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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
4.港町ウィダス
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4.魔獣狩り


「じゃあ、その辺の狩りしてくるね。遅くなるから先に寝てて。」

「は~い。行ってらっしゃーい」


夕飯を食べ終わった俺は、新しい家の近所の危険を排除しに行く事にした。

近くの森に入って、獣を一気に狩って、片っ端から回収していく。


随分狩ったので、今日はもうそろそろ、帰ろうかなという所で、

少し奥の魔獣の森と獣の森の境界くらいの場所に、魔獣が居るのに気が付いた。

「ちょと試してみようかな。」


初めての魔獣狩りだ。

どうせいつか魔獣は狩らないといけないんだ。


魔獣とは、魔法を使う獣だそうだ。

知能がある訳ではないらしいが、獣の特性として魔法を使うらしい。

爪で攻撃するみたいな感覚で、魔法を使って来るらしい。

その上、人間よりも魔力もあり、結構な回数使って来るのだそうだ。


冒険者が魔獣を狩る時には、20人以上のパーティーで、交代で囮になり、

魔法を使わせるそうだ。

魔法が切れたのを確認して、一斉に攻撃と言う流れらしい。


銀ランク以上や騎士団なんかは、事前に毒を用意しておいて、

見つかる前に矢などの毒の付いた攻撃を行い、それから戦うのだそうだ。


魔獣の種類は・・・アリだな。

周りを確認しても、他に魔獣はいなさそうだ。


気が付かれないように、近づき視認する。

30メートルほど距離はあるので、気づかれる事はないだろう。

アリの色は、赤黒い感じだな。

見たままアリの形なのだが、大きさは1mくらいある。

あんなのに噛まれたら、手足もげちゃうよ。

きっとそれなりに、動きも早いのだろう。

後は、何の魔法をしてくるかも分からないな。


甲羅の形に見覚えがあった。

あれは・・・。

銀ランクの冒険者が装備していた、胸当ての形だ。

と言う事は、これが素材か・・・。

とりあえず、売れるのだけは間違いなさそうだな。


周りに、他の魔獣がいない事を改めて確認してから、アリに酸欠を行う。

「避けた!・・・のか?」

酸欠を行う為に、アリの顔に魔法の触手を伸ばし、アリの顔を覆おうとしたら、

アリが急に動いたのだ。


すぐさま、もう一度魔法をアリに近づけると、魔法を迂回しながらこっちに向かってくる。

「魔法が見えてるんだ!」


これは、予想外だ!

魔獣は攻撃手段に魔法を使うだけだと思ってたが、魔法を視認出来るとなると、

こっちの遠隔魔法は封じられた事になる。


酸欠で倒せないとなると、石礫を風で銃のように打ち出す方法しかないのか?

それだと、獲物が傷物になってしまうのでまずいな。


酸欠は、相手の顔付近を魔法で覆って、その内部に存在する酸素を外に追い出す事で、

酸欠にさせている。


範囲を大きくすれば、避けられる前に酸欠に出来るんじゃないかな?

範囲10mくらいの膜を作り出し、相手の動きに合わせてアリを中に入れ込む。

範囲も、動き回るアリを追従するように、動かしながら中の酸素を抜く。

囲んでしまえば、見えてようが避ける事は出来ないはずだ。


アリは、移動して範囲から抜け出そうとするが、俺は逃がさないように追従する。

さらに、アリから魔法の触手が伸びて来る。

魔法を使うつもりだ。

俺は身構えて、いつでも後ろに回避出来る体制を取る。

だが、魔法は発動される事なく、アリは気絶したようだ。

「よし。」

ちょっと魔法使われそうで危険だったけど、不意打ちでこれが出来れば安全に狩れそうだな。


アリの血抜きってどうやるかわからないけど、仰向けにさせて首筋を切る。

血が出ないな・・・。魔法で吸い取ろうとしても無いな。

なんだこれ?


仕方ないので、首を切り落としてしまう。

昆虫って・・・血ってないんだっけ?

なんかイメージ緑色の血なんだけど違ったのかな?


