花じゃなくて…木でもなくて…さらに…?
ほんとにほんとにお久しぶりです。
いま、どの話も更新が滞っていて申し訳ない限りです。
前の話がとても中途半端だったので区切りが良さそうなところまでと思ったら、少し長くなりました
今年はさらに時間がないのですができる限り頑張っていきたいと思います
「それではもう一度詳しく説明していきますね」
一同それぞれ鉢を持って揃ったので説明をしていく。そんなに複雑な作業ではないので短めだ。
「魔法薬をかけたら、後は魔力を注ぐだけです。その時どんな効能や性質にしたいか頭の中で思い浮かべます」
学生時代の私は取り敢えずなんかこう…すごいものにしたいって曖昧な概念で考えたときに爆発系の魔法を思い浮かべてしまった。案の定バ〜ンと爆発した。
育てた人によりけりではあるが、咲かせた花の能力にも限界がある。さほど強い効果は得られないはずだったのだが、私の七変化くんはポテンシャルの高い子だったらしくかなり派手に爆発した。
「あまり余計なことを考えると思いも寄らない結果になるので気を付けてくださいね」
「「「は〜い」」」
元気のいい返事に私は満足げに頷く。
「それじゃあ、各々始めてください。あっ、なるべく人との距離をとってね」
生徒たちは私の声に素直に頷き、そわそわとしながら周りと距離をとっていく。
きっと、今から咲かせる花に思いを馳せてワクワクしているのだろう。
子供らしい一面にほんわかしながら生徒たちを見守る。
一番最初に魔力を注いだのはレナルド君だ。
それを見てみんなも魔力を注ぎ出す。
それぞれどんなことを念じて、どんな効力になったかを記録しないといけない。
なので紙とペンを片手に順々に回っていく。
「レナルド君は…」
え…??
レナルド君の花はなんかくねくね踊っていた。原色のカラフルな花で…時々ラッパみたいな音を出してる。
随分とコミカルだ。
「あっ、先生見てください!俺の花面白いでしょう!」
「そうだね…なんて念じたの?」
「なんか面白い花になれって」
「なるほど」
鑑定してみると『面白い花』と名前がなっている。食べると場所によって味が違うらしい。笑い声を聞くと成長するとある。
ガルフファウン家で育てるとなるとすくすく成長しそうだ。
次は、ヘルザ君。
「ヘルザ君は、何を念じた?」
「僕は…片頭痛に効く薬をと思って」
「きちんと出来てるよ…花びらを1枚煎じて飲めばいいみたい」
「なるほど」
雨の日とか体調が悪そうな日があると思っていたけど…偏頭痛だったのか。
なんどか大丈夫か訊いたときは大抵「慣れてるので」と返されていたので…原因がわかっただけでも良かった。
次はレティノーラちゃん。
私の予想では恋薬あたりだと思う。
「レティノーラちゃんは…」
「私は恋薬ですわ、先生。ヴェル様に効くようにって」
小声でそう言うレティノーラちゃん。
効果は…魅力を上げる。
「香り袋にすると、匂いがあるうちは魅力が増すものになってるね」
「…う〜ん、なんだか少し、ずるい気もしますわ」
「ふふ…元気のない人を元気づける効果もあるみたいだよ」
「本当ですか!?…それじゃあ、友達が元気のないときに使います」
「煎じて飲むらしいよ。また後で詳しい鑑定結果が返ってくるからそれを見て作ってごらん」
「はい!」
さあ、続いてはヴィアナ君だ。
「ヴィアナ君は目薬ですね」
「はい、最近目の奥の疲れが取れなくて…」
「きちんと早寝早起きしてる?」
「…とても面白い古代の論文を見つけてしまって…古代語で書かれているので読むのが大変で」
古代語は専門の人でないとまず勉強することは無い。そもそも未解読なのだ。はるか昔はこの大陸全土で使われていたらしい痕跡は残っているのに中々解読が進まないらしい。
「たまには休みも取ってくださいね」
「はい」
続いて、続いて…今度はベスカちゃんだ。
「あっ、リラン先生!見てください、私の花」
「ん?」
ベスカちゃんの花は、ベスカちゃんの瞳によく似た深い海色のきれいな花だった。
特段、特徴と取れるものは無い…と鑑定を使うまでは思った。
(へえ、音楽を聴いてくれる花か…ん?感動に応じて火を吐く?)
