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Miracle Force Princess  作者: ロマンス王子
第二章 新たな力編
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第十三話 パワーアップ大作戦!

 何処にでもいるはずの女性、桜名(さくらな)美姫(みき)はホロテイルジュの小学生のメンバーの赤園(あかぞの)風布花(ふうか)が暴走してしまうという秘密を隠していた桃井(ももい)剣二(けんじ)に対し不信感を抱いてしまう。しかし、剣二もホロテイルジュについて何も知らないまま戦っていた事実を知る。そして新たなホロテイルジュの秘密である複数の星座と童話の力を使うということに成功した美姫は、新しい姿、シンデレーザー・ワイルドタイプとなりマリスを倒すのであった。

 ある日、異世界にあるダークストーリーズの本拠地には幹部達が集まっていた。

「おい、ホロテイルジュの一人が新しい姿になったって本当かよ⁉」

 ダークストーリーズの幹部パンドラスはシンデレーザーがワイルドタイプになったという知らせを受けて驚いていた。

「全く、今のホロテイルジュは弱っちい奴らばかりだと思っていたけどここに来て複数の力を使う奴が出て来るとはねぇ。」

 同じく幹部のバブルガスも驚きを隠せなかった。そしてパンドラスとバブルガスの元にはウィッチ・シスターズの二体とスーター、ウルフィンもいる。

「シンデレーザーですか。彼女はデビルホーンとギルベアーを倒したと聞いていますが、もしかしたらホロテイルジュで一番の脅威に成り得るかもしれません。」

 スーターはシンデレーザーの戦績を振り返り、その手強さを感じる。ダークストーリーズは今、一番の危機を感じていた。俯く一同に、バブルガスが口を開く。

「ふん、そんなことを言ったって仕方がないよ。どうせまだ一人しか使えないんだ。今の内に潰しとけば良いだけだよ。」

 バブルガスはそう言って人間界へと赴く。

「上手く行くかねぇ。」

 パンドラスは特に期待感を抱かないままバブルガスを見送るのだった。



 そしてまたある日、ホロテイルジュのメンバーである水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)鈴木(すずき)林檎(りんご)は市民プールに来ていた。

「うあっぷ…、ぶくぶくぶく…。」

「夜衣魚、ほぼ溺れてるよ。」

 夜衣魚はプールで泳ぎの練習をしていたが、上手く泳げずに溺れるような泳ぎを見せていた。そしてそれを呆れながら見つめる林檎。

「しょうがないでしょ、私昔から金づちだったんだから~。」

「全く、何で夜衣魚が人魚姫に選ばれた戦士なんだろう…。」

 林檎はあまりの金づちぶりを見せる夜衣魚に、何故人魚姫の力を得たのか疑問に感じていた。そしてそんな二人の様子を、双見(ふたみ)アラモードが待合室から眺めていた。

「はぁ…、何で私まで付き合わされるんだろう…。」

 アラモードは市民プールに付き合わされたことに不満を抱いていた。しかも待合室に行く際、アラモードはパフェの持ち込みを断られてしまったため、仕方がなく鞄に入れてあった大量のチョコレートを食べながら過ごしていた。

 夜衣魚は数日前、美姫が新たな星座と童話の力を引き出したことを受けて、自身もホロテイルジュのために新たな力を引き出そうと考えていた。そして夜衣魚は自身がうお座と人魚姫に選ばれた戦士であることを考え、まずはコンプレックスである金づちを克服しようと市民プールを訪れることを決めたのだ。

