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言い逃げが勝ち

 「おい!そこのお前達。ここは僕の場所だぞ!」



 茶髪のレイターと呼ばれていた無表情の護衛さんの背後から声がする。少し頭を傾げて窺うと、右脇の隙間からチラリとクレバーと同じぐらいの橙色の髪色をした男の子が見える。


 「うげっ……めんどくさ……」

 ライと呼ばれていた青髪の護衛さんがボソッと呟いた。


 「聞いているのか!おい!」


 護衛の二人が素早く私の姿を隠すように前に立ち並ぶ。


 「国王陛下より許可を頂いております」

 無表情のまま淡々と答えるレイターさん。


 「伯父上が?お前如きが嘘をつくな!!僕が認めない」


 国王陛下の名前を出して伯父上ってことは、あのピンクの髪をしたお茶目なセカンさんか、茶色の髪をしたツンデレのディースさんの息子ってことかな。

 私もそうだけど、意外と親の髪色は遺伝しないってことなのかな? いや、でもクレバーもフェクト殿下も父親と同じ髪色だよね……? 母親似…?



 考え込んでいると近くで小さく舌打ちが聞こえた。


 「何を言ったところでぇ~こっちはちゃ~~んと許可もらってんだよ。確認もせずに嘘って決めつけるとか~、アーロット殿下って最っ高に傀儡向きだよねぇ~」


 「おいライ。その辺でやめとけ」

 無表情の護衛さんが肩を掴んで止める。


 「き…貴様!!不敬だぞ!!お前なんかこの場で解雇してやる!今すぐここを去るがいい!!おい、こいつらを追い出せ!!」

 ドンドンと地団駄を踏みながら怒鳴り散らし、背後にいる護衛に命令する。


  命令された護衛は困惑しつつもその場から動かない。


 「あはは!!マジうけるぅ~!!アーロット殿下にぃ~解雇する権限なんかないのにねぇ~」

 青髪を乱すほど腹を抱えて笑い、頭を指でトントンして煽っている。


 「僕は王族だぞ!!お前ら如きが僕のことを馬鹿にするなら母上と父上に言って解雇してやるからな!!謝るなら今の内だぞ!土下座するなら許してやらんこともない」

 アーロットは謝罪する事が当たり前というようにふんぞり返る。



 今の状況ってもしかしてヤバイ?父親って王弟だもんね。確かにアーロット殿下は横暴だけどこの護衛さんの態度はどうしたのだろう?王族に歯向かって良いことなんてないだろうに……。しかも女性ってだけで優遇されるこの世界なら王子の母親とか一番の権力者じゃないの……。


 「自分の我儘が通らないから助けてぇ~って泣きつくとか弱――」


 私はヒートアップしそうなこの状況を打破する為、前に出ると全員が私を見たタイミングでカーテシーをした。

 「私を守って下さる護衛さんが失礼致しました。殿下の専用場所とは知らず踏み込んだ私が悪いのです。すぐにお暇致しますのでどうぞご容赦下さいませ」


 言い終わると同時にアイリスはすぐにその場から歩きだした。


 「……護衛…さんって……プフッ……」


 後ろから笑い声が聞こえるけど無視無視!!心の中で呼んでいた声が漏れただけだし!締まらなかったのもわかるけど緊張していたのだから許してほしい。



 アイリスが顔を両手で押さえ早足で歩いて行くが後ろの二人には耳まで真っ赤にしているのが見え、二人は顔を見合わせた後、急いでアイリスの元に駆け寄って行った。







 アイリスが去った後、突然出てきた女性の存在に驚き誰一人言葉を発することなくその場には静寂だけが流れていた。


 「…………」


 突然歩き出したアーロットに護衛達は我に返ると、慌てて後を追いかけた。









 結局、歩いた先にあった温室にお邪魔させてもらった。観賞の為なのかテーブルとイスが用意されていてそこで休憩することになった。


 「ほら、護衛さんが引いてあげるよぉ~。どうぞ~」

 青髪の護衛さんがニヤニヤしながらイスを引いてエスコートしてくれている。


 「もう!それは忘れて下さい!!」

 くぅ~、めちゃくちゃ恥ずかしい!!頭の中ではベッドの上に転がりながら悶えているけど冷静を装ってイスに座った。


 「ねぇねぇ、お姫様の名前ってなんなの~?急に護衛することになったから何の情報もなくてさぁ~」

 ニヤニヤしながらアイリスの顔を覗き込む。


 「おいライ!!」

 茶髪の護衛さんが腕を引っ張る。


 「本人の許可が出ればいいじゃん。レイターも気になってるくせにぃ~」


 「私はアイリス・ソードと申します。ライさん?レイターさん?」

 護衛対象なのに何も知らないのは気になるのかな?護衛さんの名前はこれで合ってたよね?


 「わお!名前呼んでもらえるなんてぇ~。でも俺の事はライって呼び捨てにしてもらえると助かるなぁ~」

 ライさんの後ろで茶髪のレイターさんがなぜか顔真っ赤にして止まっている。


 「えっと……ライ?」

 これでいいのかな?助かるって言ってたからライを『さん』を付けて呼ぶのは良くないのかな?


 するとライは急にアイリスに近付き髪を掬いそこに口付けをした。


 「えっ……」

 突然のことに顔が真っ赤になる。


 「何その反応!!アイリス嬢かっわいい~~~、最ッ高!!俺を専属にしてくれてありがとう~」

 



 え?専属?えぇぇーーーーー!!


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