なんともベスカちゃんらしいといえばそうだ。
「音楽を聴かせると、感動に応じて火を吐くみたいだよ」
「わあ、すごいですね。屋外で育てる方がいいですか?」
ベスカちゃん家は音楽の名家らしいから、屋敷中音楽で溢れているのかな。
もし、そうなら燃えやすいものは近くにない方がいいよね。
「…どれくらいの規模の火を吐くか見てから考えよっか」
「はい!」
元気の良いお返事を後に、次の生徒のもとへ向かう。
「ナリアちゃんはどう?」
「それが、なんか…犬みたいじゃありません?私の花」
ナリアちゃんの指し示す先、たんぽぽみたいな綿毛に耳や舌のような花びらが付いている。
しかもなにやら犬みたいに舌を出し、へっへっへっと、呼吸?している。
「わあ…ほんとだ、犬みたいだね」
「ですよねぇ」
(取り敢えず鑑定…って…)
鑑定を使ってみた結果、「犬」とだけ書かれている。…え、初めて見るタイプだ。
わあ、興味深いだなんて思ってたら花の挙動がおかしくなっている。
「先生…なんか、出てこようしてません?」
「私にもそう見えるかなぁ」
スポンっ‐
見事な効果音とともに鉢から花が飛び出した。
「「…!?」」
私たちがあっけにとられてる間に、華麗に着地を決めた花?は4足歩行で森の奥に消えてった。
「「え…」」
「と、どうしましょうっ!先生…!!」
「えっ、あ…そうだ!名前!名前呼べば戻ってくるんじゃ…」
「わかりました!…えと、フ、フラワー!」
花だからフラワーなのかなと思いつつ、待つこと十数秒…
「わふっ…!」
「わあ、帰ってきましたー!」
「良かった…。…?名前って考えてたの?」
「…?いえ?さっき考えつきました」
一応主従同士であるから、呼びかけに応えたのだろうか。
「フラワーちゃんに伝わってなによりだよ」
「はい!あ、あと…フフラワーちゃんですよ!」
「なるほど…」
そういえばナリアちゃんが持ってくる試作品の中にはなかなか独特な商品名のものが多かったな。
今まで見てきたなかで一番衝撃的な花だったなとか思いつつナリアちゃんと別れた。
次はリリベルカちゃんか。
リリベルカちゃんとの接点は今のところ無いに等しい。基本、物静かで自分から発言することは滅多にない。
けれど、クラスの子との仲は良いので私に心を開いていないというとこだ。
隣国…プロヴェリティア帝国の侯爵令嬢だ。
「リリベルカちゃんはどう?」
「私のは『美しい花』です。効力は美肌特化の治癒薬ですね」
「世のご令嬢たちが喉から手が出るほど欲しがりそうな出来だね。鑑定結果も相違ないし、上出来!」
「ありがとうございます」
リリベルカちゃんはお淑やかな笑みを返してくれた。
さて、続いてはリュース君だ。
「俺の花は強くなれる花です!!」
「うん、プロテインを吐き出す花だね」
あげる栄養によって効力の変わるプロテインを吐き出すそう。
「お父さんにもあげようと思います!」
「…もうちょっと詳しく鑑定からにしようね」
「…?はい!」
元気な返事をリュース君が返してくれた。
「少しばかり生産方法の見た目が…悲惨ですものね」
近くに来ていたシャルール君がふんわりと笑顔を浮かべながら言った。
そう、そうなのだ。
鑑定通りプロテインを吐き出すのだけれど、
なんというか吐き方が若干規制が入りそうなほどグロい…。ベチャッベチャッという音も何気にグロさを助長させてる。
「シャルールはどんな花になったんだ?」
「僕は色んな花の種になる花です」
「へえー。シャルールらしいな」
リュース君の言葉に嬉しそうにシャルール君が微笑む。
鑑定を使ってみると、この世のありとあらゆる花の種になるとある。細かい条件はあるけど、なかなかすごい効力だ。神話上とされてる花の育成も可能なのだろうか…。
魔力量がクラスの中でもダントツで多い印象を常日頃から感じていたけれどここまでとは。
