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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです【完結まで予約済みです!】  作者: 1010
第6章 交わる、そして明かされる真実

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第6章 第9話「交わる直前」

昼が近かった。


霧は——


完全に晴れていた。


空が広い。


光が強い。


「——見える」


セリアが言う。


「近い?」


「すごく」


「どのくらい」


「あと少し」


リオが頷く。


「他は」


「全部——来てる」


セリアが流れを読む。


目を細める。


「人間が——右から」


「魔族が——左から」


「全部——同じ場所へ」


「ぶつかる?」


ガオルが問う。


「ぶつかる」


「いつ」


「……今日中に」


ガオルが——


低く唸る。


「準備はできてるか」


「できてるよ」


セリアが答える。


「怖いけど」


「怖いのに——できてるのか」


「怖いから——できてる」


ガオルが——


その言葉を聞いて。


黙る。


理解しようとする。


「……どういう意味だ」


「怖いから——ちゃんとしようとする」


セリアが言う。


「怖くなかったら——油断する」


「……なるほど」


ガオルが低く言う。


「獣人族とは——違う考えだな」


「どう違うの?」


「怖さを——見せないのが強さだと思っていた」


「それも強さだよ」


「でも——」


「私は怖いって言える方が——好き」


ガオルは——


黙る。


否定しない。


ピコが——


セリアの肩で言う。


「もう一つ——感じる」


「何が?」


「核心が——動いた」


全員が——


止まる。


「動いた?」


リオが問う。


「うん」


「今まで——じっとしてたのに」


「なぜ動いた」


「全員が——近づいたから」


「ナイが——反応した」


リオの目が——


わずかに細くなる。


(反応した)


「どんな反応だ」


「……怖い反応じゃない」


ピコが言う。


「え?」


セリアが驚く。


「どんな反応?」


ピコは——


少しだけ間を置く。


「待ってる感じ」


「待ってる?」


「うん」


「何かを——待っている」


「何を?」


「分からない」


「でも——」


「引き寄せたのは——ナイだ」


リオが——


その言葉を聞いて。


空を見る。


(待っている)


(引き寄せた)


「……そういうことか」


小さく呟く。


「何が分かったの?」


セリアが聞く。


「全部——ナイの計画通りかもしれない」


「え?」


「俺たちが——ここへ来るのも」


「ガルドたちが——来るのも」


「ゼルヴァたちが——来るのも」


「全部——」


「ナイが——引き寄せた」


セリアの顔が——


青くなる。


「じゃあ——罠?」


「かもしれない」


「どうするの?」


リオは——


少しだけ考えて。


「行く」


あっさり言う。


「罠でも?」


「罠でも」


「なんで」


「他に——選択肢がないから」


「逃げれば?」


「また来る」


「もっと強く」


「だから——」


「今ここで——向き合う」


セリアは——


その言葉を聞いて。


深く息を吸う。


「……分かった」


「怖いけど——行く」


「うん」


「ガオルは?」


「当然だ」


即答だった。


「ピコは?」


「行く」


「小さいから——できることがある」


四人が——


頷く。


同じ方向を——


向く。


その頃。


右の森。


「——反応が変わった」


部下が報告する。


ガルドが——


目を細める。


「どう変わった」


「核心が——動いています」


「方向は」


「定まっていません」


「……」


ガルドは——


地図を見る。


「リオたちは」


「同じく——感知したようで」


「速度が——上がっています」


「ガビ」


ガルドが——


後ろに言う。


「はい」


「感じるか」


「はい」


ガビが——


前を見る。


「引き寄せられる感じが——強くなってきました」


「その感覚——信じるな」


「え?」


ガルドが——


初めて。


そう言った。


ガビが——


驚く。


「いつも——感覚を信じろと」


「今回は——違う」


「なぜですか」


ガルドは——


少しだけ間を置く。


「その感覚が——」


「お前の中から——来ていない可能性がある」


ガビが——


固まる。


「どういう——意味ですか」


「そのままの意味だ」


「でも——」


「今は——俺の指示だけ聞け」


「……はい」


ガビは——


頷く。


素直に。


でも——


その目の奥に。


初めて——


小さな疑問が——


生まれた。


(俺の中から——来ていない?)


