↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10/8電子書籍化】転生したら悪役継母でした~離縁されましたが、最強公爵様と天使な義息子に愛されているのでむしろ本望です~  作者: 入魚ひえん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/46

【電子書籍1巻:記念SS2】公爵様の「もう少し」~みらいをかえましゅ!~

「じゅんびはばっちりですわ!」


「あいっ」


 おかぁしゃま、こまらないように。


「エトとレオしゃまで、みらいをかえましゅ!」


 エトはあそんでるときも、どきどきしていた。


(やくそくのじかん、まだかな?)


 レオしゃまもとけいをみて、じかんをおしえてくれる。

 ふたりでいっしょにとびらをあけて、なんかいも、おへやのそとをかくにんした。


 そして――


「面会のお時間です」


「「は(あ)いっ!!」」


 おとなによばれて、レオしゃまといっしょに、ごはんのへやにむかう。


 おとぅしゃまとおかぁしゃまがきた。


 エトとレオしゃまは、はしってちかづいた。

 ふたりで、おとぅしゃまとおかぁしゃまのおかおを、じっとみた。


「こうしゃくさま。おつかれではありませんか?」


「おかぁしゃま、こまってない?」


「「? ……大丈夫」」


 おとぅしゃまとおかぁしゃまのこえが、いっしょにかさなった。


 エトはレオしゃまと、ほっといきをついた。

 でも、さくせんはこれから。


「おかぁしゃま、みて!」


 エトはおかぁしゃまのてをひいて、テーブルにちかづく。


 おおきなおさらには、しろいゆでたまごがやまもり。

 エトはちいさくむねをはった。


「おかぁしゃま、たまご、いっぱいよ!」


 おさらをみた、おかぁしゃま。

 おどろいて、めをまるくした。


「どうしてゆで卵が、こんなにたくさんあるの?」


「へいかしゃまが、いっぱいくれたのよ!」


 レオしゃまもうなずく。


「おとまりかいのあさ、エトはじぶんのたまごを、アルージュさまにもってかえろうとしたのです」


 おかぁしゃまは、めをパチパチってしてる。


「エトの好きな卵を?」


「おかぁしゃまの、たまご……なくなっちゃうから」


 おかぁしゃまは、めをまるくした。

 でも、すぐやさしいかおになって、エトをぎゅっとだきしめる。

 いいにおい。


「エト、ありがとう。でも、エトのごはんはエトが食べていいのよ」


 おかぁしゃまのだっこ、あったかい。

 エトも、ぎゅってだきしめかえす。


 それからかおをあげて、おかぁしゃまをみた。


「おかぁしゃま、たべる?」


「ええ。いただきます!」


 おかぁしゃまはすわって、ゆでたまごをひとつとって、じぶんのおさらできりわける。


 エトはよくみえるように、おかぁしゃまのまえのせきにすわる。

 レオしゃまは、エトのとなりにすわった。レオしゃまのまえには、おとぅしゃま。


 エトは、おかぁしゃまがおくちをあけて、たまごがはいるのを、じっとみまもる。


「とってもおいしいわ!」


「あいっ!」


 おかぁしゃまのおさらには、たまごがある。おとぅしゃまのおさらにも。

 おおきなおさらには、もっといっぱい。


(おかぁしゃまのたまご、ぜったいになくならない!)


 ほっとした、そのとき。

 おかぁしゃまのてが、とまった。


 おとぅしゃまが、たまごをたべているおかぁしゃまの、おくちをじっとみていた。


 おかあしゃまは、おとぅしゃまとめがあった。ほっぺが、ふわっとあかくなる。

 それから、こまったみたいにうつむいて……


(あっ)


 おかぁしゃまは、はんぶんになったたまごののった、じぶんのおさらを、おとぅしゃまのほうへ、そっとよせた。


「……よろしければ、どうぞ」


 エト、おめめがまんまるになった。

 となりをみたら、レオしゃまのかおも「どうちて?」ってなってた。


 だって、おとぅしゃまのおさらには、たまごがそのままある。

 それにおとぅしゃま、「もうすこち」って、いってないのに。


「おかぁしゃまのたまご、なくなっちゃう……」


 おかぁしゃまとおとぅしゃまが、おどろいたみたいに、エトをみた。

 おとぅしゃまのおかおが、やさしくなった。


「アルージュの卵はある」


 おとぅしゃまはそういって、じぶんのたまごがのったおさらを、おかぁしゃまのまえにおいた。


 おかぁしゃまは、エトをみて、わらってうなずいた。


「ほら、大丈夫よ。私の卵はちゃんとあるわ」


 おかぁしゃまのほっぺは、まだあかいまま。

 でも、おとぅしゃまからもらったたまごを、うれしそうにたべた。


 おとぅしゃまも、じぶんのじゃなくて、おかぁしゃまからもらったほうをたべている。


(たまご、いっぱいあるのに。どうちて、こうかんするの?)