「上手く栽培することができれば社会に革命が起きるレベルだよ。」
「いえ…花が好きなので、たくさん育てたいなと思っただけですから」
恥ずかしそうに照れながら謙遜するシャルール君。
「それじゃあ、花が好きな気持ちが伝わったんだねえ」
「…はい。大切に育てようと思います」
純度の高い眩しい笑みの破壊力の高さよ…
ヴェルリアの小さなころの笑顔を想起させる。
やっぱり十年というのは大きい。
可愛いところをたくさん見逃したのだと思うと悲しい気持ちになってしまう。
(その分もこれからたくさん取り戻していこう)
それに今は成長を見守っていくべき生徒たちもたくさんいる。
(きっと色んなことが次々とやってくるんだろうなあ)
止まっている暇はなさそうだ。
(よしっ…)
気合を入れ直して…
つづいてはレナーシェちゃんだ。
「レナーシェちゃんはどんな花になった?」
「私は…万病に聞く花です」
「これまた、すごいね」
「ありがとうございます…と言っても、ある程度の回復力を増長させるものらしいです」
「…それでも、肢体の欠損も治せるって…随分すごいよ」
そもそも聖魔法の使い手は少ないわけで、そのなかで肢体の欠損を治せるとなるとそれこそ聖女レベルだろう。大陸で数十人だとも言われる。
改めて考えても十分すごいのだけれど…。
使い方しだいではエリクサーもかくやという回復アイテムになるだろう。
やっぱり救世の御子の魔力を持っていることも関係してくるのだろうか…。
「もしよければですが、先生の助言をたびたび伺いに行ってもいいですか」
「もちろんだよ!いつでもおいで」
「はい。ありがとうございます」
シャルール君に似たはんなりとした笑みをレナーシェちゃんは浮かべた。
次はルビネルちゃんだ。
「あ!せんせー。私の花は元気になる花!」
ルビネルちゃんの花は温かないろのカラフルな花びらがパターンごとに色を変えている。
見ていて飽きない花だ。
「お花も元気いっぱいで、温かいね」
「うん!しかも歌うんだよ!」
「なるほど」
周りの人の気分に合わせて歌を変えるらしい。
ベスカちゃんの花と相性がいいかもしれない。
「音楽を聞かせたら憶えて歌ってくれるらしいから、好きな歌をたくさん聞かせてあげるのもいいかもね」
「そうなんですね!はい!たくさん聞かせます!」
元気のいい返事にこちらまで元気をもらったような気分だ。
さて、次はエディール君。
父親に似て少し捻ったところのあるエディール君。
確か彼の父親は…グミの出る木だった。木というところに発想の枠にとらわれない自由人らしさが滲み出ている。
あれ…?よく考えるとそこまで似てない…?双方捻ったところはあれど、それは方向性が違うようだ。
うん…どちらかと言うと母親似だな。
彼女も美味しい実をつける花にしていたが、その効力は色によって様々で、自白剤だったり、麻痺毒だったり…幻覚を見せるなんてものもあったなあ。
(まあ、流石にエディール君はそこまでじゃないだろう)
そう信じてエディール君に声をかけてみる。
「エディール君は…」
「あ、先生。…試してみます?」
「え?」
そう言って微笑んだエディール君の手には見た目的には紫陽花に似た綺麗な花がある。
メルヘンな見た目で個包装にされた何かがポンポンと産み出されている。
「…もしかしてグミ?」
「はい。他にもクッキーやらキャンディやらもありますよ」
「…それで効力は?」
「先生なら鑑定でおわかりでしょう?」
はい。それはそうですとも。
にっこり爽やかな笑顔が先生怖いです。
「まあ、ご覧の通り自白剤、麻痺毒、下剤、睡眠薬、その他って感じです」
「…使用するときはよく考えてからにしようね。うん…」
「もちろんです」
またもやにっこりと返された。
