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61話 異世界人のうわさ

 ギルドもそれはそれは広かった。アモールのギルドもそれなりの広さだと思ったけどその比じゃない。大きな空間には目的ごとに分けられた受付のカウンター。そして冒険者たちの集合場所ということで設けられているテーブルやら椅子やらも多いし、なんならココでアイテムの販売もしている様子。

 都市街後からかコレが……。


「それでは換金の代金こちらになります」

「ありがとうございます。あの……少し聞きたいことが……」

「はい、なんでしょうか?」

「ええと、この街に異世界人がいる……と聞きまして」

「ああ、レンさんの事ですね。確かにいらっしゃいますね。その方に何か?」

「えっと……少し用事といいますか、その人今どこにいるかとか分かりますか?」

 こういう時、なんと回答するのがベターだったろうか。話があるというのが事実だけれど何かそれだとナンパの類っぽく見えるし……。訳アリの関係者風にいくならギルド通さず自分たちでコンタクトを取れと言う話だし。


「うーん残念ながら……」

 そう言いながら受付は他の職員にも軽く声をかけて確認を取っている。しかし聞こえてくる結果は芳しく無さそう。

 まぁそんな簡単に見つかるわけはないよな。あまりにも都合が良すぎるし。

「もしかしたら時間を改めて頂ければ、ギルドに立ち寄るかもしれません。必要でしたら言伝を預かることも出来ますが……」

 言伝、という程大層なものではないからどうしたものか。単純に同じ異世界人として少し話がしてみたいというだけであるし。


「それってお金かかります?」

 何だが卑しい質問にはなるけど、金がかかるなら止めておくし、そうでなければやり得というだけだ。

「要件次第にはなりますかね。物によっては依頼という形になりますから……。ひとまず内容だけおっしゃって頂ければその後どうするか決める形が良いかと」

 凄くどっちに転んでも難しい回答をされてしまった。結局要件と言われてもなんとなくの動機で始めたことではあるんだよな。

「……取り敢えずパーティーを組みたい、とかそんなところで良いんじゃないですか?」

 悩む俺に対してフィリアが言った。パーティーを組む……か。果たしてOKしてもらえるのかは分からないけれど、無難な理由付けかな。


「それは……構いませんが……」

 しかしどうだろう、受付の人は苦笑いを浮かべている。少なくとも言葉では否定していなくとも心の内ではやめておけと警告を放っているようである。

「もしかしてパーティーを組みたい、みたいなものってお金かかるんですか?」

「いえ、護衛ならともかくそうでないパーティー勧誘であれば、その限りではありませんが……」

 であれば一体何に対してこんな表情を浮かべているのだろう。理由がよくわからない。


「あの……さっきから煮えきらない感じですけど」

「申し上げにくいのですが……その方はあまりパーティを組むような方ではなくて……ですね」

 それから受付職員は言う。曰く組んだパーティーが尽く即座に解散されてしまい、明くる日からソロでばかり活動を続けているらしい。

 それを言われると逆に何者か気になるところはある……が似たようなケースだとそれこそカコがいたではないか。

 彼女をどうにか出来たのだから、その異世界人のレンという人もどうとでもなりそうなものだが。

 それにパーティを組む、という依頼を断っているというわけでは無さそうに見えるし。


「ですからレンさんへのその依頼は、そもそも無意味という形で……」

「パーティ組みたいの?」

 後ろから声がする。女性の声。


「おわっ!?」

 振り返ると一人の女性が立っていた。もちろんフィリアのことじゃなく、見ず知らずの姿である。しかも、顔の距離が近い。

「ど、どちらさまで」

 恐る恐る聞いてみる……よりも先に職員が口を開く。

「れ、レンさん!! ちょ、丁度いいところに……」

「そうだね、名前聞こえたもん」

 その声に反応するように顔をそらした。


 そうか、さっきの反応の時点で気づくべきであった。この人が、この人こそが異世界人のレンという人……。


 名前的には男女どちらでも聞くから判別出来なかったけど女性だったか。

 チラっとフィリアの方を見ると、やはりというべきかなんというべきか不機嫌そうである。

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