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第二十七話 愛染明王の話

関東にあまりない仏像で

関西に多い仏像の一つに愛染明王があります。

大阪では天王寺にある愛染堂(勝鬘院)が

「愛染さん」の愛称で親しまれています。

私の近くでも奈良の西大寺には

秘仏ですが素晴らしいお像があります。

お愛染明王はその名が示すとおり

「恋愛・縁結び・家庭円満」などをつかさどる仏として

古くから信仰を集めてきました。

愛欲を否定しないことから、

古くから遊女の信仰対象にもなってきたということです。

昨年のNHK大河ドラマで直江兼続は

兜に愛の文字をあしらったことは有名になりましたが、

これは愛染明王への信仰とも考えられています。


愛染明王あいぜんみょうおうは、

明王の1つで、仏法を信じない原因の一つに

「煩悩・愛欲により浮世のかりそめの楽に心惹かれている」

ことがあると言われますが、

愛染明王は

「煩悩と愛欲は人間の本能でありこれを断ずることは出来ない、

むしろこの本能そのものを向上心に変換して仏道を歩ませる」とする功徳を持っているといわれます。

どんな人間でも生きてる限り

いろいろな愛欲を持ち続けます。

その欲をエネルギーとして活用して生きて行くわけです。

愛欲をむさぼる心(愛欲貧染)を

金剛王菩薩の浄菩提心の境地(三昧)にまで高めること、

すなわち「煩悩即菩提」を象徴した明王です。


その姿は赤い円相を光背にして結跏趺坐し、

頭部には獅子冠をいただく一面六臂三目の赤肉色です。

頭に獅子冠をかぶり、髪を逆立て、

三目で、牙をむき出して口をカッと開き

恐ろしい姿の忿怒の表情です。

腕は六本、これは地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、

人道、天道の六道すべてを救う意味です。

持物は右手には手前から

順に五鈷杵ごこしょ・矢・蓮華、

左手は五鈷鈴・弓・握りこぶしです。

五鈷杵と五鈷鈴は健康や息災、

時には恋いのライバルや、

嘘、不純なモノなどから守るため。

矢と弓は恋愛を叶えるため。

握りこぶしは、

女性の優しさと男性の力強さを表わします。

恋愛体験を通して

優しさや慈しみを育てる願いを持っています。

弓矢をつがえた形は、

ギリシャ神話のエロス

(ローマ神話のキューピッド)を連想させますが、

もしかしたらつながりがあるのかもしれません。

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