消えない疑問が——


そこに残る。


左の森。


ゼルヴァとグラムも——


止まっていた。


「……感じるな」


グラムが言う。


「ああ」


「呼ばれてる」


「引き寄せられてる」


「違いは分かるか」


ゼルヴァが——


グラムを見る。


「呼ばれるのは——相手が望んでいる」


「引き寄せられるのは——仕組みがある」


「今回は?」


「両方だ」


グラムが——


低く笑う。


「ややこしいな」


「ああ」


「でも——行くだろ」


「行く」


「なんで」


ゼルヴァが——


少しだけ間を置く。


「昨日——気づいた」


「何に」


「全部——繋がっているなら」


「その中心を——見なければならない」


「見てどうする」


「……分からない」


「でも——」


「見ないよりはいい」


グラムが——


頷く。


「それでいい」


「シンプルだな」


「お前が——複雑にしすぎだ」


「うるさい」


でも——


否定しない。


二人は——


また歩き出す。


四つの流れが——


最後の距離を——


縮めていく。


リオたちが——


歩く。


ガルドたちが——


進む。


ゼルヴァとグラムが——


動く。


そして——


見えない場所で。


ナイが——


静かに言う。


「——全員——揃う」


「あとは——」


少しだけ間。


「会うだけだ」


その言葉の奥に——


何があるのか。


誰にも——


分からない。


でも——


確実に。


世界が——


一点へ——


収束していく。


木々が——


途切れる。


開けた場所が——


見えてくる。


広い。


空が——


高い。


光が——


満ちている。


「——着いた」


リオが——


呟く。


その場所の中心に——


四人が——


立つ。


静寂。


風だけが——


吹いている。


そして——


右から。


左から。


気配が——


近づいてくる。


「来る」


セリアが言う。


「うん」


リオが答える。


「怖い?」


「怖いよ」


「でも——」


「見る」


セリアが——


頷く。


「うん」


「見る」


木々が——


揺れる。


影が——


動く。


そして——


現れる。


右から——


ガルドとガビ。


左から——


ゼルヴァとグラム。


全員が——


同じ場所に——


立った。


沈黙。


誰も——


動かない。


その中心で——


リオが——


全員を見渡す。


静かに。


淡々と。


「——久しぶりだね」


ガルドに言う。


「ああ」


ガルドが——


低く答える。


「斬ると言った」


「覚えてる」


「今日——果たす」


「そう」


リオは——


それを聞いて。


ガビを見る。


ガビが——


リオを見る。


初めての——


対面。


二人の目が——


交わる。


ガビの目は——


真っ直ぐだ。


純粋だ。


疑いがない。


リオの目は——


静かだ。


深い。


何度も——


繰り返してきた目。


「——お前が」


ガビが言う。


「魔王か」


「そう呼ばれてる」


「倒しに来た」


「知ってる」


「怖くないのか」


「怖いよ」


ガビが——


わずかに目を細める。


「そう見えない」


「表に出さないだけ」


その言葉に——


ガビが——


止まる。


(表に——出さないだけ)


どこかで——


聞いたような。


「——面白い」


突然。


声が——


降りた。


全員が——


止まる。


空気が——


変わる。


「久しぶりだな——リオ」


その声は——


どこからでも——


ない場所から。


「——ナイ」


リオが——


低く言う。


「ああ」


「来たか」


「来た」


「会いに来た」


その言葉に——


全員が——


息を呑む。


沈黙。


風が——


止まる。


世界が——


また——


静止する。


その静寂の中で——


リオは——


空を見上げた。


(——来たな)


その目は——


静かだった。


怖い。


でも——


逃げない。


「——さて」


小さく呟く。


「始まるか」

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