「美姫さんが新たな力を引き出したんだし、私達も新しい力を引き出さないと。」

「それもわかるけど、別に焦る必要もないんじゃない?」

 林檎は夜衣魚が、どこか焦っているように見えた。

「べ、別に焦っている訳じゃないし。」

 夜衣魚はそう言って再び泳ぎ始める。しかし未だ溺れているような泳ぎ方をしてしまうのだった。

「はぁ…、そうじゃないでしょ。私が教えてあげるから。」

 林檎は呆れながらも夜衣魚に泳ぎを教えるのだった。



 一方その頃、剣二と浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)は洋館の書庫にいた。

「ふぅ…。改めて読み漁ってみると、色んなことが載っている割に大事なことは見つからないねぇ。」

 輝弓は膨大な量の本に圧倒されながらも、本当に知りたい情報が見つからない事実にホロテイルジュの底知れなさを感じる。

「ああ。この力がどこから来たものなのか、星座と宝石と童話に何の関係があるのか、確かに何も書かれてはいない。」

「やっぱり例の創設者が、何か重大な秘密を隠しているって可能性もあるよね。」

 剣二と輝弓は、ホロテイルジュの秘密を創設者が隠しているという可能性を考えていた。しかしそれを確かめる術はなかった。

「ホロテイルジュの創設者、つまり美姫さんのお祖母さんはもう亡くなってるって話だし、確かめようにもねぇ…。」

 二人はホロテイルジュの秘密を知ろうと思っても確かめられない現状に、頭を悩ませるばかりであった。

「あぁ~、こんなんだったらホロテイルジュの残り三人にもっと深く聞けば良かった~!」

 輝弓は以前、剣二ともう一人のメンバーである金山(かなやま)依斧(いおの)と共にホロテイルジュの残り三人に謁見した際、ホロテイルジュの秘密について深く尋ねなかったことを後悔し頭を抱えてしまう。

