正義の象徴
祖父が警察官だった、父もまた警察官だった。そんな家族を持つ俺は産まれた時から警察官への道というレールに乗っていたのかもしれない。
アルミック「という訳で君にはコンビニ店員と闘って貰います!」
いきなりコンビニ店員と闘うと言われても何がなんだか分からない。俺…強木正義は緑髪をした少年を見つめるが彼に見覚えはない。職業柄人の顔を覚えるのは得意だが一度も会ったことは無いと思う。
アルミック「…!…!!………!」
彼の言うことは理解出来るのだが、内容はまるで異星人と会話をしている様な…異星人が本当にいるのかどうかはともかくとして、夢の出来事だと片付けて仕舞いたい衝動に駆られている。
試しに腰の後ろで手を組み自身の甲を捻ってみた、痛みは正常に感じる様だ。彼を視界に捉えつつ周囲を見ても辺りはただの草原、何か目立つ物は無いかと見るも何一つ見当たりはしない。
アルミック「ここまでで何か質問はある?」
強木「…コンビニ店員と戦う話は分かったが、私が後でありかつ相手に余分に時間を渡しているのはルールの8、各職業に肩入れなし、というものに抵触していないのか?」
実際のところ確かにコンビニ店員と警察官であるならばそれくらいの差ごときで文句を言うのも大人げないかと思うが、その辺りの矛盾を突いてこの勝負自体が無くなるかもしれないのなら言ってみるべきであろう。
アルミック「僕としては肩入れはしてないつもりだよ。熊と人間で肩入れ無しに公平に戦わせるなら人間に武器を持たせるみたいな感じかなぁ。だから君の選んだ能力を教えてから相手に能力を選ばせるくらいで考えてたんだけど、流石に肩入れになるかなって時間的猶予にしたんだ」
強く否定出来ない理由ではある、コンビニ店員と警察官…殺傷能力のある武器が職業的にあるか無いかと言われると俺に勝ち目はない。
強木「ちなみに時間というのはどのくらい取れる?」
アルミック「相手の神夜君は2時間、君は1時間といったところかな。大体1時間前に招待して今頃考えている頃だろうね」
強木「分かった、それでは考えさせて貰う。決まったら呼び出せば良いのか?」
アルミック「ううん、きっちり1時間後に来るから。書いたりしたいなら書くものを用意するけど?」
強木「…いや、口頭で伝える。一応聞くがわざと負けたり八百長などを仕掛ける場合はどうなる?」
アルミック「君は天に唾を吐いた時にその唾が落ちてこないと思うかい?」
その一瞬で俺は悟った、神だろうと悪魔だろうと自分の常識というものを越えた存在…逸脱者が楽しいかどうか、それだけを今考えなければルールという庇護すら無くなるということを。




