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序章

僕の瞳は、その一色だけを写していた。

この瞬間、僕の理性は吹っ飛んだ。

「パキッ」

小枝の折れる音が静寂していたその空間に響いた。後ろをゆっくり振り返る

違う、違う、違うんだ。

完璧になればなるほど消えてゆく。

人間らしさが。

機械のように淡々と、命ある限り永遠に完璧で、ある意味非凡な日常を過ごしていく。

小さい頃願った完璧ってなんだろう?

僕の耳に喧騒が帰ってきた。



見慣れた青色のログイン画面。キーボードを叩いて的確にパスワードを打ち込んでいく。こんなひとりになった時、思い出すのは過去のこと。

もう三年前のお話。

浄化できない話。

「ロクデナシ。」

そう呟いて出ていった母は、帰らぬ人となってしまっていた。

「最低っ!」

そう叫んで出ていった姉も今だ帰らずに、父とふたりで暮らしている。

僕には自分が何をそんなに悪いことをしたのかわからなかった。だからこそ嫌われてしまったのだろう。溜息をついて顔を覆うと、頬が濡れているのに気が付いた。

泣いていたのだ。

何が悪かったのかわからない。だから、弁解することもできずに母を殺し、姉を出ていかせてしまった自分を責めているのかもしれない。確かに母のことは正確に言えば、僕が殺したのではない。けれど、結果だけ見れば何ら変わりのないことなのだ。

自分を責めているのか、責めていないのか。そんな自分の気持ちすらも、理解できなくなっていた。

だから、周りにいた数少ない友人にも愛想を尽かされ、今のような生活が続いているのだ。そのことだけはわかっていた。そのことだけしかわからなかった。

非常だった。

いつか、「お父さん!僕いつかカンペキな人になりたい!!」と言っていた。

お前がなりたかったのはこれなのか?と、幼い自分に問いたかった。

幼少の僕は勘違いをしていた。ただ頭が良ければそれで完璧だと。

いや、つい最近までそんな考え方をしていたのだ。その勘違いのお陰で今は無駄に頭が良い。

でも、ただそれだけだった。

頭が良いだけで、人間らしさなんてない。

結局それが僕の本性なのだ。

そんなことを考えながら適当にパソコンをいじっていると、変な広告をクリックしてしまった。すぐにそのタブを閉じようとしたのだが、ふとこんな文字が目に止まった。

「命をかけたデスゲーム参加者募集中」


あ......

再び教室の喧騒が戻ってくる。

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