「いや、あの様子じゃ例え聞いたとしてものらりくらりと交わされただろう。」

 剣二は頭を抱える輝弓を励ます。しかしそれでも二人はどうしても気になることがあった。

「俺達の中で美姫さんが先に複数の力を使うことが出来たとなると、俺達も出来るようになった方が良いのかな?」

「ああ、ダークストーリーズも幹部が何体いるかわからない。俺達も力をつけるに越したことはない。」

「だよなぁ~。」

 剣二と輝弓はダークストーリーズとの戦いに備えて新たな力を手に入れる必要があると感じる。しかしその方法がわからないまま、二人は頭を抱えてしまうのだった。



「はぁ…、いつまでやってるんだろうあの二人。」

 アラモードは待ちくたびれながら未だ練習する夜衣魚と林檎を眺めていた。するとアラモードの元に高校生のメンバー、三浦(みうら)竹月(たかつき)が現れる。

「アラモードさん、お二人の様子はいかがですか?」

「ん~、まだ全然。」

 竹月は夜衣魚と林檎の様子をアラモードに尋ねるが、アラモードは未だ夜衣魚の泳ぎが上達しないことを不満を込めながら話す。

「そうですか…。」

 竹月はそう答えながら夜衣魚達を眺める。

「あ、そうだ。チョコ食べる。」

「頂きます。」

 アラモードはふと竹月にチョコを渡し、竹月はチョコを食べる。

「ん?」

 チョコを食べた竹月はそのチョコの味を不思議に感じる。

「このチョコの味、何ですか?」

 竹月はチョコの味が気になり、アラモードに尋ねる。

「ん~、これ?パフェ味。」

「パフェ味、ですか?」

 竹月はアラモードからチョコの味がパフェ味だと聞き、確かにパフェの生クリーム、トッピングのフルーツの味がすると感じていた。

「流石ですね、アラモードさん。」

「まぁね。」

 竹月は甘い物なら何でも食べるアラモードに感心してしまう。そしてそれに無表情で答えるアラモードだった。そして竹月はふとアラモードに尋ねる。

「ところでアラモードさんは、何かしてるんですか?」

「何かって?」

「美姫さんみたいに、新しい力を引き出すための特訓などです。」

「ん~、やってない。」

 竹月はアラモードが夜衣魚のように新しい力を引き出すために何かしているのか気になっていたが、勿論アラモードは何もしているはずがなかった。

「そういう竹月ちゃんは、何かしてるの?」

 アラモードはチョコを食べながら竹月に尋ねる。

「はい。(わたくし)はかぐや姫の力をより引き出すためにはジャンプ力が必要だと思って、先日トランポリン部の活動にお邪魔致しました。」

「へぇ、トランポリン部とかあるんだ。」

 アラモードは竹月の話を、終始興味無さそうに聞く。一方、夜衣魚は泳ぎ過ぎでへとへとになっていた。

「はぁ…、はぁ…。」

「もうやめよっか夜衣魚、結構疲れたでしょ。」

 林檎はまともに喋れなくなっている夜衣魚に特訓の終了を勧める。

「そ…、そうだね。」

 夜衣魚も疲れて今日のところは諦めるのだった。



 その夜、夜衣魚、林檎、アラモード、竹月の四人は焼肉店にて夕食を共にしていた。

「頑張ってスタミナつけて私達も新しい力を引き出せるようにならないとね、ね!」

「そ…、そうですね。」

 竹月はいつにない夜衣魚の覇気に圧倒されてしまう。そして林檎はそんな夜衣魚の様子をおかしく感じていた。

「夜衣魚、やっぱりちょっと焦ってない?」

「べ、別に焦ってないよ。」

 林檎の問いをはぐらかすように、夜衣魚はご飯を掻き込む。

「夜衣魚、この中じゃあんたが一番年上なんだからそんな落ち着きないのはやめてよ。」

「そ…、そうだね。」

 夜衣魚はそう林檎に一喝され、手を置いて静かになる。そして夜衣魚はゆっくりと話し出す。

「…美姫さんが新しい力を引き出したんだから、私達も早く追いつかないと美姫さんに無理させちゃうと思って…。」

「…そっか。」

 林檎は夜衣魚の言葉に同情する。確かにホロテイルジュの中で複数の星座と童話の力を引き出したのが美姫だけという事実は、美姫がこれからの戦いの要になるということを示唆していた。更に強くなり始めた戦士というのはこれ以上強くならないように敵に狙われやすくなるという欠点もある。

