予想外の状態
『待って!!待って!!』「ブヒ!ブヒ!」
恥ずかしい!違う意味で死んじゃう!! アイリスは口付けから逃れようと暴れる。
「大人しくしろ。魔法に集中出来ないだろ。」
うぅ……。魔法解除してくれてるだけだし、我慢しないと。 サラリとした金髪がお腹に当たってくすぐったい。 しかも良い匂いがする。 …………なんだかお腹がポカポカしてきた。
「よし、今日はこれでいいだろう。いきなり解除すると心身に異常をきたす場合がある。これから毎日就寝前に魔法を施す。なにか異常があればすぐに言え。いいな?」
『わかりました!ありがとうございます!』「ブヒヒ!ブヒ!」
「では、寝るぞ。」
王族の睡眠の邪魔しちゃまずいよね。私も檻に戻って寝よう。 …………ベッドが高くて飛び降りるのが怖い。どうしよう。やっぱり足。足からだよね。
アイリスがベッドの上でうろちょろしていると後ろから抱きかかえられる。
「どこへ行くんだ。人間とわかっているのに檻で寝かすわけないだろう。その姿で他の部屋を与えることも出来ん。私とベッドを共有できることを光栄に思うんだな。」
そう言い、私をベッドに寝かせシーツをかけてくれる。
こんな!!美形と!!一緒のベッドで寝る……?! ムリムリ!寝れない! 意識しちゃって目が覚めちゃう!!
「なんだ、緊張しているのか?私にはそんな趣味など持ち合わせていない。」
そ、そうだよね。私は今豚だもんね。魔法の解除もしてもらってるんだし。大人しくしておこう。
「もしかして期待しているのか?」
フェクトはアイリスに覆い被さり、自分の下唇をペロリと舐め、至近距離で見下ろすように見つめる。
――ッ!!
「なんてな。さ、寝るぞ。」
ニヤリと笑った後、何事もなかった様に背中を向けて横になりだした。
なっ!!また揶揄ったんだ!! やられたーーー!! おかげで緊張がぶっ飛んじゃったよ。もしかして緊張していたからわざと揶揄ったのかな。なんだかんだ言っても優しいよね。思いやりがある人に保護してもらえてよかった。 それにしてもフェクト殿下の色気が半端なかった。 さすが王族。
◇◇◇◇
「…………そうか。ご苦労だったな。引き続き頼んだ。」
あれから2週間が経ったが、どれだけ調べても消息不明の令息の情報が出てこない。情報がなさ過ぎてあの豚がどこの家の者か見当もつかない。 もしかして他国か? テリブル伯爵が他国ときな臭い感じはしていたが、証拠が出てこない限り罰することも出来ない。
「殿下、もう一件報告が……。」
「ん、なんだ。」
「ジーニアス公爵家がテリブル伯爵家を潰しにかかっているようです。なにやら大切なものを奪われたとか……。」
「あの家を敵に回すなど、テリブル伯爵はとんだ大馬鹿者だな。それなら、潰すのは任せておこう。宰相にこちらの情報と共有するように伝えてくれ。王家が手を出さずとも勝手に潰れてくれるだろう。後はあの家が潰れたあとの娘をどうするかだな。その辺りは父上に任せておこう。」
「承知しました。」
◇◇◇◇
もう2週間か。みんな心配しているだろうなぁ。 このままいけばあと2週間すれば解除出来るみたいだし、元に戻ったらいっぱい謝ろう。
「そろそろ時間だ。」
フェクト殿下がいつも通りやってきた。 そのまま私を持ち上げてベッドの上に仰向けに置くとお腹の痣を指で撫でる。最初はすごい恥ずかしかったけど、医療行為だと思って割り切ることにした。だって豚だしね……。
「さぁ、やるぞ。もうそろそろ一時的に元に戻るはずなんだが……。」
フェクト殿下が言うには、人間に戻っても最初は短時間しか戻れなくて人間に戻っている時間が段々増えてきて最終的に完全に人間に戻るってことらしい。まだ一度も人間に戻ってないんだけどね。 あぁ、またお腹がポカポカしてきた……。
「――熱っ!!」
なに?滅茶苦茶お腹が熱かったんだけど……。 フェクト殿下を見ると顔を真っ赤にしたままこっちを見て固まっていた。
魔法が失敗でもしたのかな? 何気なくお腹を見ると痣と肌色の自分の下半身が見えた。
フェクト殿下と自分の下半身を交互に見る。
「――――ッな――っ!!」
なんで私、裸なのよーーー!!!!!!!
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