規則の影
白い部屋の扉の向こうで、冷たい影が動く。
施設の上層部――
規則を司る者たちは、レイの異常を察知していた。
微細な脳波の変化、小さな祈り、そして共鳴。
「……対象が、自律を持ち始めている」
端末に映る数値を前に、監視官は眉をひそめる。
「早急に対応しろ。放置すれば規則に歪みが生じる」
だが、現場に向かう監視班の目には、
レイの光が見えてしまう。
それは規則外の“希望”であり、
何より守るべき存在に思えるから、心が揺れる。
白い部屋では、レイが静かに膝を抱えて座っていた。
ルミナとカイルは、背筋に冷たい緊張を感じながらも、
少女のそばを離れられない。
「……これ以上は危険です」
ルミナは、心の奥で自分を戒める。
しかし、レイを守るためには、
規則を破るしかない。
カイルも静かに頷き、手を握りしめる。
「……一緒に、守る」
その瞬間、部屋の外から、足音が近づく。
重々しく、規則を背負った存在の足音。
二人は一瞬で緊張する。
レイは、恐れるどころか、静かに微笑む。
「……大丈夫です」
その言葉に、ルミナは胸を締め付けられる。
守ると決めたからこそ、この小さな光を絶対に失えない。
監視班が部屋の前に立つ。
数値では異常はないが、直感的に、
少女――レイの存在が、世界の規則を揺るがすことを理解していた。
「……触れるな」
カイルの声が、低く響く。
ルミナも、静かに手を握る。
規則の影は迫る。
しかし、光を持った少女――レイ――の存在は、
それ以上に強く、彼らの心を捉えて離さなかった。
部屋の中で、三人の間に静かな覚悟が生まれる。
守るか、規則に従うか。
選択は、もはや二者択一ではない。
白い部屋の光が、三人を包む。
そして、その光は、
世界を少しずつ変える兆しを秘めていた。