「美姫さんはきっと、ご自身が戦わなければいけないという責任感に駆られていると思います。確かに今、私達が一層戦士として強くなければなりませんよね…。」

「それはわかるけど、まだ新しい力を引き出す条件もわからないのにがむしゃらに頑張っても…。」

 竹月は美姫のことを思い、焦燥感を覚える。しかし林檎はそれでも夜衣魚のやり方には希望が見えなかった。

「がむしゃらでも良いの!どんどんお肉を食べてスタミナをつけないと。ほら竹月ちゃん、どんどん食べて。」

 夜衣魚は気持ちを切り替えて竹月に焼いた肉を次々と渡す。

「あの、私はあまり脂の多い物はちょっと…。」

 竹月はあまりの肉の多さに気が引けてしまう。

「アラモードも、どんどん食べて。」

「えぇ~。」

 更に夜衣魚は、パフェを食べられずに肉を少しづつ食べるアラモードにも肉を次々と差し出す。

「夜衣魚、そんなに食べられる訳ないでしょ。」

「つべこべ言わないの!ほら、林檎も。」

 夜衣魚は窘める林檎の言葉も聞かずにただ肉を食べようと意気込む。そして四人は暫く焼肉を食べるのだった。



 時を同じくして、市民プールの近くにあるトレーニングジムに依斧がいた。依斧は色々なトレーニング機器で筋肉を鍛え上げていた。そしてそんな依斧の元に輝弓が現れる。

「よっ依斧、やってるね~。」

「輝弓か。」

 輝弓は一人トレーニングをしている依斧の様子を見に来たのだ。

「もうかなりムキムキなのに、これ以上筋肉をつけてどうするの?」

 輝弓は依斧を冗談半分でからかう。

「他のみんなも新しい力を引き出そうと努力しているんだ。俺も力をつけないとと思ってな。」

「頑張るね~。」

 輝弓は一人頑張る依斧に感心する。依斧はふと輝弓にあることを尋ねる。

「ところで輝弓。」

「何?」

「…お前と剣二さんは何を隠している?」

「…え?」

 輝弓は突然の依斧の言葉に驚いてしまう。

「美姫さんのことを例の人達に聞きそびれていたそうだが、美姫さんのことで何か秘密でもあるのか?」

「や、やだなぁ依斧。俺と剣二が隠している訳ないじゃん。」

 輝弓は慌てて答えるが、その焦りは依斧も察していた。

「ホロテイルジュのみんなを動揺させるような秘密なのはわかる。だが俺だけでも話してくれていいんじゃないか?」

「…やっぱお前の方が年上だな。」

 輝弓は隠すことを諦め依斧に秘密を話すのだった。



 一方その頃、バブルガスはとある女性に会っていた。

「ほら、あんたの悪意を教えな。」

「悪意…?」

 その女性はバブルガスの容姿に怯えながらも自らの悪意を教える。

「へぇ、随分良い悪意だねぇ。それじゃ頂いちゃお。」

 そしてバブルガスは、その女性からマリスを産み出すのだった。



 明くる日、夜衣魚達はまた市民プールに向かっていた。

「今日こそ、今日こそ泳げるようになって新しい力を引き出すんだから!」

 この日も夜衣魚は泳げるようになろうと意気込んでいた。

「もう、今日も元気だなぁ。」

 林檎は意気込む夜衣魚に、呆れを通り越して不安な気持ちを覚える。そしてこの日はアラモードと竹月も水着を持って来ていた。

「夜衣魚、私も泳ぐの~?」

 アラモードは運動が苦手なため、夜衣魚にプールに連れて行かれることを面倒に感じる。

「ま、アラモードも運動不足解消ってことでここは一つね。」

 林檎はアラモードを説得してなんとかプールに連れて行こうとしていた。

「私も、プールで何か掴めるかも知れませんしお供いたします。」

 一方の竹月はプールに行くことを前向きに捉えていた。

「よし、じゃあ今日はこの四人で特訓だ~!」

 夜衣魚のやる気について行く形で、皆は歩を進めていた。

 しかし市民プールに着いた時、プールには異変が起きていた。

「何あれ?」

 プールの扉やまどからは大量の泡が流れ出ていた。

「プールの水が溢れ出したとか?」

「それにしても、泡はないでしょ。」

 皆は目の前の有り得ない光景に憶測が飛び交う。しかし夜衣魚は泡と聞いてあることを思い出す。

「いや、泡といったらあいつの仕業だ。」

 夜衣魚がそういうと皆の前にバブルガスが現れる。

「ご名答~。」

「バブルガス!」

 皆はバブルガスを前に警戒する。バブルガスは目のところを黒い布で覆った女性を連れていた。

「その人がマリスを産み出した人?」

「またまた正解。」

 林檎の問いにバブルガスが答える。

「それじゃあ今回のマリスに登場してもらいましょう、どうぞ~。」

 バブルガスはおどけた口調でそう言うとマリスを召喚する。召喚されたマリスはアロハシャツやサンダルに浮き輪など海を思わせるようなものを身に纏ったような容姿をしていた。

「このマリスはね、この女がせっかく海に行ったのに全然彼氏が出来ないことに対する悪意が産み出したんだよ。」

 バブルガスは捕えている女性の悪意を説明する。

「だったらそこのマリスを倒して、あんたが捕まえている人も返して貰うんだから!」

 夜衣魚はバブルガスに啖呵(たんか)を切り、鞄から本を取り出して開く。

「アラモード、勿論あんたも戦うんだからね。」

「えぇ~。」

 アラモードは林檎から戦いを促され面倒に感じながらも渋々本を開く。

「うお座!アクアマリン!人魚姫!」

「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」

「さそり座!アメジスト!白雪姫!」

「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」

 四人が一斉に叫ぶと空が暗くなりそれぞれの星座が現れ、声が聞こえる。

「Miracle Force!」

「来ちゃって!」

「カモン!」

「来なさい!」

「おいでなさい!」

 四人が空にそう叫ぶとそれぞれの星座の最輝星が光を放ち四人の指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、四人の体を包む。やがて四人の体は光を放ち戦士へとその姿を変える。

