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逆さの月の恋  作者: Nesn


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26/26

最終話

全てを知った。

俺はなんて大馬鹿野郎だ。


____________________



柏木「これが、僕が知ってる全てだよ」


俺が起こした傷害事件の身代わりにで澪さんが少年院に入っていた?


(…どうしてそんな…障害事件って?)


身に覚えがない。


…いや、一つだけ心当たりがあった。


昔、ある事故に巻き込まれた事がある。

でも、頭を強く強打して目が覚めた時は病院のベッドの上だった。


だけど、当時の目覚めた時のあの時のモヤモヤした感じを思い出す。


腑に落ちない感覚と、漠然と感じた恐怖心も。


今思うと、澪さんが俺の前から姿を消したのはあの事故の後だ。


もしかして、俺には消えた記憶があったのではないか?


熱で朦朧とした時に見た変な感覚の夢を思い出した。


荒い息。

夜風。

雨の匂い。


あれは、もしかして夢では無くて抜け落ちた記憶の断片だったのかもしれない。


どうして今の今まで、そこに気付かなかった?


俺が……


俺が、澪さんに捨てられたと諦めたからだ。


結局あの人も俺がいらなくなったんだと決めつけたせいだ。


柏木の言葉を思い出す。


”根性なし”


本当にその通りだ。



朔「…澪さんは今どこだ?」


柏木「アトリエだと思う。地図を送るよ」


俺は走り出そうとした。


”ギュッ”


でも、夏目が俺の腕を掴む。


夏目「朔先輩」


朔「夏目…ごめん、俺の事恨んでもいい。

殴ってもいい。だから…今はあの人のところに行かせてくれ!!」


そういうと夏目は俺から手を離した。


夏目「さよなら…朔先輩」


朔「泣かせてばかりでごめんな。夏目」


俺はそう告げると

全力疾走で澪さんのアトリエに向かった。



____________________



アトリエ__



”ガチャ”

(ドアを開ける音)



朔「っ澪さん!!」


玄関を勢いよく開け中に入ったが、澪さんの姿はどこにもなかった。


彼の甘い残り香だけが部屋を満たしている。


(どこに…まさか、もう日本を発ったんじゃ…)


ふと、窓際を見ると見覚えのあるビー玉を見つけた。


俺は思わず、そのビー玉を手に取る。


朔「これ、ずっと澪さんが…持ってたのか…」


今日までずっと失くしたと思っていた。


当時よりも少し色褪せたビー玉が二人の会えなかった時間を刻んでいるようだ。




***




(再会してからの回想シーン)




トイレの中__


朔「…昔?あー、そうだよな。

俺があんたに捨てられて苦しんでる時、

あんたはどこにいた?

俺が毎日のように悪夢にうなされてる時、

あんたは誰と寝てた?

俺があんたを必要としてる時、

あんたはあいつと宜しくやってたのか?」


深瀬「…悪かったと思ってる。本当に」




***




屋上__




深瀬「だから、朔も忘れて」


朔「簡単に言うんだな。忘れろって…」


深瀬「……」


朔「あんたにとっては簡単だったんだな…俺を忘れるのは…」


深瀬「もう、朔とは会わない…傷つけてごめんな」




***






朔「俺は、なんて事を…」


過去の悪態を悔やまずにいられない。


朔「俺の事…全然忘れてなんかないじゃんかよ…」


涙が溢れて止まらなかった。


あなたが恋しくて…






































澪「……朔?」


その声で振り返る。


澪「…ここで何して…」




!!!!!





