どこか変な第三の山田
月曜日。
今光に会うのが怖い。それは変に意識してしまうからだ。
ミツキちゃんがおかしなことを言って心に秘めた思いを解放させてしまった。
どう向き合ったらいい? でもどうなんだ? 僕は光をどう思ってるんだろう?
真剣に考えたことはなかった。ただの親友にそんな意識あるはずがない。
まだ大田原さんになら。いや…… ないか。とにかく光にはない。
ないものをあるかもよと言われれば人間誰でも動揺するし意識だってするものさ。
それだけじゃない。ミツキちゃんにも信じられない事実が発覚。
いや…… 誰を好きになろうと構わないが…… まさか本気なのか?
結局二人の関係は進展した? 後退した? そもそも進展させたかったのか?
このままの状態は辛いがはっきりしたくない思いもある。
それはミツキちゃんを巡って光と対立したくないのも一つ。
碓氷さんとの関係もある。はっきり言えばまだ碓氷さんを諦めてない。
まだ一度も告白してない。無理やりに近いが好きだと告白してもらった。
だからどうしても碓氷さんを諦めきれない。きちんと告白してから次に進みたい。
この状況を第三の山田では乗り切れない。
教室では相変わらず碓氷さんとハイタッチを交わす。
もう僕のこと忘れたんだろうな。第二の山田とは違うんだぞ。ただの山田君と。
ミツキちゃんのように親しみを込めてハイタッチに臨んで欲しい。
願望だが…… いや待てよ。僕は碓氷さんのことをすっかり忘れていた。
だがミツキちゃんがはっきりしない。このままでは僕の方が虜になってしまう。
絶対にあってはならない。逆転現象が起きた。
再び碓氷さんに思いが行くのか自分の中でも不安だった。
でもミツキちゃんではいけない。中学生に本気になる奴がいるか?
もう彼女だって拒絶し始めてる。光のせいらしいが本当のところは分からない。
飽きたのかもしれない。僕はミツキちゃんに捨てられるのか?
もういつの間にか忘れさられているのでは?
そう考えるだけで怖い。何も手につかない。これはもう諦めるべきなのかもな。
いい夢を見せてもらったと諦めるしかない。決して執着してはいけない。
「どうしたの山田君。どこか変だよ」
何と覚えていてくれた…… いや違った。もう認識している。
相変わらず彼女は僕のことは何とも思ってない様子。
いいんだ。確かに僕には碓氷さんは高望みなのかもしれない。
頭がいい訳でもスポーツができる訳でもない僕がモテるはずないんだ。
彼女が関心を示してくれるはずない。考えれば分かりそうなのにまだ期待してる。
もうさすがにこれ以上振られたら生きて行けない。
でもミツキちゃんの方はは本当に振ったのではないだろう。
僕までが本気になったから戸惑っているだけかもしれない。
一時は本当に両想いだったのに突然の変化に驚いている。どうしたのだろう?
碓氷さんも似たようなものか。よりこっちは悲惨か。
ようやく認識してくれたと思ったら嫌われて。
それを乗り越えたと思ったら今度はただのクラスメイトの一人だと思われ。
大体碓氷さんは頭が悪いから。そのことで僕を覚えられない。
仮に覚えていても次の日にきれいさっぱりだから。
こうして再びただの山田になった。第三の山田でさえない。山田の一人。
それは天才の山田でもスポーツ万能の山田でもなくどこにでもいる山田になった。
残念だよ。少しは進展したと思ったらこうだからな。どれだけ存在感がないんだ。
モブに徹してるつもりはまったくないのに天性のモブ。
もう発展はない? 絶対ない? そうだよな。だからこそミツキちゃんに傾いた。
「どうした元気? 」
ミツキちゃんのこともあってどうしても避けていたが光との関係も改善。
すぐに修復されるだろう。
と言っても俺が勝手にそう思ってるだけ。奴は全然そんなことない。
会えば前と変わらずに接してくれる。どちらかと言えば僕の方が避けていた。
それはミツキちゃんに関すること。光には直接関係ないのだがそれでも。
「いや…… 眠くてつい…… 」
放課後に集まってサークル活動。
「無理するなよ」
そう言って笑うので何だか凄いなと感じてしまう。
うん? 憧れる? 分からない。光については自分でもよく分からない。
ミツキちゃんはおぞましいことを言うけれど。
あれってふざけてだよな? ただの冗談。僕と付き合うのが確定し悲観したから。
だからって僕が光を愛してるはないよな。想像も思い出すことさえも汚らわしい。
どこをどう見たらこいつと結ばれるんだよ。
ダメだ。まずい。どんどん意識し始めている。何てこと。
これではミツキちゃんの占い通り。僕の心のどこかに光が存在してたのだろうか?
それを見抜くとはミツキちゃん…… さすがは兄妹だ。
お見事だし嬉しいけれど指摘しないで欲しかった。
おかしな三角関係になってしまった。それを自覚できてないのは光のみ。
今までの思い出が変わって行くよう。僕は結局のところどうだったのだろう?
光にとって僕はどのような存在なのか?
おいおいつまらないこと考えてどうする。
地味で目立たない光の印象がどう変わると言うのか?
続く




