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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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公園の男


 まさに今、起きたてほやほやの話。

 マジで怖いから、話して気を紛らわせたい。


 今日は飲み会だったんだけど、すっかり帰りが遅くなっちゃってさ。まぁ、何とか終電に乗れてさ、無事に最寄り駅まで帰ってきた。

 終電って何であんなに混むんだろうな。飲んでたのもあるけど、俺、気持ち悪くなっちゃってさ。駅から俺ん家まで行く途中に公園があるから、自販機で水買って、公園のベンチで一休みしてから帰ることにしたのよ。

 んで、水飲んでぼけーっと酔いを冷ましてたらさ、焦った様子の男が公園に入ってきたの。スーツ着てて、ビジネスマンって感じの人。40代くらいかな。


 俺の座ってるベンチの少し離れたところに、もう一つベンチがあって、その男はそこに座ったのね。

 で、携帯でどこかに電話をかけ始めたんだ。

 俺は聞く気はなかったんだよ。でも深夜で静かだしさ、公園はけっこう声が響くし、男が何かボソボソ話してるのが聞こえるんだよ。

 最初の内はあんまり聞き取れなかったんだけど、男は興奮してきたのか声が大きくなっていったんだ。


「……だって言ってるだろ!」

「そんなはずはない、……じゃないか」

「いや、今は俺ひとりだ」

「だから、外に出てるんだって!」


 会話の内容的に、彼女か奥さんとケンカしてるのかなって思った。浮気でも疑われてるのかなーって。

 別に見るつもりもなかったんだけど、横目でチラっと男を見たらさ、公園の灯りに照らされた男の表情は、怖がってるって感じだったんだよ。

 すごくビクビクしてて、体を小さくして、目立たないように電話をかけてる。でも焦りと恐怖からついつい声が大きくなっちゃってる。

 そんな感じだった。


「違う、違う、それは俺じゃない!」

「許してくれ、俺は何もしてないんだ」

「嘘だ、俺のせいじゃない!」

「どうして……!」

「お前がそこにいる訳がない!」


 男の声はどんどん甲高くなっていって、最後の方はほとんど悲鳴みたいだった。

 さすがにこの時間だと近所迷惑だろうし、もし揉めてるなら面倒くさいし、俺もそろそろ家に帰った方がいいかなと思って腰を上げようとしたときだった。

 男がキョロキョロし始めて、俺の方を見たんだよね。

 正確には、俺のちょっと横。

 俺は3人座れるベンチの一番端に座ってたんだ。男はその反対側の誰も座っていない端を凝視して、心底ビックリしたって顔をした次の瞬間には恐怖が頂点に達したって顔になった。

 そんで、短い悲鳴を上げて逃げてったよ。


 俺は、誰も座ってないはずの空間を見つめたよね。1メートルも離れていない、ベンチの端。俺には何も見えないけど、あの男には見えた何かが、ここに座ってるんだろうか。

 そんなことを考えてたら、ポケットに入れてた携帯がバイブして、冗談じゃなくて俺はベンチから飛び上がったよ。

 電話がかかってきてて、携帯の画面には「非通知」の文字。普通でも出ないけどこの状況で出るわけないじゃん。

 俺は通話終了を押そうとしたんだけど、俺が携帯に触る前に勝手に通話モードになったんだよ。それで、スピーカーからさ、


「いるよ」


 って男の声がした。

 一気に酔いが冷めて、ダッシュで逃げたよね。

 それで、今は家に帰ってきて、ちょっと落ち着いたとこ。

 やっぱりあの電話は、俺には見えなかったけどベンチに座ってた何かがかけてきた電話だったのかな。そんで、その何かが通話モードにしたんだろうか。あの男も電話をかけてたけど、電話越しでないと会話できない幽霊とかだったのかな。

 それにしても、さっきから外が救急車やパトカーの音で騒がしいんだよ。近くで何かあったみたい。

 最近は物騒なことも多いし、今夜みたいな意味不明なことも起きたりするから、飲み会があってもしばらくは早めに帰るようにするよ。

 


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