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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
4.港町ウィダス
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32.ウィダスの町(3)


俺は、忘れ物なんかが無いのを確認して、亜空間からケニーさんの元に戻る。

「ただいまです。」

「おかえりなさい。どうでしたか?」

「護衛の2人は、動けなくしておきました。あと、冒険者の方も同じく動けないようにしています。

あと、フランシス達がこの町に向かっていたのでそっちは放置しています。

この町のどこに用があるのか知りたいので。」

「・・・さすがですね。」

「まだ、フランシス達が町に着くのに時間かかりそうですし、

後はケニーさんの用事を済まして貰っていいですよ。」

「判りました。」


ケニーさんと一緒に、商業ギルドに行き綿の納品を行いう。

商人の人は、町で露店を行う事も出来るが、

少し安くなるが商業ギルドに購入してもらう事も出来るようだ。

特に今回のような専門外の商品の場合には、ギルドに任せてしまった方がいいらしい。


「ケニーさん。この町の中で拠点を作りたいんだけど、すぐに借りれる家とかってあったりします?」

「う~ん。すぐには難しいかもですね。

多少時間かかっていいのなら、私の親に頼んでおけば確保はしてくれると思いますが。」

「なるほど。お願いしようかな。」

「判りました。いまから向かうので、父さんに頼んでみますね。」


次は、ケニーさんと一緒に塩田の方に向かう。

「父さん。」

「おお!ケニー!おかえり。」

2人はハグして、

「聞いたぞ、前回も盗賊に襲われたんだってな。」

「はい。それで私が来ました。」

「帰りは大丈夫なんだろうな。護衛は?」

「はい。大丈夫です。護衛は、こっちで新たに数人雇う予定です。」

「連れて来た護衛はどうした?」

「ちょっと一部の護衛が信用出来なくて・・・。

信用出来る護衛もいるので大丈夫ですよ。今は別れて行動しています。」

「護衛も、信用出来ないのがいるという事か?」

「ええ。残念ながら冒険者の一部が盗賊と繋がってる可能性があるみたいでね。」

「なんて事だ・・・。それで私兵を抱えてる商人が安全って事か。」

「そうですね。自前で護衛雇える所は安全なんでしょうね。」

「それで、レスリーの所なんかは襲われないのか。」

「レスリー商会は襲われてないんですね・・。

・・・最近、貴族様の外出が多かったりしませんか?」

「ん?ああ。そうだな頻繁に外出するようになったし、

丸1日貴族様の出発にかかる事が多くなったな。」

「そうですか。」

なるほど、やはり盗賊と、貴族は繋がってる可能性が高いな。

普段は人通りの多い街道を、貴族が通るという事で、

人通りを無くしてから盗賊すると言うやり方か。


ケニーのお父さんが俺の方を見て、

「気になってたんだが、そっちの子は?」

「はじめまして、ハルトと言います。ケニーさんにはいろいろお世話になってます。」

「ハルトさんは、私の取引相手というか、仲間と言うか。まあ、大切な方ですね。」

「はじめまして。」

ケニーのお父さんと握手して挨拶する。


「父さん。こっちにも小さくてもいいので拠点が欲しいんですが、どこか良い所ありませんか?」

「お前の拠点なら家でいいだろうから、ハルトくんの拠点って事か?

家の隣が空き家になってるんで、そこならすぐに入れるが・・。」

「それはいいですね。お借り出来ますか?」

「普通の民家だがいいのか?1週間で大銅貨5枚ほどだが。」


大銅貨5枚なら問題ないな。

「はい。ぜひお願いします。」

「じゃあ後で、手続きにいこうか。」

「ハルトさんが直接契約するんじゃなくて、私が契約しますので手続きは私がしますね。

支払いなども私経由でしますね。」

「ああ。そうだな。ハルトくんには出来ないからな。

今晩か明日の朝にでも契約出来るように連絡しておくさ。」


「ケニー、塩の方もいるんだろ?」

「はい。倉庫から持って行ったらいいんです?」

「ああ。後で量だけ教えてくれ。」

「了解です。先に貰っていきますね。」


「じゃあ、俺は家の持ち主に連絡しておくよ。」

思いのほか早く、拠点が確保出来そうだな。

これは、これからの海の幸生活が充実しそうだな。

塩も海水から分離したらいくらでも取れる事だし、もっと早く来ればよかったかも。


ケニーさんについて、塩田横の倉庫に移動して、塩を荷車いっぱいに積んでいく。

壺に入っているので衝撃で割れそうだが、間に緩衝材として葦の束を入れているようだ。


フランシスが町に着いたようだな。

「ケニーさん、町にフランシスが到着しました。」

「どこに向かってるんでしょうか?」


まっすぐに町中を進み、どこかの建物に入ったようだな。

「建物に入ったみたいですね。」

「どこの建物か分かります?」

「ギルドの近所の建物みたいですが・・・説明が難しいので行きましょうか。」

「はい。」


その建物の前につくとケニーさんが、

「レスリー商会ですね。その店舗もレスリーの商品ですね。」

「これでつながりは確実ですね。俺は、ちょっと様子見てから戻るんで、

ケニーさんは先にケニーさんの家に行っててください。」

「分かりました。気を付けてくださいね。」


魔法で中の会話を探ってみよう。

「ケニーの奴が、今日はウィダスに向かわないという情報が来た。」

「どういう事だ・・・感づかれたのか?」

「いや、そうではないらしい。連れに子供がいるようで、

そいつが体調を崩したらしく、2番目の宿場にもう1日留まるんだそうだ。」

「なんて面倒な。その子供はケニーの子か?」

「いや、ケニーは結婚もしてない。どこからか連れてくるように依頼された子供らしいな。」


「・・・仕方ないな、明日も止めていただくか。」

「明日には回復すると確定している訳でもないから、帰りを狙った方がいいのかもしれん。」

「・・・足手まといがいるなら・・・宿場の部屋を狙え。」

「宿場に迷惑をかけると、これからの動きがしにくくなるんだ。いろいろ世話になってるし。」

「そんなの知った事か!レスリーさんからの依頼だ。確実に落とせる時を逃すな!」

「・・・」

「判ってるな・・。

お前達にはレスリーさんの助力は必要なんだから、依頼はきっちりこなすんだぞ。

念の為、明日も貴族様の出発の日にしていただくから、間違いなくこなすんだぞ!分かったな!」

「・・・ああ。」


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