「なるほどな・・・。これをこの方向で胸当てとして使うのか・・・。」

アリの死体の甲羅を触りながら、どうやって胸当てに使われてたのか納得した。

胸当てでは、甲羅の端に穴を開けて革紐を通して、胸当てとして着ていた。


今日は、この辺りにしておくか。

あまり欲張ってもだしな。


家に帰ると、みんな寝てた。

リルだけ起きてたようだ。

「おかえりなさい。」

「ただいま。まだ寝てなかったんだね。」

「いえ。さっきまでアリスと一緒に寝てました。

寝付いたみたいなので、部屋に戻ろうかと。」

アリスはいつも俺と一緒に寝てるので、誰かいないと寝れないみたいだ。


「悪いね。ありがとう。」

「いえ。・・・では、おやすみなさい。」

「おやすみ。」

俺は、そのまま寝室に行き、アリスの寝ているベッドに潜り込み寝る。


翌朝、朝のルーチンから始める。

アリス達が解体してくれた獲物を回収して、今日の解体の獲物を置いておく。

肉の熟成部屋に行って肉を干して、熟成が終わった肉は回収する。

今日の食事で使う食材などを、キッチンの棚の上に置いておく。

備品で足りない物なんかが無いかを、リルとマディに確認してから、

町に出かける準備をする。


今日町に行く目的は、物の販売と、ハーリさんに解体の依頼しに行く感じだな。

東通りの冒険者ギルドから、反時計回りに、ハーリさんの家、皮屋、

最後に西区のケニー商会だ。


冒険者ギルドに行って、依頼が出ている獲物の納品を行う。

あまり依頼が無いのに獲物を売却してしまうと、値が下がってしまうので、

依頼が出ている獲物のみ納品するようにしている。

それでも、それなりに納品の依頼はある。

大銀ランクはすべてのランクの依頼を受ける事が出来るので、薬草の採取の依頼から、

グリズリーベアの依頼まで出ていれば何でも受けられる。

と言っても、背負子に入る程度で、5歳が1人で運べる獲物の納品までしかしない。


依頼を見ているとそれなりに、情報も得る事が出来る。

素材として、どの部位が使えるのかとか、どんな薬草に需要があるのかとか、

募集が多い仕事はなんなのかとか、どこでの狩りが流行っているのかなんかも分かる。

なので、結構マメに依頼は見るようにしている。

噂話なども、掲示板を見ながら話してる人も多いので、仕入れる事も出来る。


冒険者ギルドでの納品は、ギルドマスターに紹介された担当者に個別に行っている。

もう何回も納品していて顔見知りなので、ギルド証などの提示も必要ない。

依頼の内容と納品物だけ渡して、確認して貰い、お金を受け取るだけだ。

向こうもギルドマスターからの指示もあり、余計な事は何も言わない。

大銀ランクに成って無かったら、こういう特別待遇も無かったかも知れないな。


冒険者ギルドが終わったら、次はハーリさんの所だ。

「おはようございます。」

「あら、ハルト。おはよう。」

今日は、ロベルトさんは居ないようだ。

「また、解体お願いしていいですか?」

「ええ。大丈夫よ。明日で良いのかしら?」

「はい。お願いします。」

「今回の獲物はなに?」

「魔獣なのです。アリです。」

「魔獣ですって!」

「ええ。アリなんですけどね。」

「すごいわね・・・。とうとう魔獣も狩りだしたのね。」

「まあ・・・。今後、魔獣狩りは増えそうです。」

「増えそうって、そんな簡単じゃないわよ・・・。気を付けてね。」

「はい。ありがとうございます。では、明日お願いします。」

「分かったわ。また、明日。」


早々にお暇して、次は皮屋だ。

皮屋では、ヘビ皮とオオカミの皮などの解体済みの獲物の販売だ。

オオカミや、シカなども、アリス達は解体出来るようになっているので、

この辺りの納品も出来るようになっている。


次は、ケニー商会だ。

その後は、買い物だけして帰ろうかな。

そう予定を立てながらケニー商会に行くと、ケニーさんが商会の前に立っていた。

「ああ。ハルトさん。よかった。お話したい事があります。奥へどうぞ。」

「はい。」


奥の執務室に連れて行かれ、ソファーに座る様に促される。

俺がソファーに座ると、すぐさまケニーさんが話出した。


「ハルトさん。本当に申し訳ないのですが・・・。

専属の契約を解除させていただきたいのです。」

「どうしたんですか?」

「・・・はい。今後、毒薬の販売が、ギルド以外で禁止される事になりました。」

「どういうことです?」

「ちょっとややこしい話になるのですが・・・。

まずは、事実だけお話します、その後私の予想をお話します。」

「はい。」


「この町の貴族の方から、通達が来ました。」

『毒薬は非常に危険な薬物の為、購入者を厳選する事。

そして購入した物が誰なのか、何の為なのかをしっかり管理する事。』


「その通達があった事で、通常の販売を禁止されたのです。

我々の商会では、身元の確認を確定する事が出来ないのです。

なので、結局身元確認が出来る、商業ギルド及び、冒険者ギルドのみの販売になります。

商業ギルドでは、貴族に対してのみの販売で、

冒険者ギルドでは冒険者にのみの販売になります。

それぞれのギルドで、数量と購入者を確認して、報告する事になりました。」


「こっちで作ってギルドに下ろす事は出来ますよね?」

「それも可能です。しかしかなり安くなるのです。

商品価格の3割が良い所ですので、利益はほとんど出ないので、

この商売に手を割くくらいなら、本業の塩の販売に集中した方が良いのです。」

「なるほど・・・。そう言う事ですか・・・。

毒腺に毒薬以外の使い道は無いんですか?」

「今の所、発見されてないと思います。」


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