アリーチェの日常!
ボスコの冬。
雪は20センチも積もらず、ラダック村とは大違いだ。
商人ギルドにダニエラさんに会いに来た。
ダニエラさんにお願いしていた神楽用の道具が出来上がったと聞いて来てみたが、満足のいく出来では無かった。
「色々と手配してもらったのにすいませんダニエラさん。何とか自分で作ってみます」
「こちらこそ、期待に応えられず申し訳ありません」
「ではこれ、いつものお人形さんです」
「………お預かりいたします。こちらギルドカードです」
更新してもらったギルドカードと、お人形さんを交換する形になった。
ギルドの口座額も少しずつ増えて、100万ターナを超えていた。もうすぐ8才の子供が持つ金額ではない。
商人ギルドを出てエルノさんのお店に向かった。
木工職人なら神楽の道具を作れるのではと思ったからだ。
エルノさんに相談してみると、太鼓は無理だが扇子と神楽笛をやってみてくれた。竹の様な素材が無いか聞いたら使いづらくて人気の無いバンブーと言う素材があるそうだ………それです。
エルノさんの店に通って1週間、毎日一緒になって色々と工夫して作ってくれた。
「エルノさん、すごくいいです!ありがとう」
「いやぁ~喜んでもらえて嬉しいよ」
「あと、鈴を作って見たいのですが、鍛冶をする工房を借りられる所はご存知ないでしょうか?」
「それなら2軒隣の鍛冶屋がそうだよ、今から一緒に行ってお願いしてみようか」
鍛冶屋はエルノさんと昔からの知り合いらしく、快く貸してくれた。
さっそくイフリートと一緒に鈴作りにチャレンジしてみた。
1つの鈴が指先くらいの大きさなので、作業が細かすぎてイフリートは苦戦していたが、3日目に何とか鈴っぽい音が鳴る物が出来た。
鈴が20個くらい出来た所で、鍛冶屋さんにお礼を言って、
エルノさんの所に持って行った。
エルノさんに20センチくらいの木の棒に枝のように横棒を付け、その枝に8個の鈴をバランス良く付けてもらった。
上出来だった。
鈴の音はもっと軽やかで涼しげな方が良かったけど、まぁ良しとしよう。
神楽笛と扇子は出来たが、演奏者がいない事に今さら気づいた…………
さてどうしよう、神楽を舞いながら笛は吹かないし……
ダニエラさんは王都に行けば楽器を作る人や演奏する人が居るって言ってたけど、まあここは王都からかなり遠い。
誰かに教えるかな。精霊を大勢の前に出すのはマズいから、誰か暇そうな…………おっ居た!ルカパパにお願いしてみよう!
その日の夜から、防音の魔法『サイレント』をかけた部屋で、ルカパパの神楽笛特訓の日々が始まった。
* * * * *
森の泉孤児院の屋台を見に行くと大盛況だった。
セラフィナさんの仕事の都合で夕方からしか営業してないのに、開店待ちの行列が出来ていた。
マウロたちは午前中魔物狩りをして、午後はセラフィナさんのお店を手伝っているようだった。
特にサンドロは、狩りよりお店の手伝いの方が熱心だった。
『メディカルチェック』でサンドロのスキルを見てみたら、なんと料理人がついていた…………それも見習いじゃなかった。
サンドロ、ふとっちょなんて思ってごめんなさい。
ラダック村特産品店も順調だった。
もうそろそろラダック村に編み物を取りに行かないと、売る物が無くなりそうな程だった。
店の護衛もジョバンニさんたちが忙しいので、年輩の元冒険者が来ていた。
昔は有名な冒険者だったらしいが(自称)、今は引退していたようだ。
だがこの店のファンである奥さんに言われて格安で受ける事になったそうだ。
奧さんに感謝!
