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仕事が休みの日曜日、ひとりカラオケでも行こうかとお店を目指してスクランブル交差点を歩いていた・・・はず・・・?
気が付いたらここにいた。って、ここってどこー!?
白い部屋、何の音もしない。ええー、周りを見渡すと自分以外の人が倒れている?自分が目を覚ましたように、周りの人も次々と目を覚ましだしたようだ。
自分も含めて4人の男性?
茶髪の甘いマスクの大学生ぐらいの若い男の子、黒髪短髪の30代前半ぐらいのイケメン細マッチョ、やや長髪のすらっとした上品な30代半ばぐらいの男性は美人顔、そして自分の、4人だ。
全員立ち上がって、きょろきょろと周りを見るけど、白い部屋というのか、白しか見えない、この場所で茫然としてしまう。何なんだ。ここ。
すると頭の中で声がした。突然で体がびくっと飛び上がる。
『君たち4人はスクランブル交差点で次元の裂け目に落ちてしまった。落ちたショックでもう地球の輪廻転生の輪から外れてしまった。申し訳ない。
そこで、わたしが管理するもう一つの世界に転移してもらうことにした。剣と魔法の世界だ。こちらの世界に合うように体は少しいじらせてもらう。スキルも付与するし、新しい世界の言語もわかるように初期フォローはする。住む家や当初必要なものは用意した。とりあえず4人で頑張れば生きていけるはずだ。お詫びに良いスキルを付与させてもらったから、頑張ってくれ。』
えええーーーーー。
「ちょ、ちょっと待って下さい!!それだけじゃぜんぜんわからないです!!」
一番若い子が大きな声を出してびっくりした。でもわかる。今の説明じゃぜんぜんわからないよ。
「管理人さん?僕たちは新しい星に行くっていうこと?地球に戻れないの?お父さん、お母さんとは二度と会えないの?」
『ああ、すまぬ。次元の裂け目に落ちたことで、地球と縁が切れた。地球との時間軸とも切れた。君たちが地球から消えて20年は経っているし、縁が切れて君たちが地球にいたという事実もかなり薄れてしまった。そもそも存在していなかったことになっている。もう戻れない。
申し訳ないから、まだ寿命が残っている君たちが新しい星で生き延びることができるように君たちには精神耐性を強くしておく。いろんなことに耐えられるように。人生四苦八苦どんな場面でもこれで大丈夫だろう。』
あー。お父さん!お母さん!思い出すけど、もう会えないと思っても悲しいと思えない。記憶が薄い・・・。それが悲しい。記憶まで消してしまわないで欲しい・・・。
『ああ、わかった。君たちの地球の記憶は全部残しておく。』
「それだけじゃ、足りません!!インベントリや鑑定のスキルも必要です!!魔法も使えないと魔物もいるんですよね。平和な日本にいた僕たちすぐに死んでしまいますよ!!」
必死で若い子が管理人さんにいろんな条件をぶち込んでくれているけど、わたしの頭はなかなか動かない。こんな時どうすればいいんだろう。
『わかった、インベントリと鑑定と魔法も付与する。とりあえず君たちに死なれては困る。輪廻の輪から外れてその先で元の世界での寿命もまっとうできなければ俺が上に怒られてしまう。とにかく生き延びてくれ。必要なスキルは生えてくる世界だ。弱い魔物しかでない森の端っこに家を作っておく。街まで徒歩30分ほどだ。必要最低限のものも用意した。』
「生活していくためのお金は!?」
『ああ、お金ね・・・。大金があるところの地図を置いておく。最初に必要な分ぐらいは用意しておく。上手く利用してくれ。』
「ナビとかはないのか!?」
『えー。ナビーー?ええっと、ああ、鑑定。鑑定がナビできるようにしておく。あんまり長く管理人が出てくるのも良くないんだよ。じゃ。後はよろしく!』
「ちょっと待て、まだ聞きたいことが!!!」
若い子が怒っているけど、残された3人はまだ茫然としている。一体自分に何が起こったんだろうか、なかなか理解できない。
スクランブル交差点を歩いていて、真ん中に差し掛かった時に音が消えて、え?と思った瞬間に目の前が真っ暗になって茫然としてしまったことをじわじわ思い出す。
あの時次元の裂け目に落ちてしまったのか、まだ実感が湧かない。もう二度と地球に戻れないなんて・・・。でも、悲しいと言う気持ちが湧いてこない。これが精神耐性のせい?
