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異世界偉人伝 〜伝説の救世主、その正体は定時で帰りたいだけの三十代社畜でした〜  作者: ぱっちー
第2章:魔王城攻略? 違う、ただの「本社への立ち入り監査」だ。
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第8話:【神速】姿なき狂風の将シルフィード、その正体は「サボり魔の営業部長」だった!?

氷将シヴァの悲劇(※経理部長のバーンアウト)から数日後の歴史学の授業。

 今日も今日とて、大教室の教壇では、熱血教師が黒板を割らんばかりの勢いでチョークを叩きつけていた。

「さぁ、皆さん! 業火の将アグニ、氷将シヴァという二大巨頭を『奇跡の力』で浄化したカイト様一行は、ついに魔王城の第四層へと到達します。そこで待ち受けていたのは、四天王の三人目……『狂風の将』シルフィードです!」

 先生がバンッと黒板を叩くと、生徒たちは息を呑んでノートにペンを走らせる。

「教科書の次のページを開いてください。そこに描かれているのが、シルフィード……いえ、正確には『シルフィードが動いた後のつむじ風』です」

 俺が真新しい教科書を開くと、そこには他の四天王のように恐ろしい魔族の姿は描かれていなかった。ただ荒れ狂う竜巻と、切り裂かれた大地、そして吹き飛ばされる人間の兵士たちが描かれているだけだ。姿形すら、歴史の記録に残っていないというのか。

「記録によれば、彼は魔王軍の中でも最速にして最凶の暗殺者でした。彼の動くスピードは音を置き去りにし、誰もその姿を捉えることはできません。まさに『姿なき幻影』。どれほど強力な魔法を放とうが、どれほど鋭い剣を振るおうが、彼には絶対に当たらないのです」

 教室の空気がピンと張り詰める。

 物理攻撃も魔法攻撃も一切当たらない、完全な回避能力を持った敵。ファンタジーRPGで言えば、素早さがカンストしていて回避率が100%に設定されているような、絶対に戦いたくないタイプのボスキャラだ。

「そして彼の恐るべき点は、回避能力だけではありません。彼は幻影のように戦場を駆け抜けながら、目にも止まらぬ『不可視のかまいたち(風の刃)』を放ちます。人間たちは、自分がいつ、どこから斬られたのかすら理解できないまま、次々と血の海に沈んでいったと言われています。絶対の回避と、不可視の斬撃。これぞ最強のヒット&アウェイです!」

 クラスメイトたちが「そんなの、どうやって倒すんだよ……」「チートすぎるだろ……」と絶望的な顔で囁き合っている。

 確かに、これまでの「炎」や「氷」といった分かりやすい属性攻撃とは違い、「見えない・当たらない」というのは次元が違う厄介さだ。

 ――しかし。

 俺だけは、最後列の席で一人、全く別の絶望に顔を引きつらせていた。

(炎の将が『板挟みの中間管理職』で、氷の将が『過労死寸前の経理部長』だったんだぞ。だとすれば、この風の将とやらも、絶対に真っ当なファンタジーの敵じゃない……!)

 俺は周囲の目を盗み、机の下で分厚い教科書の陰に隠すようにして、例の『真っ黒な手記』のページをめくった。

 魔王城という名の巨大なブラック企業に対する、カイトのおじさんの無慈悲な「業務改善コンサルティング」の記録。そこに書かれていた風の将の実態は、俺の胃を強烈に締め付ける、現代ビジネスの「あるあるすぎる闇」だった。

『〇月〇日。魔王城の第四層にて、狂風の将シルフィード営業部長と遭遇……いや、遭遇しようとしたのだが、彼の執務室(防衛陣地)はもぬけの殻だった。

 部屋にいたのは、彼の下で働くオークやゴブリンの若手社員(末端兵士)たちだけ。彼らは目の下に真っ黒なクマを作り、山積みのクレーム処理と書類作成に追われながら、死にそうな顔で働いていた』

(……あれ? 敵の最高幹部が留守?)

 手記の冒頭から、すでに戦いすら始まっていなかった。

 俺が戸惑いながら続きを読むと、そこには「姿なき幻影」のあまりにもくだらない真実が記されていた。

『若手社員のオークに事情を聞いて、僕は全てを理解した。

 狂風の将シルフィード。彼は魔王軍きっての『サボりフリーライダー』だったのだ。

「営業部のトップ」という外回りの多い役職と、最近導入されたばかりの「スーパーフレックスタイム制」や「直行直帰」の制度を極限まで悪用。朝の朝礼にだけ一瞬顔を出したかと思えば、「ちょっと魔王軍のスポンサー企業に挨拶回りに行ってくる!」と風のように言い残し、そのまま夕方まで行方をくらますのだという』

(姿なき幻影の正体、ただの『直行直帰を言い訳にしたサボり魔』じゃねぇか!!!!)