俺は力一杯、澪さんを抱きしめた。


朔「ごめん。俺ばっかり辛いと思ってごめん。俺ばっかり傷ついたと思ってごめん。俺ばっかり不幸だと思ってごめん。ごめん!ごめん!!」


澪「朔…どうしたんだよ?」


朔「俺ばっかり好きだったと思ってごめん」


澪「朔…」


朔「愛してる…今でも…ずっと…」


澪「…ダメだよ…俺…」


朔「夏目とは別れてきた。夏目と柏木が俺の背中を押してくれたんだ…」


澪「ハル君と陽介が?」


朔「だから、もうキスさせてよ」


俺達はキスをした。

お互いの失っていた時間を埋め合うような

とびきり甘いキスを…


____________________




数日後のカフェ__



澪「ほんとーーーっに!ごめんっ!」


夏目「そんな謝らないで下さい」


澪「俺、『奪わない』とかカッコつけて言ったくせに本当にごめんね」


夏目「澪さんは悪くないです!悪いのは…クズな朔先輩です!」


朔「いや、そこに関してはマジで否定できないけど…」


夏目「冗談ですよ(笑)」


俺は澪さんと一緒に夏目と柏木に会いに来ていた。


夏目「それに、深瀬さんは約束を破ってなんかいないです」


澪「…えっ?」


夏目「朔先輩の心は最初からずっと深瀬さんのものだったから。だから、奪われてなんかいないんです。元から俺のものじゃなかった…」


朔「夏目…」


澪「そんな事言っちゃ駄目だよ。ハル君、良い子過ぎるわ。俺の事、糞ヴィッチ!って罵っていいんだよ。それに朔はちゃんとハル君が好きだった。そこに嘘は無いよ」


夏目「深瀬さん…」


朔「あぁ、俺はちゃんと夏目が好きだった」


夏目「泣かさないで下さいよぉぉ〜!」


柏木「あーぁ、石川さんが夏目君を泣かせた。やっぱりクズだな(ニコ)」


朔「いや、その好青年スマイルやめてもろて」


澪「陽介、あんまり朔を苛めるなよー」


柏木「僕の婚約者を取られたんだから苛めたくもなるよ。でも、澪が幸せなら僕はそれでいい」


澪「陽介…」


柏木「でも、浮気されたら直ぐに奪いに行くから」


朔「絶対ありえねぇ」


柏木「それはどうかな?随分と悪名耳に入ってきてるけどな?取材部の絵梨花さんだろ、美術部の森下さんに同じく美術部の…」


朔「柏木さん、そろそろ殴りますよ」


澪「うわー、朔くんってヤリちーん。クズーい」


澪さんの冷めた目線が痛い。


朔「…うっ…」


夏目「朔先輩、深瀬さんには激弱なんですね;」


朔「…今、その考察しなくていいから」


柏木「あはは!石川君の面白い顔も見れた事だし、それじゃ、僕は帰るよ。澪…幸せにね」


澪「本当に陽介には感謝してる。だから、沢山ごめん。そんで、沢山ありがとう」


柏木「謝らないで、澪。僕の方こそ、女々しくてごめん。だけど、ここからだよ?澪」


澪「うん、わかってる…」


一瞬だけ2人にしか分からない張り詰めた空気を感じた。


朔「俺、今度こそ絶対離さないんで」


その空気をかき消すように澪さんの右手を強く握る。


澪「……朔…」


すると、澪さんも静かに手を握り返してくれた。


柏木「当たり前だよ。次、澪を離したら絶対許さない」


そう言って柏木は先に店を出て行く。


夏目「それじゃ、俺も。もう互いを見失わないで下さいね」


朔「あぁ…夏目ありがとう」


澪「…ハル君、ありがとう」


こうして、俺達は互いにケジメをつけた。

2人でこれから前に進んで行く為に。



____________________




自宅__




澪「お邪魔しまーす」


朔「あ、来て早々なんだけど渡すものある」


澪「なに?」


朔「これ」


澪「え、これって合鍵?早過ぎない?」


朔「澪さん以外来ねぇし。それに…浮気しませんって意味も込めて」


澪「もしかして、さっきの陽介の言葉気にしてんの?w」


ケタケタと笑う澪さん。


俺はわりと真剣だったのだが、この人が相手だと相変わらず自分が子供に感じる。


朔「ちょっとな…遊び回ってたのは本当だし…今はめちゃくちゃ後悔してるけど」


澪「後悔する事ないよ」


そう言って、澪さんは俺の部屋を物色し始めた。


朔「何してんすか?」


澪「エロ本とか無いかなー?って」


朔「いつの時代の話してんすか」


澪「まぁ、エロ本はなくても朔みたいなタイプは案外ムッツリだからベッドの下とかに…」


朔「俺はムッツリじゃなくてガッツリなんですけど…」


自分のベッドの上で四つん這いになる澪さんの後ろ姿を見てムラっと欲望が疼く。


朔「澪さん…」


澪「んー?」


朔「今日、澪さんの事…抱いていいですか?」


俺は平静を装ってみるが、内心緊張で心臓が破裂しそうだった。


澪「……朔くん。君、直球過ぎ」


正直焦り過ぎだとは自分でも思う。


でも、仕方ないだろ?


