悪魔の契約
決着はついた。
完全にゼムギルガンの気迫に呑まれたまじかる☆キャンディはあっさり負けたのだった。
「くっ……殺せ!」
半壊した城の壁にもたれかかり床に腰を落としながらも、ゼムギルガンを見据え唇を噛んで言うまじかる☆キャンディ。
しかし……
「別にいいよ名前さえもらえれば」
と、ゼムギルガンは歯牙にもかけていなかった。
「……ぐっ、敗者に抗う権利など無い。好きにするがいい。……だが忘れるな! この屈辱、決して忘れんぞ!」
苦虫を噛み潰したような顔で悔しげに魔王は言った。
対してゼムギルガン……いや〝まじかる☆キャンディ〟は満身創痍ながら上機嫌だった。
「やっほう! やったね! さぁ、か~えろっと♪」
目には涙すら浮かべながらスキップで帰ろうとするまじかる☆キャンディ。
「……勇者……まじかる☆キャンディ、どうした……? 宝物庫はそちらではないぞ……?」
「そんなのいらない♪ ルンルン♪」
宝物に全く興味のないまじかる☆キャンディ。別にお金には困ってないし、だいいちそれどころじゃない。早く帰って名前変更の手続きをしないと。
「あっ、そうだ。もう王国襲わないってこの誓約書にサインしてね♪ じゃないと倒した証明にならないから」
まじかる☆キャンディは懐から羊皮紙を取り出した。前もって作っておいた契約書だった。魔族は契約を絶対に破らない。それが彼らのプライドだからだ。
「くっ……いいだろう。だが……今の私には名前がない。署名できんぞ……?」
「う~ん……あっ、じゃあ……」




