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士官学校神殿

 先生が校長を呼びに行った。

「学生の皆さんは、落ち着いてください。私が『女神の歌声』で安らぎをもたらしますので近くにいてください」

 どんな歌声だろうと戦々恐々としてたら、普通に子守歌みたいな落ち着ける歌だった。意外。


 校長が来た。

 校長は、帝国の紋章のついた鎧を着込んだいかつい戦士だった。昨日の入学式とは随分印象が違う。っていうか30歳くらい若返って見えた。インテリがむきむきになるまで鍛え続けたらこうなるかな、といったイメージの人で、文武両道な感じがした。


「リベルタス様」

 校長は膝をつくと、頭を下げた。

「やめてください。ミル様に頭を下げられる理由はありません。ご無沙汰しております。今は、なんと名乗ってておられましたっけ?」

「呼び方はミルと呼び捨てで構いませんよ。リベルタス様。あなたは神、私はただの人間なのですから」

 なんかリベルタス様のが下っぽい。あの校長、何者なんだ?


「ご冗談を言わないでください。話はどこまでご存知ですか? ミル様」とリベルタス様が聞いた。やはり様付けか。

「ここでは話せない内容まで」

「耳聡いですね。では、校長室で話しましょう」

「いえ、校長室は話すには手狭ですので、神殿へ行きましょう。あそこならリベルタスさまも姿を現せるはずです」

「ミル様、もしやまた、人に見せられないほど部屋を汚しているのでは?」

「滅相もございませんよ。では、フェニカさん、アリシアさん、アダムさん、ミネルヴァさん、レイさん。副校長が案内しますので神殿までいってください」と校長が言う。「リベルタスさま、他に呼ぶ必要があるものを呼んでから、伺います」

「ミル様、お願いします」


 私たちは、副校長と呼ばれた人物のあとを足早についていった。



 神殿は、前に行った帝都アウグスタのリベルタス神殿と同じく大理石とコンクリートでできていた。違うのは、人がいないことと、隅々まできれいに掃除されていることだった。


 剣がぽうっと光って、リベルタスさまが現れた。やはり神々しいお姿だった。美しい。


「ここは、士官学校神殿。様々な神々を祀る場所です。本来神殿は一柱につき一箇所で混同はしないのですが、帝国内でここだけは例外で建国の七柱全員が祀られています」とリベルタスさま。

「七柱? 建国の七英雄のうち、神様になったのは六柱じゃないの?」とレイ。私は建国神話を知らないので、話についていけてなかった。

「フェニカさんは知らないでしょうし、他の方も正確に把握しているとは限りませんから、建国の歴史を掻い摘んでお話ししましょう」リベルタスさまは語り出した。


「帝国建国前のこの大陸は混沌としていました。後に千年戦争と呼ばれる時代です。今の言葉で言う旧神と人間をはじめとした異種族連合、広義の人類の戦いです。その戦争の末期に現れた五人の王と一人の賢者、そして一人の異界人を七英雄と呼ぶのです。」


 リベルタスさまはなんだか懐かしそうな顔だ。この顔知ってる、昔のことを話すおばあちゃんの顔だ。


「5人の王とはすなわち、エルフ王、ドワーフ王、獣王、魔王そして、初代皇帝の義父である人間の王。ドワーフはあらゆる小人族を代表し、獣王は獣人とあらゆる獣を従え、魔王は魔族、すなわち昔魔界と呼ばれた世界出身のすべてのものを束ねます。

 余談ですが、千年戦争のはるか昔には、この世界は、魔界と人間界に分かれ争っていたと聞きます。しかし、共通の敵、つまり旧神の目覚めによって人類と魔族の戦争は終わりを迎え、魔族も人類の一員となります。

 

 千年戦争の末期に異界から幾人かが呼び出されました。その中の一人が異界の勇者、自由の翼と呼ばれた私です」


「最後に一人の賢者。名前は……」


「ミルドリス・ディスティミア」

 後ろから校長の声がした。


「私のことです」


 皆が振り返った。


「七英雄のうち六人は、死後神に引き上げられました。最後の一人が神となっていないのは、存命だからです」

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