自己紹介
「ミル様、今5人に建国の神話を話していたところです」とリベルタス様が校長に報告する。
校長は3人を連れていた。
一人は紫色のマントを羽織った青年。リベルタス様ほどではないが風格がある。まさに威風堂々といった感じだ。胸にドラゴンをあしらったブローチを付けているから皇子だろう。
もう一人は小人の男性。なぜか両手を校長に縛られていた。
三人目は、マントと仮面をつけた謎の人物だった。肌を一切露出させていない。スーッと滑るように移動している。
気づいたら、私以外の学生4人が紫マントに頭を下げていた。私も慌てて頭を下げる。
「神と賢者の御前で皇子ごときに頭をさげるものじゃない。下げるなら英雄に、神に、賢者に頭を下げるのだ」と紫マントが言う。
「今は緊急事態なのでそのような儀礼的な振る舞いは不要です」とリベルタス様。
「さっきは頭下げろって言ったじゃないですか」私はついぽろっと言ってしまう」
「あれは、私の威厳とか色々立場がありまして……。今ならいいんです。このメンバーなら」
「神に向かいなんという口の利き方。我が血族として恥ずかしく思うぞ。それでもジルバ家の一員か」と紫マントに叱られた。
「私とフェニカさんの仲ならいいんです」とリベルタス様。ちょっと嬉しい。
「失礼しました。お許しください」お堅いやつだな、紫マント。
「あ、いえいえそうかしこまらずとも構いません」お気楽だな、リベルタス様。なんかコロコロ対応が変わるやつだな、紫マント。
「私とミル様で人払いと結界の術を使います」とリベルタス様
「今日これから話すことは他言無用です。もし話した場合には、私があなたたちを罰する前にあなたたちは後悔することになるでしょう」
「まずは自己紹介をしましょう」とリベルタス様。なんか小人がずっとこっち見てる。
「私は自由と奔放な性と倒錯した性とその他もろもろを司る女神、異界の勇者、自由の翼、リベルタスです。人間界に積極的に関われるのは私だけなので、私が司会します。私を知らない方はいませんよね?」
「いつもあんたの神殿には金貨がほったらかしにされてるから感謝してたぜ」と小人。
「口を慎め、盗人め」と紫マント。
「問題発言ですが、問題にするのは後で」とリベルタス様。
次は、賢者ミル様の番だった。
「私はミルドリス・ディスティミア。建国の七英雄に数えられ、巷では賢者などと呼ばれていますな。この学校の創立者にして、初代校長。1400年間帝国士官の質を守り続けたものです。実は元老院議員もやっておりますが、最近は口を慎むことにしておりますぞ」
超偉い人じゃんこの爺さん。今見ると爺さんに見えるな。さっきは若く見えたのに。いくつなんだろう。って1500歳以上か。
「それでは学生の皆さんにも自己紹介してもらいますぞ」
「当然最初はこの私でしょう」と紫マント。「帝国第一皇子、アウグストゥス・ガイウス・オクトバ・ウェルキエル・ノエル・ジルバ。ウェル皇子とお呼びください。」
自分で皇子と呼べといってきたよ。っていうかファーストネームはウェルキエルなんだ。前と後ろのゴタゴタは何なの?
「次はミネルヴァ」とリベルタス様。
「エルフの第二王女、ミネルヴァ・アルファです。えっと、宜しくお願いします」
自信なさげな我が妹?だった。
「順番から考えると次は俺ですね。我が名、マレフィセント・グンダルタン・ヴァン・アマデウス・ティンドルフィン・ド・フィニーネ・ナナカマド。偉大なる王の末裔さ。俺としてはそこのかっこいい剣をぶら下げた姉ちゃんの素性がきになるのだが」
「自己紹介の順番はあっておるのだが……、なんというか……、こないだと名前が違うのだが……」と校長。
「フェニカの自己紹介は後でね。ヴァンの種族は」とリベルタス様。ヴァンって文法上つくあれじゃなくて、ファーストネームなんだ。「自分の気に入った名前を次々に取り入れて改名していくのがしきたりなの。ヴァン以外の部分は日常的に変わるから気をつけてね。
「名前が変わらないなんて誰が決めたんだ。いつ変えたっていいじゃないか」とヴァン。
「帝国法で決まっておるわ」とウェル皇子。
「規律に従って生きるウェル皇子と決まりを気にしたことのないヴァンは相性が悪くてのう。よく喧嘩しておるのだ。同室にしたのは失敗だったかもしれないのう」なぜその二人を同室にしたんだ。
「ヴァンの種族は種族名すら風のように変わるから、誰も正確な名前は知らないの。ちなみに、適当な嘘もつくんだけど……、ヴァンが王の末裔というのは本当なのよね。あと盗人」自分の神殿からお金を盗まれていたことを気にしているのかもしれない。
「盗人とは失礼な。落ちているものを拾ってカバンにしまうだけでなぜか皆から盗人呼ばわりされる」
「それは世間一般的には盗人と呼ぶのだといつも言っているだろう、ヴァン」とウェル皇子。この二人本当は仲が良いのかも。




