 あのときの衝撃を皆が思いだしたのだから。

 ぶふっとあちこちで血の花が咲く。

 

 がくりと膝をつき、わなわなと震える聖女。

 

「だから! リーは禁止だって言ってるにゃん!」


 そんなことを言われても……少し寂しく思うおじさんであった。


誤字報告いつもありがとうございます。

助かります。

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