 俺は声を出さずに天を仰いだ。

 いる。前世の会社にもいた。スケジュール表には常に「外出」や「顧客訪問」と書かれているのに、実際は喫茶店で漫画を読んだり、社用車ワイバーンのシートを倒して爆睡したりしている、神出鬼没の営業マン。

 連絡を取ろうにも「移動中」を理由に魔法通信チャットは完全に無視。誰もその姿を捉えられないというのは、つまり「会社に全く寄り付かないから」だったのだ。

『さらにタチが悪いのは、彼が時折、風のようにオフィスに戻ってきた時の行動だ。

 彼はフラッと戻ってくると、自分の思いつきの企画書や、顧客(他国)から受けた無茶な要求を、若手社員のデスクにポイッと投げ捨てる。「これ、明日までにいい感じにまとめておいて〜。俺はまた外回りあるから!」とだけ言い残し、詳しい仕様も説明せずに再び風のように去っていくのである。これを魔王軍の若手たちは、恐怖を込めて【不可視のかまいたち(丸投げ指示)】と呼んでいた』

(不可視のかまいたちの正体、ただの『すれ違いざまの業務丸投げ』だったあああああ!!)

 俺は重厚なオーク材の机に、力一杯額を擦り付けた。

 人間たちがいつ斬られたかも分からず血の海に沈んだというのは、おそらくシルフィードの丸投げによって発生した「炎上案件」の尻拭いをさせられ、過労で吐血して倒れた下請けや若手たちの悲惨な末路のことだろう。

「さぁ、皆さん!」

 現実の教室で、先生がビシッと黒板を指差した。

「いかにカイト様とはいえ、姿が見えず、攻撃も当たらない相手では戦いようがありません! カイト様はこの絶対絶命の状況で、なんと『天の眼(千里眼の魔法)』と『時縛の結界』を同時に展開するという、神業とも言える大魔法を詠唱し始めたのです!」

(嫌な予感しかしない……! サボり魔の営業部長を捕まえるための大魔法って、まさか……!)

 俺は冷や汗で滑る指で、急いで手記の次のページをめくった。

 カイトのおじさんが放った「天の眼」と「時縛の結界」の正体。それは、全サラリーマンが震え上がる、現代ビジネスの「最強の監視ツール」だった。

「皆様、想像してみてください!」

 現実の教室で、先生が両手を天高く掲げ、まるでオペラ歌手のように劇的なトーンで語り始めた。

「姿も見えず、どこから攻撃されるかもわからない極限状態。しかしカイト様は、静かに目を閉じ、大いなる神の奇跡『天の眼(千里眼)』を発動させました! この魔法は、広大な魔界のどこにいようとも、対象の現在地を寸分の狂いもなく完全に特定し、その動向を光の地図に映し出すという、神にしか許されぬ絶対的な監視魔法だったのです!」

(『天の眼』って、絶対にそれ……『GPS(全地球測位システム)』のことだろ!!)

 俺の心の中のツッコミを置き去りにして、手記の記述は、全サラリーマンが震え上がる「現代ビジネスの最強の監視ツール」の導入プロセスを克明に記していた。

『僕は若手社員たちに指示し、営業部が使用している全ての社用ワイバーン(営業車)と、支給されている通信用魔道具スマホに、強制的に『位置情報共有魔法(GPSトラッキングアプリ)』をインストールさせた。

 これで、誰が、今どこで、どれくらいの時間滞在しているかが、執務室の巨大モニター(天の眼)にリアルタイムで丸わかりになる。直行直帰を言い訳にしたサボりは、これで完全に封じられる』

(ファンタジー世界に、ゴリゴリのMDM(モバイルデバイス管理システム)を導入しちゃったよ!! 若手社員も巻き添えで監視されてるじゃないか!)

『さらに僕は、賢者に命じて新しい経費精算システムを構築させた。

 訪問先(顧客の陣地)で、通信用魔道具を使って位置情報付きの打刻チェックインを行わない限り、その日の日当もワイバーンのエサ代(交通費)も、一切支給されないという強制ロックをかけた。これこそが、サボり魔の時間を縛り付ける『時縛の結界』である』

「そして! 天の眼によってシルフィードの居場所を完璧に捕捉したカイト様は、間髪入れずに『時縛の結界』を展開しました!」

 教壇の上で、先生が黒板を激しく叩く。チョークの粉が、まるで嵐のように舞い散った。

「この結界は、対象の『時間』そのものを縛り付け、どれほど速く動こうとも、決められた空間から一切出られなくするという恐るべき封印魔法! 神速を誇るシルフィードも、この結界の前では自慢のスピードを完全に殺され、ついにその姿をカイト様の前に現したのです!」

(『時縛の結界』の正体、ただの『勤怠管理と連動した経費精算システム』じゃねぇか!!!!)