もちろん新しい異世界にはちょっと興味がある。わくわくもどきどきもしている自分もいる。いろんな感情がもうごちゃごちゃだ。
すると突然、目の前の景色が変わる。え?白い部屋だった場所からいきなり山の中だ。
きょろきょろしてみたら、後ろは結構立派な家がある。これが用意してくれた家?
一番年長っぽい品の良い人が声をかけてきた。
「ここでいつまでも、4人で立っているのも時間の無駄なので家の中にはいりませんか?」
彼の少し不安げな様子だったが、他の3人に気を使ってくれているのが感じられた。
「ああ、そうだな。入ろう。」
細マッチョイケメンが言えば、それだけで肯定の意味になる。はい。ついて行きます!と言いたくなるような兄貴分だ。
「了解。」
若い子がすぐにそこに反応する。反射神経が凄い。わたしも負けずに返事しなくては!
「ええ、そうしましょう。」
貰った家は外国の豪農の家っぽい感じがする。素朴で手作りっぽくて森にあって違和感がない。その家の木製の大きな扉を開けると、すぐに食堂を兼ねた厨房みたいで、大きなテーブルが目に入ってきた。靴で入るタイプ?床が石だ。厨房は何ていうのか古風?石作りの土台に竈のようなものが見える?オーブンのようなものもある。おとぎ話の中に入ったみたい!なんか可愛い!!
「とりあえず、ここに座ろう。」
イケメンに促されて、大きなテーブルに椅子が4つ。それぞれおずおずと座ることにした。
「頭の中に響いた声は聞こえましたか?」
「はい。僕たちが地球で次元の裂け目に落ちてしまったと聞きました。」
「ええ、俺もそう聞いた。」
「わたしもです。」
「管理人らしい人から家とスキルと魔法と当初必要なものを与えた。4人で頑張れと言われました。ここがどんな場所か生きていけるのかまったくわからないので、管理人の言うとおり、生きていけることがわかるまで4人で居た方が良いと思います。」
一番年長らしき品のいい方の言葉にみんなで頷く。
「では、自己紹介でも。わたしは坂下淳也35歳。バツイチで、今は一人暮らし、普通の会社員です。」
普通?本当に?こんなに上流家庭風の品の良い美人顔の方が?なんだろう男性なんだけど、上流家庭の奥様という雰囲気がする。いい匂いがするような美しさだ。
「俺は、陣出智彦、34歳で独身。役所勤務だ。」
え?この細マッチョのイケメンさんが役所勤務?うそー。圧の強いイケメン、氷の貴公子という雰囲気を受けた。カッコいいんだけど少し怖い。
「僕は宇都宮蓮22歳。大学四年生です。もちろん結婚していません。実家住みでした。」
やっぱり若い!にぱっと笑うと八重歯が見える。なんか美少年なのに可愛い子だ。まるでお砂糖の国の王子様っぽい甘いマスクだ。
「わたしは平春27歳会社員です。あ、独身です。」
「「「ええ??27歳?」」」
皆から驚きの声があがる。どうせ童顔で小柄ですよ。27歳に見られたことなんてなかったです・・・。167センチ50キロと小柄な体型で余計子どもみたいに見えるらしい。これもわたしの個性だと思っているからいいんだけどねー。
「僕と同じぐらいか年下だと思っていた・・・。」
いや、22歳は若すぎるでしょ。といえ、毎回スーパーでお酒買う時に年齢ごまかしていると思われ身分証明書を提示するんですけどね・・・。
坂下さんに陣出さんに宇都宮くん、よし名前は覚えた!