ずっと、忘れられなかった最愛の人が目の前にいるんだ。

早く自分のものにしたいって男なら誰でもそう思うだろ。


朔「だめ?」


澪「なんだよ、その甘えたな上目遣いは?急に年下感出してくんなつーの」


朔「すいません、勢いって大事かな?って思って、暴走しました」


澪「確かに暴走したなーw」


笑っていた澪さんの表情から笑みが静かに消える。


澪「…ごめん、朔。俺…まだ心と身体の準備が出来てないんだよ」


朔「柏木とは…全部未遂だったって聞きました」


澪「うん。陽介とは、そういう行為は一度も出来なかった」


朔「俺とは…出来ますか?…それとも、俺でも怖いですか?」


柏木から聞いた。澪さんには恐らくとてつもないトラウマがある。


だから、どこまで澪さんの過去に触れていいのか手探りで模索するしかない。


どこまで耐えられるのか…


それは澪さんだけじゃない。俺もだった。


澪「正直に話すと、怖い。でも、それは朔とのセックスが怖いんじゃないよ」


左手首の黒いリストバンドを摩りながら、澪さんがどこか物思いに言葉を続ける。


朔「じゃあ、なにが怖いんですか?」


澪「見られたくないんだ…身体を…」


朔「それは、どうして?」


澪さんは少しだけ俯いて儚げに笑った。


澪「朔、今日は一緒に寝るだけにしよう?」


朔「……俺にも、まだ話せませんか?」


澪「ううん、朔にはいつか全部話したいと思ってる。だけど、少し時間が欲しいんだ。それで、全て話し終えたら…俺の事抱いてよ」


朔「……わかりました」


澪「やれないと浮気する?」


朔「だから、しねぇって」


澪「www」


朔「…笑いすぎだろ」


ベッドの上で笑い転げる澪さんを抱き締める。


きっと、この先も困難が待ち構えてると思う。

でも、2人なら乗り越えられる。


必ず…


澪「あ…満月なんだな。今日」


ベッドで二人寝転びながら窓の外の月を見上げた。

月を見上げる澪さんの横顔があまりに綺麗で息を呑む。


朔「澪さん、寝転びながら月見上げるの好きだったよな」


澪「うん」


朔「逆さに月を見上げてるみたいだから?」


澪「うん…だって、朔みたいだろ?」


あぁ…この人は昔と変わらない。


あの時のままだ。


俺の最愛の人。


朔「愛してるよ…澪さん」


この人が腕の中にいれば、もう何も怖く無い。


離れていた時間はこれから取り戻せばいい。


俺達なら、どんな苦しみでも分かち合って乗り越えていける。


今度こそ、幸せになれる。


そう必ず…


俺はそう信じていたかった。





_逆さの月の恋・【完】_

逆さの月の恋を完読ありがとうございました。

この作品では最後の最後まで澪sideのお話をあえて書きませんでした。


読者様にも澪の本心を登場人物と同じく憶測しかできないもどかしさを感じて欲しかったからです。


他にも朔が澪の名前を限界ギリギリまで呼ぶ事が出来ないストーリーにも実は拘ってたりしました。

名前を呼んでしまうと、蓋をしていた気持ちが溢れてしまいそうだから呼ばないのではなく呼べない切ない葛藤の雰囲気が伝わってほしいなと…。


でも、実は澪も同じで朔の名前を呼ぶのに少し時間をかけました。呼ばないのではなく呼べない。そんな二人のもどかしい似てる部分があるのが伝わるといーなとか考えながら書いてた記憶があります。


続編で今度は澪sideの視点をメインに書こうかなと思っていたのですが、不甲斐無い事にこの作品もあまり読者様の心を掴める作品にはならなかったようなので、ここで打ち切らせてもらおうと思います。


この作品中も読者数が伸び悩んで、挫折を数回しかけてしまい、それでも後半は少し伸びてきたのでそれをモチベになんとか書き上げました。


それを含めて、澪は私の1番思い入れの強いキャラであると共に過去に壮絶なトラウマがあるキャラなので、制作に対するモチベーションが無いと挫折する予感しかせず、続きを書きたかった気持ちも強かったですが、読者様からの反応が無かったので思い切ってここで打ち切る事にしました。


小説って本当に書くのって難しいー!!



でも、いつか応援したい!続きが読みたい!って思ってもらえる小説が書けるように日々想像力あげておきます。そして、BL書くのが案外書いてる側もドキドキして面白かった笑♡

またチャレンジできたらと思います!


ご愛読本当にありがとうございました。


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