 俺は声なき悲鳴を上げながら、机の下でガクガクと震えていた。

 歴史に残る英雄の「大魔法」。その実態は、サボる営業マンの行動を物理的・システム的に完全に縛り付ける、情け容赦ない「マイクロマネジメントの極致」だった。営業マンにとって、交通費と経費が落ちなくなることほど恐ろしい「封印」はない。

『システムを稼働させてから数時間後。執務室の扉が勢いよく開き、「いや〜! 今日の顧客もなかなか手強くてさぁ!」と、シルフィード営業部長が風のように帰社してきた。

 彼はいつものように、適当なメモ書き(企画書)を若手社員のデスクに投げ捨てようとした。

 だが、僕はその腕をガシッと掴み、モニター(天の眼)の画面を彼の目の前に突きつけた』

「逃げ場を失い、ついに実体を現した狂風の将シルフィード! 彼はカイト様の放つ圧倒的な威圧感の前に、冷や汗を流して立ち尽くしたと言われています!」

(威圧感の正体、GPSのログ画面を見せつけてくるコンサルのプレッシャーだよ!!)

『僕は、真っ青な顔をしているシルフィード部長に、冷酷な事実を告げた。

「部長。今日の午後、ダークエルフの集落へ営業に行っていたと報告がありましたが……あなたの通信用魔道具の位置情報ログは、午後一時から夕方の五時まで、王都のサキュバス・キャバクラ(※昼の部)に滞在していたことを示していますよ」』

(完全にサボりがバレてる!! しかもサボり先がキャバクラ!! 終わった!!)

『さらに僕は、彼が提出しようとしていた経費精算書を破り捨てた。

「ダークエルフの集落でのチェックイン記録がないため、本日のワイバーンの交通費と接待交際費は全て自腹(経費否認)となります。それと、あなたがさっき投げ捨てた『不可視のかまいたち(仕様が不明確な丸投げ案件)』ですが、今日から『稟議書を通していない業務指示は無効』というルールに変更しました」』

(不可視のかまいたち(丸投げ)までシステムで無効化されたあああああ!!)

 俺はもう、手記を持つ手を震わせることしかできなかった。

 絶対の回避能力サボりと、不可視の斬撃(丸投げ)。魔王軍最速の男が誇った二つの最強の武器は、カイトのおじさんが持ち込んだ「令和のIT監視ツール」と「社内承認フローの厳格化」によって、ものの見事にへし折られてしまったのだ。

「自慢のスピードを封じられ、最大の武器すらも無効化されたシルフィード! しかし、四天王の誇りを持つ彼は、それでも降伏することなく、最後の悪あがきとしてカイト様に決死の突撃を仕掛けます!」

 先生の熱弁は、いよいよ第四層の戦いのクライマックスへと差し掛かろうとしていた。

 だが俺の胃袋は、サボりがバレて経費を否認された営業部長が、この後どのような「決死の突撃(言い訳)」をしてくるのかを想像し、すでに限界を迎えようとしていた。

「皆様! 自慢のスピードを封じられたシルフィードは、窮鼠猫を噛むがごとく、カイト様に向けて己の全魔力を込めた最終奥義『千刃の乱れ桜』を放ちました!」

 現実の教室で、先生が教壇を蹴り上げんばかりの勢いで叫ぶ。

「それは、四方八方から同時に放たれる、千にも及ぶ不可視の風の刃! いかなる英雄であろうとも、そのすべてを躱すことは不可能な、まさに必殺の暴風雨です!」

(千の刃!? 丸投げを封じられた営業部長が放つ最終奥義って、まさか……!)

 俺は息を呑んで、手記の続きを凝視した。

『追い詰められたシルフィード部長は、顔面を蒼白にしながら、ものすごい早口で千の手数を誇る【決死の言いマシンガントーク】を放ってきた。

「ち、違うんだ! サキュバス・キャバクラは、新規顧客開拓のための重要な接待で……! いや、そもそも魔道具のGPS機能がバグっていたに違いない! 俺はちゃんとダークエルフの集落で汗水垂らして営業を……そうだ! これは俺を陥れようとする他部署の陰謀だ!」』

(最終奥義の正体、ただの『苦し紛れの言い訳の連発』じゃねぇか!!!!)

 俺は顔を覆った。

 千の刃とは、四方八方から飛んでくる物理的な攻撃ではなく、論点をあっちこっちにずらして責任逃れを図ろうとする、ダメな営業マン特有の「口八丁手八丁」のことだったのだ。

「しかし! カイト様はその暴風雨の中で一歩も動かず、懐から『真実を映す絶対の鏡』を取り出しました!」

 先生が、ビシッと黒板のシルフィード(のつむじ風)を指差す。

「その鏡は、シルフィードの放った千の刃をすべて反射し、彼自身の身を切り裂いたのです! 己の悪意と業をそのまま跳ね返されたシルフィードは、ついに膝から崩れ落ちました!」

(真実を映す鏡ってなんだよ!? まさか、言い訳を論破するための魔法のアイテム……!?)