「ねえねえ、せっかくこれから4人で生活するなら、わかりやすい呼び方をしない?例えば、坂下さんは、ジュンさん、陣出さんは、トモさん、平さんはハルさん、僕はレンと呼んでくれると嬉しいけど、どう?」
「ええ、そうですね。これから4人で生活しなければいけないのであれば、それぐらい打ち解けた方がいいかもしれないですね。」
「ああ、俺も賛成だ。」
「わたしもです!」
せっかく苗字を覚えたところで、名前呼びとなった。ハルと呼ばれるのかちょっと嬉しい。自己紹介が終ったので、この家の探検をしようということになった。この部屋の隣がトイレとお風呂があって、みなでほっとした。電気も水道もなさそうだったけど、ぴかぴかした石?光っている石が付いていて、触ると水が出た。びっくりした。ナビのついた鑑定を使って色々使い方を調べるのは若いレンくんだ。助かるー。
「これ、魔石じゃないですか?異世界転生ものにはよく出てきますよ!」
レンくんが嬉しそうな顔で言う。異世界転生系には強いみたいだ。わたしは仕事が忙しくて最近本を読んでいないので、ちょっと疎いので、よく知っている人がいるのは心強い。
さっきもかなり管理者の方と交渉してくれたのは良かった。
1階はあと広めの倉庫があって、粉(小麦粉らしい何か、鑑定しても粉全般としか出てこなかった!なんでも使えるっぽい。面白い!)とかジャガイモっぽい芋(こっちも芋としか出てこなかった。こっちではそう呼ばれているのかな)とか、干し肉(魔物肉の干し肉とあった)、保存がきくものが置いてあった。
ただ結構広い倉庫なので全部は調べていない。樽とか木箱とか甕とかが積んであったり置いてあったりする。昔の放置された蔵みたいだ。意外と埃はない。管理人がえいやっと面倒がって作った気もする。後でゆっくり見ようということで2階にあがる。2階は個室だ。ちゃんと4部屋ある。一部屋は結構広くて15畳ぐらいはある。わたしの以前住んでいたワンルームよりも広いかもしれない。
大きさはどれも同じ。石つくりの床、敷物が敷いてあってベッドにチェストに机と椅子、クローゼットまではいかないけど、洋服掛けが付いていて、普段着が何枚か吊ってある。ゲームの冒険者が着る初心者シリーズのような服もあった。サイズはフリーみたいだ。チェストには下着や部屋着っぽいものやパジャマっぽい服が入っていた。机には羽ペンとインク壺と紙が何枚か置いてある。メモ書きできそう。パジャマを見て、今日の夜これで寝ることができるのを知って皆でほっとする。
着替えも置いているものも全部一緒ということで、適当に自分の部屋を決める。2階は後トイレもあった。4人でトイレ2個。まぁ男ばかりだからなんとかなるだろう。
もう一度下に降りてテーブルに集まる。当初に必要なものは用意したっていうけど、本当に?着替えは最低限だし、食べ物もあれで当初分はいけるのか?今後どうやって稼いでどうやって生活していけばいいのー?!
たぶん、他の人もそう思ったに違いない。ちょっと気落ちしているように見える。ん?レンくんだけ目が輝いている?
「僕、思うんですけど、ここ異世界ですよね。管理者さんが剣と魔法の世界だって言っていました。魔法使えるんですよ。きっと。自分のステータス見てみませんか?」
「は?ステータスを見るってどうやって?」
「ラノベでは、『ステータスオープン!』と言えば、あ、出た。ステータス画面!!」
見える。レンくんのステータス画面。半透明で薄い水色の画面が見える。宙に浮かんでいる!
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宇都宮蓮 22歳
レベル1
スキル 剣術
火魔法
細工師
インベントリ
鑑定
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「おお!!僕、剣道していたんです。あと、火魔法かっこいい!!でも細工師ってなに・・・?インベントリと鑑定はごり押ししておいて良かった!!」
レンくんがはしゃぐ姿をみて、それぞれ声を出す。
「「「ステータスオープン!!!」」」
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坂下淳也 35歳
レベル1
スキル 回復魔法
風魔法
調薬
インベントリ
鑑定
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陣出智彦 34歳
レベル1
スキル 体術
水魔法
酒造
インベントリ
鑑定
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平春 27歳
レベル1
スキル 生活魔法
土魔法
家事
インベントリ
鑑定
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スキルとレベルがある。ゲームみたいだ。ゲームは小さい頃遊んでいたからわかる。レベルはあげないといけないのだ。
でも、スキルは自分の得意技が出ているはず?なの?生活魔法と土魔法と家事が?好きだからいいけど。戦えない奴って捨てられない・・・??