大抵の人は鑑定使えないし、常時使っているという人は更に稀だ。
こんな好青年から貰ったものをわざわざ鑑定するほど用心深い人となれば、それはもう裏の稼業の方か、さる高貴な身分の方だろう。
両親の教育の賜物だろうというべきだろうか。
「最後はヴェルリア君のとこですよね。ヴェルリア君もなかなかですよ」
「おい、人聞きの悪い事を言うな」
何やら含みをもたせたもの言いのエディール君に、近くにいたヴェルリアがすぐさま反応した。
ヴェルリアが持ってるのは真っ黒だけれど綺麗な花。
「ヴェルリア君はどんな花にしたんですか?」
「俺は…相手の嫌いなものがわかる花」
「なるほど…」
どっちもどっちだというのが妥当だろう。
そう思っていると、静かにヴェルリアが挙手をする。
「俺の花は実害はほぼ無い。エディールのやつは直接的だし、その癖して可愛い見た目の個包装は悪意というか、作り主の腹黒さが反映されすぎてる」
「照れるなあ」
もう本当にいい笑顔としか言いようのない笑顔である。
ヴェルリアとエディール君がじゃれてる?間にヴェルリアの花を鑑定してみる。
(葉を火炙りすると思い描いた相手の弱点やらが浮かんでくる…相手に対する理解度が高いほどより詳細に分かる…か。確かに実害性はエディール君のに比べると低いけれど…)
やっぱりどっちもどっちだね。
それに火炙りか…一時期流行った気がする。探偵ごっこ。
それにしてもみんな個性的というか、みんならしいと思うようような花だったな。
「先生!先生は咲かせないの?」
ナリアちゃんがそう言って、私が作った鉢を持ってきた。
「私も先生の花見たいです」
ベスカちゃんが追随するように言った。
そこまで、言われたらしないわけにはいかない。
まあ、もともと後で咲かせるつもりだったし…。
「よし!じゃあ先生も咲かせます!」
ナリアちゃんから鉢を受け取る。
そこで気づいた。
こころなしかみんな遠い気がする。物理的に。
「あの…先生が爆破したって言ってた教室って僕らの教室とサイズ感変わりませんか?」
エディール君がそう訊いてきた。
「…?そうですね」
「おい、もうちょっと下がったほうが良さそうだぞ」
ヴェルリアの言葉にみんな素直に後退する。
いや、確かに前科はあるけども…
自分で考えてたら不安になってきた。
「…先生も結界張ってからにします」
ちょっぴし強めの結界を張る。
(気を取り直して…)
何を願おうか。
(…そうだ!)
手を鉢にかざし魔力を注ぐ。
(みんなの花が健やかに育ちますように)
おまけとばかりに少し多めに魔力を注ぐ。
「よし」
わくわくしながら成長していくさまを眺める。
「ん?あれ…」
何か可笑しい。
そう思っている間にも、ぐんぐんと伸びていくお花さん。
「うわぁ…」
よし、逃げるが勝ちだ。
ここで止めるために私が魔力を注いだとしよう。
お花さんは私の魔力を主として育っている。つまり、止めるための魔法も栄養だと認識され、さらに被害が拡大するのは想像に難くない。
今、あらかじめ張っておいた結界のおかげでなんとかなっているだけ。
「みんな逃げよう!」
「「「えっ…!?えっ〜〜〜!!!」」」
もう結界を割らんばかりに大きくなってる。もはや林だ。後ろの森の方に大きくなってくれればいいけど…。
「たぶんここまでくれば大丈夫」
後ろでは肩で息をしてる生徒たち。
そして目の前に広がる一面の森。緑じゃない。カラフルだ。
これは怒られるな…たぶん。
「まあ、爆破はしなかったし…大丈夫…?」
「そんなわけないだろ」
「あいてっ…」
頭をこづかれた。
いつのまにか師匠が隣にいた。
「まったく…どうしたもんかねぇ」
「ですねえ…あいてっ…」
またこづかれた。
でも、まあホントにどうしたものか…
まだ、各キャラの書き方がしっくり来ない…我が子のはずなのに…




