6.新しい解体場所
商品が決まって、人員が確保出来たら、次は設備か。
設備の露店や、荷物を運ぶ荷車なんかは、木材から作る事が可能だが、
どうしても足りないのは、鉄だ。
路上で火を使う為には、鉄がどうしても必要だ。
バーベキューコンロを作りたい。
この世界の鉄は、日本ほど気軽に扱える素材じゃない。
空き缶みたいな、使い捨て状態で使える程は出回ってない。
短剣程度でも、大銅貨が必要だ。
なので、武器などの刃の必要な物にのみ、鉄が使われている。
なので、大量の鉄が必要な鉄製の防具なんて見た事はない。
キッチン用品なども、銅で出来ている物がほとんどだ。
それも、非常に薄く延ばして、材料を減らしている。
鉄の入手方法ってどうするのが良いんだろう?
プレートメイルのような、鉄製の鎧とかが売ってたら、
鉄の確保も難しく無かったんだがな・・・鉄製の鎧なんて見た事も無い。
だからと言って、短剣や剣などを大量に購入して、鉄として使うには、
お金がかかりすぎる。
鉄の鉱山でも探して、自分で精製でもするのか・・・ってそんな所どこにあるんだ?
鍛冶屋とかに、加工前の鉄鋼を売って貰うっていうのもありか?
加工後の物を買って、作るよりかは安く上がりそうだしな。
まあ・・・売ってくれればだな。
あ!砂鉄ってどうだろ?
河原とかに行って磁石引っ張れば取れるんじゃないかな?
って磁石は・・・魔法で何とかなるのかも。
これは、今晩ちょっと試してみよう。
もしも、砂鉄が魔法で取れるのなら、これからの鉄ライフは各段に向上するぞ!
後は、料理の下ごしらえをする場所だな。
人員がそろったら、作業をする場所が必要だ。
肉を焼くだけの店と言っても、実際には作業は多い。
店頭では、肉を焼いて提供すると言うだけで、
料理は事前に終わらせておくと言う意味だからな。
事前の作業工程としては、
・獲物を狩る。
・狩った獲物の血抜きをする。
・肉を解体する。
・しっかりと熟成を行う。
・肉を1食で食べる量に切り分ける。
・叩いて、線維を切って柔らかくする。
・肉に串などで穴を開け、味がしみ込みやすくする。
・下味を付ける為の出汁に一晩浸ける。
・ニンニク、しょうが、ハーブと塩をしっかりと擦り込む。
・両面をしっかりと焼いて出来上がり。
1日に数百食程度の販売は出来るだろうから、下ごしらえだけでも数人必要になりそうだ。
さらに、その後料理を増やして行くなら、さらに人数は必要だろう。
この人達の作業場所の為に、今の倉庫を使うか・・・。
今の倉庫は、解体用に使っている。
でも、解体をここでやる意味としては、ハーリさんに来てもらう為だ。
今は、それほどハーリさんには来てもらってないから、解体の作業自体は、
家の近所に新たに作って、そっちに移って貰うか。
窓とか開けれるようになるので、臭いもマシになるだろうし、
わざわざ町に来る必要も無いだろうしな。
でも、ケニーさんにも相談してみるか。
出来れば倉庫はそのまま残して、別の所の方がいいだろう。
俺が露店で料理を始める事による、強みとしては、
まずは、味だな。
味が優れている理由は、
魔法での血抜き、正しい解体方法、ハーブなどの味付け、衛生面、露店で焼ける。
って所か。
他は、設備は大量生産に向く設備を作って上げれるだろう。
ただ、人件費をケチってもそれほど、メリットは無い。
いや・・・調理方法を知るものが少ないのはメリットか。
・・・ほかの強みは無いな・・・。
良い場所の確保が必要なのと、出来れば経営を他に任せたいのと、
広告や信用って部分も必要だ。
この辺りは、今後の検討だな。
とりあえず今の時点で考えられるのは、こんなもんかな。
あとは帰ってみんなにも相談してみよう。
俺は、家に帰ってお昼ご飯を食べながら、みんなに話をする。
「みんなに相談があるんだ。
今日、ケニーさんから専属契約の解除がされた。」
アリスが驚いて、
「え!どうして!ヘビの解体なにかおかしかった?」
「いや、そうじゃないんだ。
町の法律が変わったそうで、毒薬を売る事が出来なくなったらしい。
その為、俺との専属契約は打ち切りになった。」
「じゃあ、毒薬はもう販売されなくなったのですか?」
リルが興味を抱いたようだ。
「冒険者ギルドと、商業ギルドでのみ扱うようになったらしい。」
「あら。そうなんですね。」
「それで、収入が減るので商売を始めようかと思ってる。」
「商売って、商人みたいな事をするって事か?」