「あー。俺は小中高と空手習っていた。酒は大好きだ。だからかもしれない。」
「自己紹介では言っていませんでしたが、実家がわりと大きなお寺でして、そのせいでしょうか。次男なので後継ぎではなかったのですが、僧侶で回復魔法とは安易ではありますが。」
「わたしもさっき言えませんでしたが、自分はオトメンです!!すみません。男だけど家事が大好きです!!」
「ハルさん、おとめん?とはなんですか?」
真剣な顔でジュンさんに聞かれた。ジュンさん年代には浸透していないのかもしれない。ここまで来たらちゃんと説明しよう。
「オトメンとは、乙女的な趣味、思考、特技をもつ、例えば料理や裁縫、掃除洗濯など家事全般が得意で、可愛いものが好きな男性のことをいいます。恋愛対象が男性といったものではなく、普通に女性が好きです。」
「そうなのですか。それで生活魔法と家事がスキルに・・・。わたしはそういうジェンダー的なことは容認できますから大丈夫です。ハルさんはハルさんでお好きなことをすれば良いと思います。」
「僕もハルさん、いいと思うよ。それよりジュンさんの回復魔法。かっこえー。お寺っていうことは僧侶。パーティーの回復役助かるー。」
「俺もハルさん?なんかしっくりこねえな。ハルでいいか。ハルはハルらしくすればいいと思う。ジュンさんの回復魔法は助かります。」
この非常事態に少しテンパって、会社の人にも伝えたことがないオトメンを告白したけど、あっさり受け入れられてしまった。いいのか。みんな忌避感ないんだ!!全面的に今後隠さなくていいことに、ふっと心が軽くなる。ふふふ嬉しいな。
後で聞いたら、男4人で今後生活していくことになるなら、家事の好きなやつは有難いという感じだったらしい。生活かかっていたからだった。深い意味はまったく無かったみたいだったけど、そのままぽんと受け入れられた感動は最後までずっと残っていた。
「とにかく、どう生きていくかだよね。異世界転生なら、魔物倒してレベルあげて、冒険者ギルドに素材売ってお金稼ぐかな。」
「まずは、ここがどこなのかというのも知りたいですね。」
「こっちに来てから、すぐに家に入ったから、家の外がどうなっているのかあんまり見ていなかったしな。見に行くか?弱い魔物しかでない森のはしっこだと言っていたような気がするが。」
「その前に、時計やスマホは動いていますか?」
「あー。ダメです。スマホは圏外。時計は放電したのかな。表示がないです。」
「僕のスマホも時計もダメっぽい。」
「俺もスマホはダメだが、時計は時間があっているかどうかわからないけど、動いているな、手巻きだからかもな。」
「わたしもスマホはダメですが、時計はトモさんと同じく手巻き時計なので、動いていますね。」
30代独身男性だからか、2人ともお高そうな時計をしている。ちなみにわたしとレンくんはスマートウォッチだ。画面が消えたら役に立たなかった。
「では、わたしとトモさんの時計は時間を合わせておきましょう。ちょっと外に出てだいたい何時ぐらいか推測してみましょう。」
ジュンさんに促されて、全員で外に出てみる。まだ十分に明るい。しっかり森の中だ。見たことがないような植生か、のびやかな木々だ。葉っぱが少し丸い。時々、鳥の鳴き声が遠くから聞こえてくるが、他に変な音は聞こえていない。
「太陽っぽいものはあっちの方角にあるな。真上じゃない。切り株でもあれば方位がわかるんだけどな。」
「僕知っています!!木に苔の生えている方が北です!」
「ただ、東西南北というわかりやすいものがそもそも存在しているかどうかもわからんが。」
「こっちの世界に概念はなくても、わたしたちが便利上使っていけば良いでしょう。みんなで家の周りを、鑑定を使っていろいろ調べてみましょう。」
トモさんが先に動いて、レンくんがうまく乗って、ジュンさんがフォローしてくれる。なんだかいけそう。わたしも微力ながら貢献したい。
そう思うと地面が気になる。なんだか気になる。どうしても気になるので、しゃがんで地面に手をつき、土地を鑑定してみた。何故かできると思ったのだ。
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アークリンデ国
トスカミナ地方
ヴィザールの森の南の位置
トスカミナ街まで街道を歩いて徒歩30分ほど
