28.ケニーとの朝食(1)
目の前に、家に続く亜空間の入り口を作成する。
「この中に入りますので、ついて来てください。」
「・・・これが亜空間と言う事ですか?」
「はい。向こうに仲間がいるので、朝食をごちそうしますよ。」
俺に促されるままに、ケニーさんが亜空間に入る。
亜空間の中は、天井は真っ暗になっており、地面は白い石作りになっている。
小さな部屋があり、そこから通路が伸びている。
一時的な亜空間は、この小部屋に出るようにしている。
元の場所のへの入り口は宿屋の部屋につながってるので閉じてしまう。
通路の左右には亜空間の出口があり、今までつないで来た所への出口が設置されている。
分かりやすいように、各出口には木で標識を作って管理している。
現在、この亜空間からつながっている場所は5か所になっている。
・家の玄関
・最初の地下部屋
・北東の盗賊アジトの地下部屋
・ウィダス近辺の地下部屋
・ウィダスまでの2番目の宿屋近所の山にある地下部屋
結構いろいろつながったな。
家の玄関への出口の方に、ケニーさんを誘導し、
「これに入ってください。」
「・・・はい。」
亜空間から出ると、家の玄関に通じている。
「この家は、靴を脱いで裸足で入るので、ここで脱いでくださいね。」
「わかりました。」
ケニーさんは完全に心ここにあらずって感じで、
言われた事をそのままやってるだけって感じになっちゃってる。
いろいろ追い付いてないんだろうな。
リビングに行くとみんなも朝食を取っていた。
「おはよ。」
「おかえり~。」
「マディ、ケニーさんに来てもらってるんで朝食を用意してもらえる?
あと、露店で出す予定の料理も一緒に付けて貰えるかな?」
「はい。わかりました。」
俺は、ケニーさん用の椅子を作り、ケニーさんに薦める。
「ケニーさんここに。」
ケニーさんは、黙ったまま言われるままに座る。
「・・・なんと言ったらいいのか・・・。」
「わかりますわ。私達も初めて来た時、同じ気持ちでした。」
クシェルが可笑しそうに同意する。
ケニーさんは、大きく深呼吸して、
「失礼しました。初めましてケニーと申します。ケニー商会で会頭を行ってます。」
ケニーさんはやっと落ち着いたのか、椅子から立ち上がりみんなに挨拶した。
「ケニーさん紹介しますね。アリスは知ってますよね。俺の友達の、ジャックとミーアです。」
「はじめまして!」
「はじめまして」
「薬剤師のリルです。」
「よろしくお願いします。」
「冒険者の、クシェル、アリーヤ、ファギーです。」
「よろしくお願いします。」
「いま、料理を作りに行ってますが、調理担当のマディです。」
「いろいろな方がそろってるのですね。薬剤師の方もいらっしゃるとは。」
「はい。ハルト様に助けていただいて、ここに住まわせていただいています。
今は家の家事などをやらせていただいています。」
「薬剤師の方が家事ですか・・。贅沢ですね。」
「今は、薬剤作る事があまりありませんので・・・。ケガはハルト様が直してしまわれるのです。」
「なるほど。ケガも直せてしまうのですね。
この亜空間もですが、回復術までとはとんでもないですね。」
「まあ、その辺はおいおいで・・・。あと、クシェル達には先日話した露店をやってもらう予定です。」
「いま、マディに教えて貰って料理を勉強中です。」
クシェルはとても楽しそうに、そう言っている。
「ケニーさん、まあ座ってゆっくりしてください。」
「はい。」
「朝食に露店で出す物も出して貰うので食べてみてください。
満足していただけるんじゃないかと思ってます。」
「マディさんの料理は最高ですよ。楽しみにしてていいですよ。」
クシェルが相槌を打ってくれた。
「そうですか、楽しみですね。」
ケニーさんは、座って周りを見渡し観察を続けている。
「ここも先ほどの、亜空間なんですか?」
「いえ。ここはアイカの南の森のさらに奥側です。」
「南の森ですか。こんな所があるのですね。」
開け放たれたベランダから外を眺めながら、ケニーさんはつぶやく。
ベランダからは、小さな畑と、奥に果実の木が何本も並び、
その奥に壁そして森と続いていくのが見える。
家自体も、部屋数が多く壁が木なので町で見る家とも大分違う。
多分ケニーさんも見た事の無いような家の作りなんだろうな。
「いえ俺が作ったんで・・・。元々はただの平原でした。家も俺の魔法で作りました。」
「なんと。こんな場所まで作れるんですか・・・。
普通の魔法使い様でも、1種類、多くても2~3種類の魔法しか扱えないと聞いてますが・・。」
あれ?そうんなんだ。
魔力量だけの違いだと思ってたけど、使える種類にも制限なんてあるのかな?
でも、使ってる感じだと種類の制限なんてかかりそうにないんだけど・・。
なにか違う理由があるのかもな。
魔法使いの知り合いが出来たら聞いてみよう。
マディが食事を運んで来た。
「出来ました。どうぞ召し上がってください。」
「豪勢な朝食ですね。」
「食事は、マディが頑張ってくれてるから豪勢なのです。」