「ああ。露店をしようと思ってる。露店で料理を出すんだ。」
「おお!料理か!そりゃ~絶対売れるぜ!」
ジャックは、商人を始めるのが楽しみっぽい。
「はい。私も売れると思います。」
マディも、乗り気だ。
「その絡みで、倉庫を料理の下ごしらえをする為の場所として使おうと思ってるので、
解体場を、こっちに作ろうと思ってるんだ。」
「明日、ハーリに教えて貰うのは、大丈夫なの?」
「解体場は、今から作ろうと思ってるけど、倉庫の方はまだ手を付けないから大丈夫だよ。」
「分かりました。」
「あと、この露店を始めるのに人を雇おうと思ってるんだよ。」
「こちらに住むんでしょうか?」
「冒険者ギルドで紹介してもらおうと思ってるんで、こっちに来る事はないとは思うけど、
マディには教えて貰ったりしてほしいから、接触は出るかもだね。」
「はい。わかりました。」
「ご飯終わったら、解体用の建物作るね。」
昼食が終わったら、俺は外に出て、解体場の建築に取り掛かる。
家のすぐ隣くらいの場所に、倉庫的な大き目の家を作る。
高さは要らないので、家と同じくらいの高さにして平屋根だ。
中は良く洗ったりするので、井戸と、こちらにもトイレは必要なので、トイレも付ける。
後は何もない1フロアのみなので、柱を大きくして屋根を支えられるようにしておく。
骨組みが出来たら、家と同じく外壁は木で化粧して木造を装う。
中は、水洗い出来るように、土の壁のままにしておく。
床も同様に土を乾燥、圧縮して硬くして、水がしみ込まないようにする。
排水溝などを、浄化槽に行く下水道とつなげて大体完成だ。
2方向の壁は、取っ払ってすべて木のふすまに変えてしまう。
こうする事で、かなり大きく開く事が出来るので、臭いも籠らなくなるだろう。
アイカの町の倉庫に行って、荷物を取って来る。
解体中の物も含めて、すべて回収したら、作ったばかりの解体場に移動させる。
「これで大丈夫かな。」
「前より少し広くなってる?」
アリスが、出来たばっかりの解体場に入って来た。
「うん。キッチンとか無くなってるから、全体に大きくなってるよ。」
「これは・・・。全面開くんだね。」
アリスは、ふすまを開けて行く。
「これで臭いも籠らなくて済むし、風も通るから少しは涼しいだろうしね。」
最後に、家と解体場に移動する道に、裸足でも移動出来るように通路を作り、
屋根も付けておく。
まだ夕飯まで時間があるので、鉄収集が出来るのかどうか試してみる。
川に出かける。
この川は、南にある山脈から流れて来て、アイカの町の脇を通り、
北側に流れて海に続いているそうだ。
川辺は、小さな丸石が大量あり、ちょっと俺がこっちの世界に来る直前に居た、
川辺を思い起こすな。
こんな感じの所で、リーザに声をかけられたんだな。
あそこで、相手にせずに帰ってたら、体を貸すなんて承諾しなければ、違ったのかな。
ただ、恨んだりはしていない。
魔法も、5歳での生活も悪くない。
盗賊に襲われた時には、なんて世界だとは思ったけど・・・。
理想で言えば、魔法付き5歳に戻るなら、同じ世界であってほしかったけど・・・。
感傷に浸っててもしょうがない、鉄の確保だ。
イメージは磁石・・・それも特大の磁石だ。
出来た!と思った瞬間、周りから黒い砂が大量に襲ってくる!
「やば!」
すぐさま、解除して事なきを得たが・・・。
砂鉄って、そんなにある物なんだ・・・。
解除して飛び散った、砂鉄を浴びて、俺は真っ黒になってしまった・・・。
再度挑戦だ。
それなりの大きさの磁石にしておいて・・・磁力を徐々に強めていく。
どんどん集まってくる。
集まった砂鉄を、炭素を抜きながら集めて、ある程度の大きさにまとめては、
回収していく。
移動しながら、砂鉄を集めては、回収を繰り返し、結構な量の鉄が集まった。
砂鉄と言っても、純粋な鉄ではないので、集まった量に対して、
鉄部分の割合はそれほど高くないが、そもそもの量が多くあったので、
それほど時間はかからなかった。
これからも、鉄はこの方法で確保出来そうだな。
家建てる前にやったら、楽だった・・・。
そういえば、磁石の魔法が使えるって事は・・・。
磁石も作れるのか。
鉄にこすり付ければ、磁石になったはずだよな。
と言う事は方位磁石も作れるのか。
まあ、問題は、この世界でも磁力が方位によって存在しているのかどうかだけどね。
昔ニュースで、火星には方位の磁力が無いって言うのを見た事あったからなぁ~。