 エトは、ちょっとだけわからなくなった。


 となりをみると、レオしゃまはふたりをじっとみていた。

 めがあって、いっしょに、くびをかしげた。


「エト、レオノール様。卵をたくさん用意してくれて、ありがとう」


 おかぁしゃまに、おれいをいわれた。

 エトもレオしゃまもうれしくなって、ほっぺをあかくしてうなずいた。




 ◆ ◆ ◆


(どうしてでしょうか?)


 けいじのみらいとちがって、こうしゃくさまは「もうすこし」と言わなかった。

 それでも、アルージュさまのお皿にはちゃんとたまごがある。こうしゃくさまもうれしそうだ。


(では、きっとこちらも……)


 おしょくじがさげられる。こうしゃくさまが、いすからたちあがろうとした。


(いまですわ!)


 わたくしは、大きくいきをすった。


「わたくしから、こうしゃくさまへおくりものがあります」


 わたくしはいすをおりて、小ばこをもって、こうしゃくさまのまえへすすんだ。

 せすじをぴんとのばし、りょうてでさしだす。


「ほんじつはこちらを、こうしゃくさまにおつかいいただきたく、おもちいたしました」


 こうしゃくさまが体をかがめてうけとり、ふたをあけた。

 中には、お母さまがよういしてくださった、いちばんよいくしがおさまっている。


「これなら、いちどでかみがきれいになります。なんどもとかなくてすみます」


「殿下、ありがとうございます」


「こうしゃくさま。いま、つかってみませんか?」


「……? はい。アルージュ、これで梳いてくれるか」


「ええ」


 くしをうけとったアルージュさまが、すわっているこうしゃくさまのうしろへまわる。


 わたくしはむねのまえで、りょうてをそろえた。

 エトもわたくしのとなりにかけよってきて、ふたりをみまもる。


 アルージュさまが、黒いかみにくしをいれた。


 するり。

 くしはひっかからず、毛先までいっきにぬけた。


「……まあ、さらさら」


 アルージュさまのこえに、わたくしは体をのりだして、こうしゃくさまのかみをみた。


(かんぺきですわ!)


 アルージュさまは、すこしおどろいたように、くしをみた。


「トリートメントしたみたい」


「とりぃとめんと?」


「あっ、その……昔のことを思い出して。こうして、するっと櫛が通る感じ」


 アルージュさまは、なつかしそうにわらった。


「はい。もう整いました」


 こうしゃくさまのかみに、はねているところはない。


「殿下、ありがとうございます。素晴らしい櫛です」


「よかったです!」


 わたくしとエトは、えがおでうなずきあった。


(こんどこそ、かんぜんにさくせんせいこうですわ!)


 こうしゃくさまが、いすからたちあがろうとした、そのとき。


「……もう少し、梳いてもいいですか?」


 わたくしのえがおが、ぴたりと止まった。


 こうしゃくさまが、いっしゅんだけ目をみひらいた。

 でも、アルージュさまの楽しそうなおかおをみて、ほほえむ。


「ああ」


 すぐ、いすへすわりなおした。


 アルージュさまは、またくしをいれた。

 するり。するり。


 となりを見ると、ぽかんとくちをあけたエトと目があった。

 ふたりそろって口をとじ、首をかしげた。


「アルージュさま……こまって、ないみたいですわ」


「うん。おかぁしゃま、たのちそう」


 ゆめの中では、こうしゃくさまが「もうすこし」といっていた。

 いまは、アルージュさまが「もうすこし」といっている。


(どうやら……「もうすこし」って、いっていいときもあるようですわ)


 わたくしはエトとかおをみあわせて、ちいさくわらった。


 かみはもう、きれいになっているのに。

 アルージュさまは楽しそうに、なんどもくしをとおしていた。


記念SS2にお付き合いくださり、ありがとうございました!


本日、電子書籍が発売となりました。

Web版に加えて、後半を丁寧に加筆し、エトの活躍シーンや、アルージュとリュノール、三人の関係をより深く書いています。

書き下ろし番外編はエト視点のほっこりしたお話です。


こちらも楽しんでいただけましたら嬉しいです。


▼宵マチ様の美麗すぎる表紙と電子書籍のリンクは、この下にあります!▼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼電子書籍発売中!▼画像から書報へ
『転生したら悪役継母でした』書籍情報
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。