お持ち帰りしてしまった
馬車が到着するとお父様にエスコートしてもらい、そのままお姫様抱っこされるとシーク達がズラリと並んで出迎えてくれる。横を見ると青髪がチラつく。
あの後、合流したお父様と一緒に屋敷に帰ってきたところだ……そう……ライも一緒に……。
お父様から聞いたけど、護衛の家名なり名前を呼ぶことは次回も護衛をしてもいい許可になり、護衛の名前を呼び捨てにするのは専属護衛の許可を出すことになるらしい。
先に言ってよ…お父様…。あ、でも言ってた気がする……前に豊満さんのところへ行くとき「護衛の名前を気安く呼んだらダメだよ」って言っていたのはこういうことだったのね。相手に個人情報を与えない為だと勝手に思っていた。それだけじゃ伝わらないよお父様……。護衛をお持ち帰りしてしまったよ……。
「エリク様!今度暇なときでいいので、手合わせをお願いできないでしょうか?」
ライがニコニコとしてお父様に話しかける。
えぇ?お父様の前では全然態度違う?!猫かぶりがスゴイ……。
「いいだろう、今からしよう。では、剣を構えろ」
私をオーディに渡すと歩きながら腰に差してあった剣を抜いた。
「では僭越ながら私が……」
いつの間にかシークが二人の間に立ち、小さなベルを鳴らした。
ライが物凄い速さで剣を持ち振りかかった。
「――なッ?!」
「え?え?何が起こったの?」
全然見えなかった……。とりあえずライが剣を持っていなくて、うつ伏せに倒れている。
「君……本当は二刀流なのだろう?気にせず剣を二本持てばいい。あとその貴族向けの言葉遣いをしなくてもいい。君のことは色々知っているつもりだ」
「へへ……なるほどねぇ。許可ももらったことだしぃ~それじゃ遠慮なくぅ~!!」
話し方を元に戻しながらもいつの間にか剣を両手に持ちお父様に切りかかった。
「――グッ!――」
また全然見えなかった。お父様はむしろちょっとどころか一歩も動いてないようにしか見えない……。それなのにライがぶっ飛んで仰向けに倒れている。まさかお父様ってチートレベルで強いのでは……?
「痛ぇ~、まさかこんなに手も足も出ないとはねぇ~。ハハハ!!伝説は本当だったのかぁ~。そりゃ勝てるわけないよねぇ~!!ハハハハ……ははは……はは…」
上体を起こしながら笑っているライがなぜか自分の前世と重なり、弱々しく泣いているように見えたので私は思わず駆け寄って地面に膝をつけて顔が見えないように頭を抱き締めた。
「ハハハ、アイリス嬢どうしたの~?そんなことしたら汚れるだけだよ~」
こんなときまで軽口を叩いて、もう!!でも、ライは抵抗しないだけなのか女性だから出来ないのかジッと動かなかった。
「ライと言ったか?まだまだ伸び代がある。諦めない限りな」
お父様はそう言うと私をライから引き剝がし、お姫様抱っこして歩きだした。後ろをそっと見るとライはなぜかスッキリした顔をしているように感じた。
「アイリス。むやみに男性に触っては駄目だ!!」
た…確かに知り合ったばかりなのに近すぎたかもしれない。
「ご…ごめんなさい。泣いているように見えて勝手にからだが動いちゃって……」
「彼にも色々あるんだよ」
お父様は優しく私の髪を撫でると額にそっとキスをした。
ンギャーーーー!!強くてイケメンで優しいとか完璧すぎてツライ!!
真っ赤になってもじもじしているアイリスを見て、シーク以外の使用人達は膝から崩れ落ちていたのだった。
投稿遅くて申し訳ないです……(;一_一)
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