北に広がるヴィザールの森は日本の四国程度の広さ
森を抜けたら隣国だが森の奥はレベルの高い魔物が生息しており森を抜けるものはいない
まずは家の周辺でスライムや角うさぎの討伐を目指されてはいかが
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「ハ、ハルさん?地面で何を?」
しゃがみこんで地面に手をついたわたしをいぶかしげにレンくんが近寄ってくる。
「これ、このウィンドウ見えますか?」
「あ。鑑定ですか?他人の鑑定ウィンドウは見えないようだけど、僕も地面を鑑定すれば同じ画面を見ることが出来るかも。やってみます!」
レンくんの声を聞いて、ジュンさんとトモさんも同じこと試しだしたようだ。
「おお、見える。これが鑑定能力か、凄いな。」
「本当に、国の名前から魔物の生息まで教えてくれるとは。東西南北の概念はありなのか。」
「やっぱ、僕が鑑定強引にねじ込んだだけのことはあった!」
「レン!おまえ凄いな。レンのお陰で生き延びられる可能性が増えたな。」
皆で興奮して、森の木や家までも鑑定しだす。
森は食べられる木の実やきのこがあるみたい、森のはしっこに生息しているスライムも角うさぎも普通の大人の男性ならば討伐できるらしい。家は魔石のお陰で水も火も出せるけど、応接間の暖炉は森の木を薪にした方がいいそうだ。まだ季節は春っぽい?暑くも寒くもない。もしかして秋とか?冬までにいろいろ準備しないといけないかも。
保存食ならわたしが頑張ればいいかなぁ。
「まずは、スライム50匹らしい。それでレベルあげられるかも。」
「レンくんの鑑定はそこまで見えるの?すごーい。」
「うん、鑑定にナビ機能を付けたと言われたから、そのつもりで見ているからだと思う。ラノベや異世界物は浴びるほど読んできたから知識は大丈夫だよ!」
そう言って、にぱっと笑うレンくんが可愛い。邪気の無い赤ちゃんの笑顔だ。可愛いものが好きなわたしはメロメロになりそうだ。もちろん恋愛対象の好きではなく、可愛いから愛でたいの方だ。ほんと可愛い―。
「おう、倉庫に何か武器がないか探しにいかないか。」
圧の強めのイケメン、トモさんが提案をしてきた。イケメンは何話してもイケメンなんだなとつくづく思う。なんだか立ち振る舞い全部がイケメンなのだ。姿勢が凄く綺麗。横顔も綺麗。
「ええ、そうですね。このまま手ぶらだと心もとないですね。家の位置もわかったことだし、家に戻りましょうか。」
4人でぞろぞろと家に戻り、そのまま倉庫に直行すると、さっきは粉と芋と干し肉しか目に入ってきていなかったのに、武器を探そうと思うと、すみっこの方に、オノと短剣と長剣が数本あるのが見つかった。オノは薪を作るようかも。薪も少し保管されていた。
何かの種みたいなものもあった。畑つくろうか。
皆で武器を試しに持ってみる。わたしも長剣を試しに持ってみたら、重い。ああダメだ、非力なわたしでは持てない・・・。
トモさんとレンくんが長剣を使うそうだ。2人とも運動していたから筋肉があるみたいだ。トモさんは180センチぐらい、レンくんは175センチぐらい。ジュンさんも180センチはありそう。4人で立つと自分だけが小さい。まぁ小回りきくからいいんだけどね。
お上品なジュンさんは短剣にしたみたい。嗜み程度に古武道に馴染んでいたのだとか。後、茶道と華道と香道も嗜んでいたそうだ。さすが良いところのお坊ちゃまだ。
レンくんはお菓子の国のお王子様フェイスでキラキラだし、ジュンさんも綺羅綺羅に美しい。圧の強いイケメンのトモさんも綺麗な顔をしているから、3人で並んでいるとキラキラがぎらぎらと輝いて、美形のオーラが放たれていて、男の自分でもちょっとどきどきくらくらしそうだ。芸能人が目の前に現れたみたい。
その中でわたしはフツメンだ。もてたことなんて無いけど、友達は多かったな。
だから、あんまりイケメンを羨ましいと思ったことはないんだよね。カッコいい人とか綺麗な人は見るのは好きだったけどね。目の保養だもの。ほんとこの3人は目の保養だな。
うん、自分は自分だし。人は人だしね。好きな家事や手作りしていたらもてなくてもどうでもいいって思えていたからかもしれない。趣味があるっていいよね。綺麗なものは見るだけでいいって割り切れていたからかもしれない。うん、今の環境は嫉妬ではなくご褒美だよ!
