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太陽神に感謝したことはありませんよ

 強行軍にセラ、サリア、ベルリナが疲労の色を見せたのもあり、ブランムの町に到着したウィル一行はまず宿屋を取った。そして、セラ、サリア、ベルリナ、メイリィを宿に残して休ませ、ウィルは潜伏しているユリィとリタを探しに出て、何とか二人を見つけて三人で夕方には宿に戻って来た。


「メイリィ。あんたが来たわけか」


「サイコ・ゴブリンとかに勝てそうなのは、ファンとかベルクとか、何人でもいますけど、その上、回復手段を有しているとなれば、限られるというより、私しか該当しませんよ」


「ウィルに会えるからって、強く志願したでしょ。どうせ」


「はい、当たりです。あの時ほど、太陽神に感謝したことはありませんよ」


 出会い頭のユリィとメイリィの会話が一段落すると、さすがに宿屋の一部屋では無理な人数ゆえ、一同は近くの飯屋に移動することにした。


 ユリィとリタには、宿屋に戻る道すがら、現状をカンタンには伝えてある。飯屋のテーブルに着いた一同だが、夕食を口にしつつ互いの近況に語り合えば、今後の方針について話し合う必要はさしてない。


「とにもかくにも、ルウ姉と合流するしかない」


 ウィル、ユリィ、リタ、メイリィからすれば、事態は実に単純である。


 自分たちではエンシェント・ドラゴンに勝てない。だから、自分たちだけで立ち向かうなど、論外。しかし、ルウならば、エンシェント・ドラゴンに勝てる。ゆえに、とにかく合流するしかない。


「不遜なる矮小な存在の始末が目的なら、エンシェント・ドラゴンはスウェアを再び襲うだろう。一方、ルウ姉はオレたちがここにいるのを知らないから、スウェアに向かっている。これで双方が噛み合ってくれたら、こちらとしては万々歳。ルウ姉がエンシェント・ドラゴンを噛み破ってくれたら、今回の騒動はようやく落ち着く」


 ウィルの言葉にユリィ、リタ、メイリィはうなずくが、セラとサリア、さすがにベルリナさえうなずかなかった。


 ルウと一面識もない三人からすれば、エンシェント・ドラゴンに勝てると言われても、たしかにそうです、と納得できるものではない。


「そのルウという人は、それほど凄いのですか?」


 ウィルらの強さ、その異常さを最も目の当たりにしているセラだが、同時に彼女はエンシェント・ドラゴンの圧倒的な存在感も目の当たりにしている。


 あの強大な存在に人が勝てると言われても、想像ができるものではない。

「こればかりはルウ姉を直に見てもらうしかないな。何しろ、あんな道理を超えた芸当、いくら説明しても納得しようがないだろう。うちの孤児院で最も迅いと言っても、セラたちにはピンッとこないだろうしな」


 説明がしようがないと説明するウィルは、ルウが近くに来ていると知り、それで万事解決したと言わんばかりに、緊張をゆるめていた。


 それはユリィ、リタ、メイリィも同様であるが、セラ、サリア、ベルリナからすれば、エンシェント・ドラゴンと敵対して、どうして気をゆるめられるのか、理解できるものではない。


 そして、結果としてだが、気をゆるめるのはまだ早かった。


 この日の深夜、ブランムの町にゾンビの大群が押し寄せたのだから。



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