貴族の客も大勢来るからいつ揉めても可笑しくなかったのだが、シモーネの一件のお陰か、みんな下手な事はしてこなかった。
貴族にアリーチェが人形をオークションに出してる小花咲良だと、まったくバレてないのはダニエラさんのお陰だろう。
神楽を始めたら元も子もなくなるのだが………
ボスコの街に積もっている雪を見て、雪ウッピーのゆきちゃんが懐かしくなった。
我慢できなくなりラダック村の近くの魔物の森に会いに来たら、直ぐにゆきちゃんと会えた。
可愛くて癒やされた。
ついでに剣のテストと練習の為にゴーレムと戦ったら、あっさりとゴーレムの腕を斬り落とせてびっくりした。
ゴーレムって柔らかい?
マウロたちはFランクの魔物を頑張って狩っているらしく、みんなLv4になり、Fランクの魔物相手なら余裕を持って戦えるようになっていた。
マウロたちの武器が、ワゴンセールで買った初心者用なのが気になっていたので、ゴーレム素材を混ぜて鍛え直してあげた。
レベルも上がってきたし、これで少し強い魔物が出ても大丈夫だろう。
ボスコの街に来てから初めて精霊たちと東の森に狩りにいった。
精霊たちのストレス解消の為と、剣の練習の為だ。
EやDランクの魔物が多かったがCランクの魔物も居た。
Eランクのゴブリンと初めて戦った。
こっちを見つけると勢いよく走って来たので剣を振ったら、豆腐かよって言うくらいすんなり斬れたので相手にならなかった。
ゴブリンよりロックゴーレムの方がちょっと堅かったかな。
Eランクのイガスネークと戦った時は危なかった。
見た目が完全に蛇とかあり得ないし、必死に逃げ回るしかなかった。
たまたま振り回した剣が当たって勝てたから良かったけど、もう出会いたくない。
森の奥に行くとDランクの魔物と遭遇した。大きさは狼くらいで見た目は牛でモーウルフと言う名前だった。
牛が突進してきたが闘牛の要領で躱して剣を振ったらあっさり倒せた。
見た目が牛だったので、牛肉への期待を込めて、アイテムボックスに丁寧に収納した。手を向けるだけでやる事は今までと一緒だが気持ちが大事なのだ。
その後にCランクのゼブラモーウルフと遭遇。
模様は白と黒の縞々だが、見た目は完全に牛だった。
ランクが高い方が美味しいと誰かに聞いた事がある………あっ森の泉PTの太っちょサンドロだ。
ゼブラモーウルフはモーウルフの高級品だ!身体は牛より少し大きいが、高級ブランド牛肉だ逃がさない!
Cランクのゼブラモーウルフの突進を躱してもそれに反応してきて手強かった。
避ける練習を丹念に行ってから堅実に勝った。
勝った瞬間に身体が軽くなる感じがありLv18に上がったのが分かったが、高級ブランド牛肉を手に入れられた事の方が嬉しかった。
高級ブランド牛肉のお裾分けもかねて、セラフィナさんの所で料理してもらいマウロたちや孤児院のみんなと一緒に食事をした。
みんなとっても喜んでくれた。
特にサンドロがもう死んでもいいとまで言って騒いでいた。
まだまだ生きてね、サンドロ!
雪深い冬のラダック村。
久しぶりにエリスママの所に遊びに行った。
家族もラダック村に住み込みの精霊たちも、みんな元気にしていた。
家族と精霊たち全員で高級ブランド牛肉を食べた。
みんな喜び過ぎてかなり賑やかだった。
村の人にバレてないと思う…………
あれだけ大きかったゼブラモーウルフの在庫が、残り少なくなった。
もうゼブラモーウルフ無しの食生活は考えられなくなったので、見つけたら絶対に逃がさないと堅く心に誓った。
冬も終わりに近づき、春に行われる教会の儀式の日が訪れようとしていた。
初心者の私が書いてみたくて始めた事ですが、自分の為では続けていくのが大変なのだと感じています。
しかし、読んでいただいてる事がとても励みになるのだと初めて知りました。
皆様に感謝です。
次回は、マウロ達森の泉PTの事を書こうと思います。
今後も読んでいただけるように、頑張ります。
宜しくお願い致します。
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