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なめてた。油断した

「チィッ、なめてた。油断した」


 太古より生きるエンシェント・ドラゴンは、高度な魔法を使えるほど知能に優れ、また膨大な経験を積んでいる。


 そのエンシェント・ドラゴンが考えなしにスウェアの町に襲うと考えたのは、明らかに浅慮であったと言えるだろう。


 エンシェント・ドラゴンがウィルたちの逃げる可能性を見落とすわけがなく、実際に人海戦術での捕捉にかかった。


 ブランムの町に押し寄せたゾンビらは、その大半が焼死体を材料にしており、その中には何体かアンデッド・ナイト、騎士の風体をしたアンデッドがいる。


 このラインナップからエンシェント・ドラゴンが何をしたか、

想像に難くない。


 おそらく、エンシェント・ドラゴンは昨夜、飛び去った後、壊滅、もしくは焼失したカサードの町に降り立ったのだろう。


 闇属性の表れである黒い鱗のエンシェント・ドラゴンがカサードの町に降り立つと、勝手にゾンビが沸いていった。さらに魔法で騎士の死体からアンデッド・ナイトを作り出した。


 アンデッド・ナイトにゾンビらを指揮させ、周辺の町や村を襲うように命じ、その一部がブランムの町にも押し寄せた。


 ハルバ伯爵の呼びかけに応じた際、多くの兵を失ったブランムの町だが、まだ騎士も兵士もいれば、冒険者もいる。また外壁もあり、ゾンビの群れだけなら撃退も難しくなかっただろう。


 しかし、アンデッド・ナイトの指揮されたゾンビたちは、考えなしに押し寄せるようなことはせず、ブランムの町の市門に殺到してその突破を計った。


 ブランム程度の市門はそう頑丈な造りではなく、ゾンビらが何十回と体当たりすれば壊れ、実際にそうなった。


 もちろん、ブランムの町を守る騎士や兵士らもそれを座視していたわけではない。門が破られぬように内側から押さえつつ、領主に事態を報告し、市民に避難を呼びかけ、冒険者たちにも協力を要請した。


 だが、サイコ・ゴブリンとの戦いで手勢をだいぶ失っていた領主は、


「わしは落ち延びる。お主らはわしと家族と財産を守れ」


 ただでさえ足りない兵を領主が自分の護衛に回したので、ブランムの町の守りは破綻し、アンデッド・ナイトやゾンビらはぶち破った市門から雪崩れ込んでしまう。


 ゾンビらの数に比して、その場にいた騎士や兵士、そして冒険者の数を思えば、彼らは大した時を置かず、血祭りとなっただろう。


「太陽神よ! 不浄なる存在を清めたまえ!」


 そこにウィル、リタ、そしてメイリィが駆けつけていなければ。




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