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魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした  作者: 茜カナコ


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39/39

39.お守り作り

 部屋に戻る途中で、デニスが僕を見つけて不機嫌な声を上げた。

「メルヴィン、朝からどこに行ってたんだ?」

「すいません、ちょっと用事があって」

 デニスは「朝から何やってんだか」と吐き出すように言った。

 僕は水晶の欠片を胸元に隠し、自分の部屋に入る。


「水晶の守りを作るには、月光に照らされた水が必要だから……夜にならないと作業できないな」

 僕はベッドわきの机の引き出しに水晶の欠片をしまった。


 ***


 仕事が終わり、食事をして部屋に戻る。もう月があたりを照らしている。

 僕は水晶の欠片を片手に、足音を忍ばせて中庭に出た。


 井戸で水を汲み、月光の当たる場所に置いたタライに水を張る。

 水面に月が輝いている。

 タライの中に水晶の欠片を置き、水に手をつけたまま静かに魔力を込めていく。

「この水晶のかけらを身に着けた人が、あらゆる災いから守られますように」

 祈りながら水に魔力を流していると水晶の欠片が淡い青白い光を放ち始めた。


「えっと、あんまり魔力を込めすぎると水晶の欠片が砕けてしまうんだっけ。……そろそろ良いかな」

 魔力を込めた水晶の欠片を月明かりにかざした。水晶の欠片の中に揺らぐ光が見える。

「これで出来上がりだね」

 僕は使った道具を片付け、できたばかりの水晶の守りを持って部屋に戻る。


 水晶の守りを革ひもで編み込んで、ペンダントを三つ作った。

 月の光があたるように、ペンダントにした水晶の守りを窓辺におきベッドに入る。

「魔術大会の前に作れて良かった」


 目を閉じると緊張がほどけ、ゆっくりと眠りに落ちていった。


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