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朝から激しく!

朝起きると目の前にはミツキちゃん。どれだけ幸せなことか。

でもその夢のような幸せな時間もノック音で台無し。

どうやらミツキちゃん失踪で大慌ての光が乗り込んで来たのだろう。

うーん。これはまずい展開。修羅場の予感。


朝っぱらから騒々しい。まるで不倫現場に乗り込んで来た妻のよう。

実際は妹を心配する光。いいお兄ちゃんだな。

修羅場と化した朝の出来事。その主役であるはずのミツキちゃんがいない。

光からしてみればただ確認のために来ただけ。

決して疑ってる訳じゃない。だが僕からしたら生きた心地がしなかった。


奴にはミツキちゃんを隠していた負い目がある。強く言えないはずだ。

ただどうして行きにきちんとミツキちゃんのことを言わなかったのか?

大田原さんだってきっと渋々認めてくれたはずだ。僕だって大歓迎なんだから。

参加者が少なくて寂しいところにミツキちゃんが来れば盛り上がるもの。

言ってくれれば…… でも光はそれを隠した。

そこを突けば強くは出ないさ。しかし見つかってしまえば反転する。

立場が逆転する。なぜ知らせてくれなかったんだと怒っても無駄。

なぜ連れ込んだ上に正直に白状しなかったのかと責められる。

もはや逃げ場などない。よくても大喧嘩で最悪絶交となる。

ただの喧嘩ではないので長期化するのは間違いない。


ミツキちゃんが姿を消した。部屋を見渡してもなぜかどこにもいない。

押し入れに隠したはずなのにあったのは予備の布団。もう訳の分からない状況。

何が起こったのか? 突如消えたとでも?

危うく土下座しかけたぐらい。当然奴は押し入れに集中していて見逃した。

隙を見せたが何とかごまかせた。光をどうにか追いやってミツキちゃんを探す。


不倫現場ってこんな風に生々しいのか? もうこんなこと二度と経験したくない。

再度押し入れを見る。現場百遍ってね。だがやはり見当たらない。

いきなり失踪した? 無意識のうちに邪魔になり消し去ってしまった?

あり得ないがそれくらいしか思いつかない。出口には光が立っていて逃走不可。

そもそも僕たちに見られずに姿を消すなどあり得ない。

どんなマジックだ? イリュージョン?

手掛かりはこの押し入れの中にありそうだ。

すると…… ミツキちゃんは失踪したか? 神隠しにでもあったか?

この数分の間にいなくなってしまった。

うーん。もう少し。もう少しで出てきそうなんだが…… 


「もう何を一人でブツブツ言ってる訳? 早く出してよ元気! 」

押し入れの反対側に隠れていたらしい。一人では下りられないと我がままを言う。

うん。かわいいお尻。これは絶景だな。

はだけて小ぶりのかわいらしいお尻がお目見え。

やはりミツキちゃんは寝る時は下着をつけないよう。何とワイルドで大胆なのか。

おっと…… 興奮してる場合じゃない。今は急いで救出しなければ。


「早く出ろって! 」

強引に引きずり下ろす。

「どこ触ってるの元気? もう嫌らしいんだから! 」

手伝えと言ったくせに文句を言う。ちょっとしか触ってないっての。

「そんなことより早くしろ! 大騒ぎになるぞ! 」

つい強く当たる。焦ってどうにもならなくなりそう。

「だったら行ってきますのキスだけでも」

「バカ! 今はそんなこと…… うわああ! 」

強引に迫られるのも悪くない。僕ってどっちかと言うと迫られるタイプなのか?


「もう恥ずかしがって…… 」

こんな時にしつこく求める困ったミツキちゃん。

甘やかすと付け上るからな。でも拒否し続けると機嫌悪くなるしどうしよう?

「はいはい。急いでねミツキちゃん」

子供扱いすると諦めてくれる?

「もう元気のくせに生意気! 興奮したの知ってるんだから! 」

えらい言われよう。いつも冷静で常に先のことを考える立派な人間。それが僕さ。

当然ミツキちゃんを見て興奮しない。するはずがない。我慢してるんだから。

つい気を緩めると昨夜のことを思い出してしまう。へへへ…… 

 

「ああやっぱり嫌らしいこと考えてた? 」

どうして分かる? 言わなければいいのに指摘する悪い癖。

これではいつトラブルに巻き込まれることやら。

僕がきちんと教育してあげないとな。エヘヘ……

「ミツキちゃんのことじゃないよ」

「待って? 嫌らしいことを他の女で考えてたの? 」

どうでもいいことに拘り出したぞ。面倒だな。今はそんなことしてる暇はない。

急いでミツキちゃんを生還させないと光にも悪いしな。

「せめて女の子って言おうよ。下品だよ? 」

「うるさい! 他の女の嫌らしいこと考えていた方が下品でしょう? 」

正論を吐かれては何も言えない。

これならば正直に昨夜のことを思い出してニヤニヤしてたと言えばよかった。

見栄を張り格好つけるからこうなる訳だ。幻滅されたかな? 


「ごめん。今はミツキちゃんのことしか考えられない」

事実だしつまらない嘘を吐いて追い込まれて堪るか。

僕は生き残ってやる。どうにかして彼女を繋ぎとめるんだ。

あれ…… いつの間にか立場が逆転した?

「もう正直なんだか。でも今はこの危機を乗り切ることでしょう? 」

冷静なミツキちゃん。だがすべてお前のせいじゃないか。

せめて朝早くに戻っていればこうはなっていなかった。

それを目覚めのキスだと待ってるんだからな。ついでに行ってきますのキスまで。

でもそんなこと言えないし顔にも態度にも出せない。


「よし行こう! 」

手を繋いで引っ張っていく。

「もう元気ってば強引! 」

ふざけてからっている。困るよな。光に見つかったら終わりだってのに。

いや待てよ。どうにか言い訳できなくもないか。


危うく血が流れるところだったがどうにか回避した。

後はタイミングを見計らってミツキちゃんを生還させよう。


                 続く

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