「マーメイデスト!」

「ツインスウィーテス!」

「ポイズノーム!」

「フルムーンハイヤー!」

 四人はそれぞれ名乗る。

「さあここからが正念場だよ!」

 マーメイデストはそう言って一人マリスに向かって突っ走る。

「ちょっと、何してるの?」

 ポイズノームはマーメイデストの意気込み方に不安なものを感じる。

「マーメイトライデント!」

 マーメイデストは三又の槍を召喚する。

「はぁ!」

 マーメイデストは巧みに槍を振り回してマリスを攻め立てる。しかしそれは一方的にマリスを攻撃するような戦い方だった。

「夜衣魚さん、やはり焦っていらっしゃるようですね…。」

 マーメイデストが焦っていることは、フルムーンハイヤーの目からも伺えた。

「私達もフォローするよ。」

「はい!」

「は~い。」

 ポイズノームはフルムーンハイヤーとツインスウィーテスにそう指示して立ち向かう。しかしマリスは突然、大量の泡を噴き出す。

「何これ!?」

 四人は大量の泡に目が眩んでしまう。

「負けるかぁ~!」

 そう言ってマーメイデストは泡を掻き分けて脱出し、攻撃する。

「ちっ、しつこいねぇ。やっておしまい。」

 バブルガスは尚も立ち向かうマーメイデストを疎く感じ、マリスに指示する。そしてマリスはマーメイデストに集中的に泡を浴びせる。

「う、うわぁぁぁぁ!」

「夜衣魚!」

 マーメイデストは思わず吹き飛ばされてしまう。そしてそこに、美姫と小学生のメンバーの風布花が手をつないで駆けつける。

「どうしたのみんな?」

「美姫さん!」

 美姫は目の前の光景に驚いてしまう。

「とにかく戦わないと!風布花ちゃんは街の人達の避難をお願い出来る?」

「任せて下さい!」

 美姫は風布花に避難誘導を頼む。そして美姫は鞄から本を取り出して開く。

「やまねこ座!ダイヤモンド!マレーン姫!」

 そう言って美姫はシンデレーザー・ワイルドタイプへとその姿を変える。

「行くよ!」

 シンデレーザーはそう言うと泡が溢れるところを飛び越えてマリスに飛び掛かる。そして鋭い爪でマリスを攻め立てる。

「美姫さんに、これ以上戦わせる訳には…。」

 マーメイデストは果敢に戦うシンデレーザーを見て更に焦りを覚える。しかしそんな焦りとは裏腹に、大量の泡はやがて大洪水へと変わる。

「今度は何?」

「うわっぷ…。」

 マーメイデスト達四人は溺れて手も足も出ない状態になってしまった。

「みんな、今こいつを倒して助けるから!」

 シンデレーザーはそう言ってマリスに攻撃するが、未だマリスとは一進一退の攻防戦を繰り広げていた。

「美姫さん…。」

 マーメイデストは何も出来ない自分にやるせなさを感じる。

「私が…、私が美姫さんの力にならないと…。」

 マーメイデストは思わず涙を流してしまう。すると、空が突然暗くなる。

「え?」

 マーメイデストは驚いてしまう。そして空にはいるか座が浮かび上がっていた。

「いるか座、もしかして!」

 そしているか座の最輝星が光を放ち、マーメイデストのアクアマリンの指輪に届く。

「よし来た!」

 マーメイデストは喜び、そして下半身がイルカのようになっている姿に変わる。

「マーメイデスト!えっと…、フロートタイプ!」

 マーメイデストは咄嗟にフロートタイプと名乗る。

「泳いじゃうよ~!」

 マーメイデストはそう言うと今まで溺れていた洪水の中を自由に泳ぎ回る。

「夜衣魚ちゃん?」

 シンデレーザーはマーメイデストの新しい姿に驚く。そしてマーメイデストは大きな尾ひれでマリスを跳ね飛ばす。

