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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです【完結まで予約済みです!】  作者: 1010
第2章 「討伐隊ガルドは気づく」

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第2話「気配」

森を抜ける風が、わずかに変わった。


「……止まって」


リオが足を止める。


セリアもすぐに気づいて、動きを止めた。


「どうしたの?」


「……近い」


「何が?」


少しの沈黙。


リオは周囲を見渡す。


視線ではない。


もっと内側の感覚で。


「“いる”」


その一言だけ。


セリアは眉をひそめる。


「魔物?」


「違う」


即答だった。


「もっと……近い」


言葉を探すように、少しだけ間を置く。


「同じ側のものだ」


その表現に、セリアの表情が変わる。


「それって……魔族?」


「多分」


“多分”と言いながら、その声に迷いはない。


むしろ確信に近い。


(……反応してる)


リオは自分の内側を感じていた。


何かが、引き寄せられるような感覚。


逆に、向こうも気づいているはず。


「ねぇ、それって危ない?」


「場合による」


「またそれ」


セリアがため息をつく。


「ちゃんと説明して」


「説明しづらい」


「頑張って」


少しだけ間。


リオは言葉を選ぶ。


「……敵の可能性もあるし、そうじゃない可能性もある」


「それ説明になってない」


「本当にそうなんだよ」


セリアはじっと見る。


リオは少しだけ視線を逸らした。


「……性質がバラバラなんだ」


「魔族って?」


「うん」


それは、今までの経験からの結論だった。


従う者。


裏切る者。


利用する者。


すべて見てきた。


「だから、会ってみないと分からない」


「それ、だいぶ危なくない?」


「危ないね」


あっさり認める。


セリアは少し黙ってから、小さく息を吐いた。


「じゃあさ」


「なに」


「今回は逃げる?」


その提案は、合理的だった。


まだ戦う理由はない。


情報も少ない。


リスクは高い。


リオは少し考えて——


首を横に振った。


「いや」


「え?」


「向こうも、こっちに気づいてる」


「……それ、分かるの?」


「なんとなく」


正確には、“感覚で確信している”。


「逃げても、意味ない」


「……そっか」


セリアは少しだけ表情を引き締めた。


「じゃあ」


杖を軽く握る。


「やるしかない?」


「話せるなら、話す」


「話せるの?」


「相手による」


またそれだった。


「ほんと不安になるんだけど」


「大丈夫」


リオは言う。


「最悪でも——」


その言葉の続きを言う前に。


ガサリ、と音がした。


木々の奥。


重い気配。


一つじゃない。


「……来た」


リオが呟く。


セリアが構える。


緊張が走る。


そして——


ゆっくりと現れた。


角を持つ男。


筋肉質の体。


鋭い目。


その背後に、もう一人。


細身で、静かな気配。


対照的な二つの存在。


「……へぇ」


先に口を開いたのは、グラムだった。


リオを見て、口元を歪める。


「見つけたぜ」


その声には、明確な“確信”があった。


セリアの背筋が冷たくなる。


(この人……分かってる)


一方。


ゼルヴァは、何も言わない。


ただ、じっと見ている。


測るように。


値踏みするように。


「……お前か」


ぽつりと呟く。


その声は、感情が薄い。


だが——


完全に否定もしきれていない。


リオは二人を見て、小さく息を吐いた。


(……面倒なのが来たな)


そして、言う。


「初対面で悪いけど」


一歩、前に出る。


「何の用?」


空気が張り詰める。


次の一言で、関係が決まる。


敵か。


それとも——


別の何かか。

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