長剣を持ってスライムを倒しにいきたそうな、トモさんとレンくんだったけど、日が暮れてきている。知らない夜の森は危険だと判断して、ジュンさんが押しとどめた。
そうだよね。森は危険。何がでるかわからないし。
ということで、みんなで夕食の準備をすることに。倉庫で食べられるものを食堂に運んでみる。厨房でも探してみると、調味料類は結構置いてあった。えー。こんなに日本で使ってきた調味料全部揃っているなんて、管理人さん大盤振る舞い?すごー。こんなにあるなら調理に不便感じないかも。ラッキーありがとう!!
ジュンさんもトモさんも一人暮らしが長かったから料理はそこそこ出来るらしい。まぁオトメンで、家事を愛でて極めてきた、わたしの方が凄いんだけど。へへん。
あっという間に芋と干し肉のスープと、ピタパンと芋と干し肉でコロッケもどきを作って挟んで出来上がりだ。今日は材料もないし、コロッケもつぶした芋に戻した干し肉を入れて、粉付けて揚げただけ。もどきにしか出来なかった。残念。明日の朝は美味しいパンが食べたいから準備しておこうと思う。
「「「「いただきます!」」」」
「うわ、美味しい。ハルさんの作るお料理美味しいです。あんなに少ない材料でよくこれだけのものを。」
「いえいえ、皆さんにも芋の皮を剥いてもらいお手伝いしていただきました!」
「でも、味付けとかハルが頑張ったから美味しいぞ。ハルさんはコロッケもどきと言っていたが、熱々のコロッケ、外はさくさく揚がっている。中はほのかに甘くて最高だ。卵やパン粉がないなかこれだけのものを仕上げてくるなって凄いな。」
「あちあち、熱いけどコロッケ美味しい!!ハルさん、美味しいです。異世界初めてのご飯が美味しくて嬉しいー!」
美味しいご飯は力の素だと思う。今日は本物のコロッケを作る事が出来なかった・・・。もっと美味しいご飯を作りたい。材料仕入れたい!!
「明日、街まで行ってみるか?」
「スライム退治してレベルを上げてみたいですが、ご飯の材料ないですからねー。」
「わたしも街まで行くのは賛成です。ただし、武器を持って歩いても良いのか常識がわからないのは心もとないですが。」
「わたしも街に行って美味しい食材買いたいです!」
あ?お金?!最初必要な分は用意されているとか言われたよね。夕食後みんなで倉庫を探すと、皮の巾着に銀貨が8枚入っているのを見つけた。銀貨の価値はわからない。鑑定で調べると銀貨1枚は日本円で1万円ぐらいだった。4人で8万円か、微妙。
お宝の方の地図も見つけた。これはちょっと家から離れているようだ。レベル上げしてからじゃないと行けそうにない。
「仕方がないから、銀貨8枚だけ持っていくか。」
「部屋のクローゼットに吊ってあった、冒険者用の服を着ないとね。このままじゃ目立つだろうね。」
「うん。では明日はみんなで街にいこう。4人いれば大丈夫だろう。あと、お風呂は一番に入りたい!!」
「ふふ、いいよ。レンくんがお風呂一番で。」
「じゃ、今日は若いもの順に入ろう。明日はその逆にしよう。」
「えー。明日は最後になるの!?」
レンくんは驚いた顔も可愛い。それはそうと、お風呂の準備だ。石鹸とタオルに歯ブラシはお風呂場に置いてあった。洗面台のようなところもある。最低限だけど、暮らしていけそう、結構こまやかな管理人さんだったかも。
異世界での初めてのお風呂は普通に気持ちよかった。魔石は凄いなー。適温の湯が出る。なんだろ、この世界物凄く便利なものがある。お風呂場を鑑定してみると、この異世界お風呂がある家ばかりではないようだ。日本人のわたしたちのために忖度してくれているようで本当感謝!