『僕は慌てふためく彼に対し、インベントリから分厚い『魔王軍・就業規則および懲戒規定マニュアル』を取り出し、該当箇所を淡々と読み上げた。

「第十四条:経費の不正請求および横領。第十五条:正当な理由のない職務専念義務違反。……部長、言い訳は結構です。このGPSの移動ログと、キャバクラの領収書の控え(※店に裏口確認済み)を添えて、社長(魔王)と人事部、そして『あなたの奥様』に内容証明で送付しますが、よろしいですね?」』

(真実の鏡の正体、ただの『就業規則の朗読』と『裏取り済みの物的証拠』だったあああああ!!)

 俺は音を立てずに机に突っ伏した。

 社長や人事部への報告だけでも致命傷なのに、奥様にまでキャバクラ通いのログを送るなんて。己の身を切り裂いた刃というのは、魔法の反射などではない。完全なる「社会的信用の失墜(コンプライアンス違反による自爆)」である。

『奥様にチクられると聞いた瞬間、シルフィード部長は「それだけは! それだけはご勘弁をぉぉぉ!」と床に崩れ落ち、僕の足にすがりついて号泣した。

 僕は彼から、第五層へ進むためのセキュリティパスを取り上げるとともに、社用ワイバーンの鍵と、法人用の魔法クレジットカードを全て没収した。

 そして彼を営業部長のポストから解任し、「極寒のツンドラ支社で行われる、三ヶ月間のコンプライアンス&倫理観再教育キャンプ」へと強制送還する手配を整えた。これで、若手社員たちも安心して自分の業務に集中できるだろう』

「敗北を悟ったシルフィードは、自らの罪を深く悔い改めました!」

 教室の前方で、先生がハンカチで目頭を押さえながら語りかける。

「彼はカイト様に深々と頭を下げ、先の階層へ進むための鍵を差し出すと、自ら身につけていた武具をすべて捨て去りました! そして、己の魂を清めるために、最果ての極寒の地へと『厳しい修行の旅』に出たと言われています! なんという美しい改心でしょうか!」

(武具を捨てたんじゃない! 社用車と法人カードを没収されたんだよ! 修行の旅じゃなくて、ただの『僻地への左遷(研修送り)』だよ!!)

 クラスメイトたちが「敵ながら天晴れだ」「風のように潔い最期だった」と感動の溜息を漏らす中、俺の胃袋は完全に限界を迎えていた。

 魔王軍最速の暗殺者は、こうしてコンプライアンスの刃によって社会的に殺され、ツンドラ地帯へと島流しにされたのである。

「さぁ、これで四天王のうち三人が、カイト様によって浄化されました! 残るはただ一人!」

 先生が、チョークを新しく持ち替え、黒板の中央に力強く文字を刻み込んだ。

「魔王城の最深部、第五層で待ち受けるのは、四天王最強にして最後の壁! 『大地の将』ガイアです!」

 先生の声が、教室中にビリビリと響き渡る。

「彼はこれまでの三人とは全く異なります。その巨体は山のようにそびえ立ち、どれほどの攻撃を受けようとも『絶対に一歩も動かない(不動の構え)』と言われていました! どんな交渉にも応じず、どんな魔法も弾き返す、魔王軍が誇る絶対防壁! カイト様は果たして、この『動かざる大地の将』をどうやって打ち破るのか! 次回の授業は、この第五層の死闘から再開します!」

 キーンコーンカーンコーン、と。

 ここで絶妙なタイミングの鐘が鳴り、本日の授業の終了が告げられた。

 生徒たちは「ついに最強の敵か!」「不動の構えってどうやって崩すんだよ!」と熱っぽく語り合いながら、帰り支度を始めている。

 俺は、白目を剥きそうになるのを必死に堪えながら、黒い手記をゆっくりと閉じた。

 炎の将が「板挟みの中間管理職」。

 氷の将が「限界突破の経理部長」。

 風の将が「直行直帰のサボり営業部長」。

 だとすれば、最後の『大地の将』ガイア。どんな攻撃にも動じず、絶対に一歩も動かない不動の構え……。

(……これ、絶対に『新しいITシステムを絶対に覚えようとしない、窓際族の働かないおじさん』だろ……!)

 現代の会社組織において、一番厄介で、一番動かすのが難しいとされる「社内ニートの大御所」。

 カイトのおじさんが、この「動かざる大地」に対してどのようなリストラ……いや、業務改善のメスを入れたのか。

 魔王城という名の巨大なブラック企業を巡る戦いは、いよいよ最終局面(ラスボス一歩手前)へと突入しようとしていた。

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