「凄い…。」

 シンデレーザーはマーメイデストの戦い方に驚く。

「美姫さん、一気に決めます!」

「わかった!」

 そう言うとシンデレーザーはマーメイデストを持ち上げて空高く飛ばす。そしてマーメイデストはマリス目掛けて急降下する。

「強化版・トライデントクロス!」

 マーメイデストは三又の槍を振り下ろし、マリスを真っ二つにする。そしてマリスは消滅する。マリスが消滅すると同時に洪水も治まる。

「ちっ、また一人新しい力を。まあいい、今日のところは退こうかねぇ。」

 マリスを倒されたバブルガスは、捕えていた女性を捨ててその場を立ち去るのだった。

「助かった…。」

 ポイズノーム達は洪水から抜け出し、シンデレーザーとマーメイデストの元に駆け寄る。そして皆は元の姿に戻る。

「夜衣魚、新しい力引き出せたじゃん。」

「うん、これも特訓のおかげだね。」

 林檎も夜衣魚が新しい力を引き出したことを喜ぶ。

「特訓?」

 美姫は特訓という言葉が引っ掛かってしまう。

「夜衣魚、この前からずっと新しい力を引き出すための特訓をしていたんです。」

「ちょっとやめてよ林檎、恥ずかしいじゃん。」

 夜衣魚は林檎に特訓のことを話され、恥ずかしがってしまう。そこにアラモードが口を挟む。

「ところで、あの人どうするの?」

 アラモードが指を差すと、そこには先ほどバブルガスに捨てられた女性が倒れていた。

「大変、助けないと!」

 皆は慌てて女性を助け、目を覆っていた布を取る。

「あの、ありがとうございました。」

 女性は皆に感謝する。

「私、あの怪物に悪意を聞かされて、それでちょっと昔の嫌な思い出を話したらあんなことになって…。」

「いえ、私達は誰も責めてはいません。ご安心下さい。」

 女性は怯えながらマリスを産み出した経緯を言う。しかし誰も責める者はいなかった。竹月がその女性を励ます。

「ありがとうございます。それでは失礼します。」

 女性は笑顔になり、そう言ってその場を後にする。そしてそこに風布花も戻って来る。

「美姫さん、お疲れ様でした。」

「ありがとうね、風布花ちゃん。」

 美姫は街の人達を避難させた風布花に感謝する。しかし夜衣魚は一つ気になっていたことがあった。

「そう言えば美姫さん、何で風布花ちゃんと一緒にいたんですか?」

 夜衣魚は美姫が風布花と共に駆けつけたことに疑問を感じていた。

「うん、さっきまで風布花ちゃんと遊園地で遊んでいたから。」

「遊園地?」

「二人だけでですか?」

 美姫は風布花と遊園地にいたと答えるが、夜衣魚と林檎は美姫と風布花が二人きりで遊園地に行ったことが腑に落ちなかった。そして風布花が赤面してしまう。

「そ、そんな深掘りしなくてもいいじゃないですか!」

 風布花は必死にそう言う。夜衣魚はそんな風布花に怪しさを感じてしまう。

「何~風布花ちゃん、美姫さんと何してたの~?」

 夜衣魚は微笑みながら赤面する風布花をからかう。

「夜衣魚さんには関係ないです!」

 風布花はそう言ってその場を走り去ろうとする。

「ちょっとこれは聞き捨てならないな~。」

 夜衣魚はそう言って風布花を追いかけ回す。

「あ~アホらし。パフェでも食べに行こ。」

 アラモードはその光景に呆れてパフェを食べに一人消えてしまう。こうしてホロテイルジュの中でまた一人、夜衣魚が新たな力を引き出したのであった。

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