お風呂上りに、魔石に触れると出てくる水を飲みながらキッチンテーブルで座っていると、レンくんが部屋から下りてきたみたいだ。
「髪がぎしぎしするー。石鹸だからかな。それに乾かないー。このまま寝ると風邪ひくー。」
と、ぐちぐち言い出した。なんか可愛い。
「髪を乾かしてみる?風魔法使ったことないけど、できそうな気がするよ。」
お風呂は今トモさんだ、ジュンさんは最後だから、ぐちぐちのレンくんの髪に優しく触れると、あ、風。風が出ている。レンくんの柔らかそうな髪が靡いている。
「うわー。ジュンさん、ありがとう!すごーい。ドライヤーみたい。」
「やってみるものね、ほんと、風魔法使えちゃった。面白い。ハルさんの髪も乾かそうか?」
「え、え、いいんですか?嬉しい!」
こんな綺麗な人に髪乾かしてもらっていいんだろうか。ジュンさんの長くて白い指がわたしの髪に触れる。ちょっとどきどきする。
「あ?ハルさんの髪はぎしぎししていないね。どうして?」
「石鹸で洗った後、お酢を薄めたもので洗い流しました!」
「あー。知ってる。知ってる!!お酢!リンス替わりになるんだ!!異世界小説で見たことあるー。知っていたのに、思い出せなかった。がーん。」
レンくん、がーんって本当に言うんだ。効果音、口にしちゃうんだ。面白い。ジュンさんも笑っている。
「おーい。風呂でたぞ。次はジュンさんだな。」
わたしの髪が乾いたタイミングでトモさんがお風呂からあがったようだ。ジュンさんはわたしの髪を触った後なので、コップにお酢を入れてお風呂場に行ったね。お酢は少しでいいんだよ。
「なんだ?お酢?を持って風呂に行くのか?」
不思議がるトモさんに、お酢はリンスがわりになるんだよってレンくんが説明している。
「あー。そうなんだ。ハルは良く知っていたな。」
「ええ、おばあちゃんの知恵袋みたいなのは得意なのです!」
「ああ、そうなんだ!おばあちゃんの知恵袋か!僕の異世界あるある情報と合わせたらいい感じに生き延びられるかも!ハルさんよろしくねー。」
トモさんに褒められ、レンくんにも認められ、少しくすぐったい。自分の知恵が役立つならこれからも使っていきたい。レンくんと他にどんなおばあちゃんの知恵袋があるのかとか、異世界あるあるの話をしていたら、
「いい湯でしたね。」
ジュンさんがお風呂から上がってきた、湯上り美人だ。びっくりだ。白い肌がほんのり色を染めていてエロい。いや、色っぽい、男性なのに?!トモさんやレンくんもちょっと動揺しているみたいだ。少し長めの髪が濡れて艶々している。男性なのに美人。ひゃー。こんな人いるんだな。
「では明日からの予定をちょっと詰めましょうか。」
頭にタオルを巻いたままの色っぽいジュンさんは話し出す。冷静で優秀な社会人だったから会議調になる。そうなると元会社員のわたしも役所勤めだったトモさんも仕事モードにすっと切り替わる。レンくんだけはテンションが高い。
「はいはい!明日は街に行きたいです。食料を確保するのと、冒険者ギルドがあるなら登録したいです!!」
元気なレンくんがすぐに提案する。
「俺も街に行った方がいいと思う。とにかく情報収集が先だ。」
トモさんもお仕事できた人っぽい。そうだよね。情報収集。こんなわけわからない異世界に掘り出されて何もかもわからないままだものね。
「わたしもいろいろ料理を作りたいのでどんなものが売っているのか調べたいです。」
「わかりました。明日は街に行きましょう。お金が銀貨8枚なので節約する必要はありますが。冒険者ギルドもあれば登録しましょう。お金を稼ぐ方法を探さないとダメですからね。」
「今日は初日だ、みんな疲れていると思うから寝ようか。明日、7時ここに集合。あ、ハルとレンは時間がわからないのか・・・。」
「では、わたしとトモさんでそれぞれ6時半に起こしに行きましょう。」
「えー。6時半!!起きられるかな・・・。」
唯一社会人じゃなかったレンくんはシブイ顔をしている。仕事していた3人にとって、6時半は楽勝だ。
「じゃ、おやすみ。」
「「「おやすみなさい。」」」
それぞれ自分の部屋と決めた部屋に入る。まだ慣れないけど、ここが自分の部屋。誰にも遠慮せずに可愛く飾り付けたい!
自分で稼げるようになって、材料が買えるようになったら絶対可愛くしよう。そう決めて、初日はびっくりが多すぎて疲れたのかぐっすり寝てしまった。




