真の恐怖
「……まじかる☆キャンディ……?」
その瞬間
ゼムギルガンの
内から
熱いものが
こみ上げた!
「まじかる☆キャンディッ!」
そして絶叫した。魔城を揺るがす凄絶な響き。魔城外壁に意匠されたステンドグラスが一斉に砕け散った。
「なっ……!? この気迫……人間か!? ひっ……!」
魔王は生まれて初めて恐怖した。戦いの楽しみなどもはや頭の片隅にすらない。
「その名をよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ゼムギルガンは人間を超えた……いや、人間を捨てた動きでまじかる☆キャンディに迫る。白目をむいたまま天井を目にも留まらぬ速さで駆け、飛び掛ってくる。
「ヒィィィィィィィィィ!? くっ来るなァーーーーッ!?」
まじかる☆キャンディは思いつく限り全ての上位魔法をゼムギルガンに叩き込んだ。雷撃、火炎、濁流、光線、闇の塊……
しかし、止まらない。片手で魔法を弾き飛ばし、一直線に突っ込んでくる。まじかる☆キャンディの精神力に生み出された魔法は、彼女を遥かに上回る精神力を爆発させたゼムギルガンの前では大した意味をなさず、四散し空中の魔力へと還るだけだ。
ゼムギルガンは更に加速し床を爆砕しながらただまじかる☆キャンディに突撃するという一つの意思と化す。
「貴様を倒してあたしがまじかる☆キャンディだぁぁぁぁっ!」
「う、うわあああああああっ!?」




