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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第5章「勇者と討伐隊」

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第5章 第2話「討伐隊長の目」

翌朝。

王都の訓練場。

夜明け前から、剣の音が響いていた。

ガルドだった。

一人で振っている。

無駄がない。

感情がない。

ただ——

精度だけがある。

「……隊長」

後ろから声。

部下の一人が近づく。

「報告があります」

「言え」

剣を止めない。

「昨日の勇者覚醒について——」

「知っている」

「その……反応が」

「何の反応だ」

部下が少しだけ間を置く。

「各地の魔力反応が——動きました」

「どの程度」

「今までにない規模で」

ガルドが——

初めて剣を止めた。

振り返る。

「魔族も?」

「はい」

「……そうか」

また前を向く。

剣を構える。

「もう一つ」

部下が続ける。

「例の……少年の動向ですが」

「リオか」

「はい」

「獣人族の領域を抜けたようです」

「方向は」

「こちらへ——ではなく」

「北です」

ガルドは少しだけ——

目を細めた。

(北か)

「仲間が増えたとも報告が入っています」

「獣人が一体」

「それから——小人族」

「小人族?」

「詳細は不明です」

「観測が——難しい個体らしく」

ガルドは黙る。

(観測が難しい)

その言葉が——

引っかかる。

「他には」

「エルフの少女は——変化しています」

「変化?」

「以前より——読めない動きをしています」

「感知が、難しくなってきた、と」

ガルドは剣を下ろす。

「面倒だな」

低く呟く。

感情ではない。

ただの——評価。

「追いますか」

部下が問う。

ガルドは少し考えて——

「いや」

と答えた。

「なぜですか」

「今は——ガビを育てる方が先だ」

「リオたちは——放っておいていい」

「ですが——危険では」

「危険だな」

即答だった。

「だが——今は使える可能性がある」

部下が黙る。

「目的は——魔王の討伐だ」

ガルドは言う。

「もしあいつらが——その方向に動いているなら」

「邪魔する必要はない」

「……しかし」

「結果が出てから判断する」

それだけ言って——

また剣を振り始める。

部下は頭を下げて——

下がった。

訓練場に——

剣の音だけが戻る。

ガルドは、何も感じていない。

正確には——

感じないようにしている。

(正しいことをする)

それだけが——

この男の軸だった。

感情は——

邪魔だ。

迷いは——

隙になる。

(魔王を倒す)

そのためなら——

何でも使う。

勇者も。

部下も。

そして——

必要なら。

リオたちでさえ。

剣が空気を裂く。

夜明けの光が——

訓練場に差し込む。

その光の中で——

ガルドは一人、動き続けていた。

何かを感じることなく。

何かを疑うことなく。

ただ——

目的だけを見て。



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