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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第6章 交わる、そして明かされる真実

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第6章 第6話「同じ場所へ」

朝が来た。


霧が濃かった。


視界が——


白く染まっている。


「……見える?」


リオがセリアに聞く。


「見える」


即答だった。


「霧は——関係ない」


「流れは——見えてる」


「どっちも——来てる」


「どっちも?」


ガオルが低く言う。


「人間と——」


セリアが続ける。


「もう一つ」


「魔族?」


「違う」


少しだけ間。


「もっと——複雑」


リオが——


小さく頷く。


「ゼルヴァとグラムか」


「たぶん」


「全部——同じ場所に向かってる」


「どこに?」


ガオルが問う。


セリアは——


目を閉じる。


流れを読む。


深く。


さらに深く。


「……あそこ」


目を開ける。


前方。


霧の奥。


「どんな場所?」


「広い」


「開けてる」


「そして——」


少しだけ止まる。


「核心が——近い」


「黒幕の?」


「うん」


全員が——


黙る。


その言葉の重さを——


受け止める。


「全部——そこに集まるのか」


ガオルが低く言う。


「そうなる」


リオが答える。


「意図的に?」


「ナイが——引き寄せてるかもしれない」


「なんのために」


「さあ」


あっさり言う。


「さあって——」


「分からないよ」


「本当のことだから」


ガオルが——


低く唸る。


「……ピコ」


セリアが言う。


「なに」


「何か——分かる?」


ピコは——


少しだけ間を置く。


「記録にある」


「何が?」


「似た状況が」


「前にもあった?」


「あった」


「どうなった?」


ピコが——


静かに答える。


「全員——修正された」


沈黙。


重い沈黙。


「今回は?」


セリアが聞く。


「分からない」


「でも——」


「違う」


「何が違うの?」


ピコが——


全員を見る。


リオ。


セリア。


ガオル。


「揃ってる」


その一言。


シンプルで。


でも——


重かった。


「前は——一人だったか?」


ガオルが問う。


「いつも」


ピコが答える。


「魔王は——いつも一人だった」


「仲間を作っても——」


「命令していた」


「従わせていた」


「だから——」


「崩れた」


リオは——


その言葉を聞いて。


何も言わない。


ただ——


前を見ている。


(知ってる)


何度も——


繰り返してきたから。


「今回は——命令してない」


ピコが続ける。


「うん」


「自分で選んだ者だけが——いる」


「そう」


「それが——」


「違う」


セリアが——


リオを見る。


その横顔。


いつも通りだ。


静かで。


淡々としていて。


でも——


(何度も失敗してきた人の顔だ)


そう感じる。


流れが——


見えるから。


「リオ」


小さく呼ぶ。


「なに」


「怖い?」


少しだけ——


間があった。


「怖いよ」


「なんで?」


「また——同じになるかもしれないから」


その言葉は——


珍しく。


素直だった。


「同じって——」


「崩れること」


「仲間が——いなくなること」


セリアは黙る。


ガオルも黙る。


ピコも黙る。


風が吹く。


霧が——


少しだけ動く。


「……ならない」


やがて——


ガオルが言う。


「え?」


リオが振り向く。


「同じには——ならない」


低く。


はっきりと。


「根拠は」


「俺が——自分で選んだから」


「命令されたわけじゃない」


「だから——」


「簡単には——いなくならない」


その言葉に——


セリアが続ける。


「私も」


「自分で選んだ」


「最初から」


「ピコも?」


ピコが——


小さく頷く。


「うん」


「自分で——出てきた」


「タイミングを——選んだ」


リオは——


三人を見る。


順番に。


何も言わない。


でも——


その目が。


ほんのわずかに——


和らいだ。


「……そっか」


小さく言う。


「うん」


セリアが頷く。


「じゃあ——行こうか」


「どこへ?」


「同じ場所へ」


あっさり言う。


「全部——そこで決まるんでしょ」


「たぶんね」


「なら——早い方がいい」


ガオルが立ち上がる。


「同意だ」


ピコが——


セリアの肩で言う。


「行こう」


四人は——


歩き出す。


霧の中へ。


前へ。


その頃。


別の場所。


「——見えてきた」


ガビが呟く。


霧の奥を——


見ながら。


「何かが——あの先に」


「感じるのか」


ガルドが問う。


「はい」


「強い——何かが」


「詳しく」


「うまく言えないけど——」


ガビが続ける。


「引き寄せられる感じ」


ガルドは——


その言葉を聞いて。


(引き寄せられる)


自分も——


感じていた。


だが——


言わない。


「行くぞ」


それだけ言う。


討伐隊が動く。


霧の中へ。


そして——


また別の場所。


ゼルヴァとグラムも——


動いていた。


「……感じるな」


グラムが言う。


「ああ」


ゼルヴァが答える。


「呼ばれてる感じがする」


「呼ばれてるんじゃない」


「じゃあなんだ」


「収束している」


「全部が——一点に」


グラムは——


少しだけ笑う。


「面白いな」


「面白くない」


「そうか?」


「全員が——同じ場所に向かう」


「それの何が面白い」


「だって——」


グラムが言う。


「どうなるか——分からないだろ」


ゼルヴァは——


答えない。


でも——


否定もしない。


二人も——


歩き出す。


霧の中へ。


四つの流れが——


一点へ。


静かに。


確実に——


収束していく。


その中心で——


「——収束、確認」


ナイの声が——


響く。


「全駒——移動中」


「計画通り」


少しだけ——


間があった。


「——始まる」


その一言が——


霧に溶けて。


消えた。

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