表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Φ  作者: RPM
PR
6/6

-5- 赤い。

 板張りの床に敷かれた赤いカーペット。


 一目でエリナは、この部屋が異質な存在だと気づいた。



「執務室...か」


 エドワードの視線は、部屋中央にある大きな椅子へと向けられていた。


「ここで最後ね...じゃ、探すわよ」


 イザベラが、カーペットへ一歩踏み出した。



「あの...これ......」


「ん?」


 エリナは、一台のコンピュータの前に立っていた。


 画面が、点いている。


 エドワードがキーをたたくと画面が暗転し、無機質な文字列が浮かびあがった。


 《シモンニンショウ ヲ シテクダサイ》


 デスクの上に、認証装置がせり出してきた。



「指紋って......」


 エリナの言葉が、虚空へと放たれる。


 彼女の拳は、固く握られていた。


「......しょうがない。出直すぞ」



 黒いコートの裾が、ふわりと舞う。


 エドワードは、部屋の外へと歩き出した。


 イザベラがその後を追う。



「こんなの......」


 ただ一人、エリナが部屋に残される。


 握られたペンダントに、そっと指が触れた。


 俯く顔に、青い光が差し込む。


 ――指紋


 エリナは顔を上げた。



「おい、何して――」


 エドワードが言い終わらないうちに、エリナは装置へと手を伸ばす。


 銀色の表面と、白い指が重なった。



 《アクセス ヲ ショウニン》


 エドワード達が踵を返して戻ってくる。


「これは...」


「……うそでしょ」


 突然、背後から大きな音がした。


 3人が振り返ると、そこには一枚の扉。


「……隠し扉」


 エリナの声が綻んでいた。



 ――――――――――――――――――――――――――――――



「臭っ……!」


 ドアを開けた瞬間、それまで経験したことのないような臭気がエリナの鼻を突いた。


「なんですか……この匂い」


 隣を見ると、イザベラも鼻を押さえて前を見据えている。


 ――その目が、揺れていた。


「この匂いって……まさか――」


「行くぞ」


 遮るかのようにそう言うと、エドワードは奥へと足を踏み出した。



 階段を降りると、長い地下通路が姿を現した。


 通路は地面を掘り進めただけの簡素な物で、土がむき出しになっている。


 エドワードの赤い光が、濡れた壁に反射していた。




 突然、エドワードが足を止めた。


 前方を見据えたまま動かない。


「...」


 向こう側で、赤い光が反射している。


「どうしたの?」


 イザベラの声と同時に、その反射光が動いた。



 エドワードが素早く前に出る。


 耳をつんざくような鋭い音。


 その光は、反射ではなかった。


 イザベラのウエポンライトが、光へと向けられる。


 銀色のフレームと、黒い装甲。


 ロボットだった。


 その手に握られた剣を、エドワードが腕で受け止めていた。



「下がれ...!」


 今までになく険しいエドワードの声。


 直後、破裂音とともにエリナの横を何かがかすめた。



「いっ...!!」


 熱い感触に、思わず手を当てた。


 触れたのは、生ぬるい液体。


 ガシャリ...ガシャリ...


 地下通路の奥から響く音。


 目を凝らすと、暗闇の奥で無数の赤い光が浮かび上がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