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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
3.襲撃
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16.冒険者ギルド登録(4)


ギルドマスターは俺を値踏みするように見ながら、

「お前・・・傷なしでウサギや熊をどうやって狩った。」

「それは、冒険者ギルドでは、聞かないってルールになってるって、

聞いてたんですが・・・。間違いだった?」

「場合による。そのやり方が判れば、今後のギルド運営にメリットが大きい。」

「教えません。」


ギルドマスターは、俺を威嚇する目つきになり、しばらく考えたあと、

「・・・だろうな。お前は、そのやり方で今後も狩が出来るのか?」

「ええ。」


ギルドマスターはしばらく考えた後、

「グリズリーベアは買い取ろう。正当な金額でだ。すぐに査定始めろ。」

「はい。」


「坊主。聞きたい事がある。それにギルド登録の手続きもあるから、俺の部屋に来てもらおう。」

「判りました。ちょっと待ってください。」


俺は、バーナードさんに別れを告げる。

「ありがとうございます。いろいろお手間をおかけしました。」

「また、依頼があったら声かけてくれ。」


あとは、解体の人に、

「荷車はギルドでお借りしてたものです。これで返却って事でいいですか?」

「ああ。了解だ。保証金は買い取りと一緒に渡すようにするから。」

「はい。」


ギルドマスターに向き直り、

「お待たせしました。」

「ついて来い」


ギルドマスターについていき、執務室のような所に通された。

「まず先に、お前にウサギ大銅1枚って言った、スタッフの名前は判るか?」

「名前は判らないですが、2日前に来た時に、

獲物買い取りの受付にいた、40代くらいの女の人です。」

「おい・・・ベスに話を聞いてこい。」

「はい。」

「悪いな・・・。

スタッフの中にも、相手を見て金をかすめ取ろうとするやつがいるんだ。」

「俺は、あれが全員のやり方かと思ってました。」

「そんな事はねぇ。

俺たちは王国から、誰からも正当に獲物と買い取り、

正当に売る事ってお達しが来てるんだ。

そんな事をしでかした奴には首になってもらう。」

「まともな組織らしくてよかったです。」


「・・・お前の事を少し聞きたい。ギルドに入りたいって?」

「はい。ギルド証が欲しいんです。

外に泊りがけで、狩りがしたいと思ってます。

未成年だと外に出たら帰って来れないですから・・・。」

「じゃあ、登録だけじゃあダメだよな。

大銅以上にならないといけない。その情報は誰から聞いた?」


「南門の門番のロベルトさんです。」

「ロベルトの知り合いか?」

「ロベルトさんにも、奥さんのハーリさんにも良くしてもらってます。」

「ハーリも知ってるのか。」

「解体を教えてもらったり、皮屋を紹介して貰ったりしました。」


「ん?皮屋?という事は、皮は皮屋に直接下ろしてるのか?」

「はい。専属って事で皮は買い取ってくれるそうなので・・・。

前回のウサギが冒険者ギルドで売れなかったので、そっちでお願いしています。」

「・・・ベスの罪はさらに重いな。」

ボソッとギルドマスターはつぶやいた。


「肉や素材はどうしてる?」

「ヘビの頭は、ケニー商会の専属になってます。ほかは、食べたり保管してたり。」

「くそ!素材も取られてるのか・・・。お前は、どれくらいの頻度で狩りしてるんだ?」

「う~ん。昨日はヘビを5つほど納品してます。

一昨日は、シカとヘビ2匹、その前はウサギとヘビだったかな。」

「本当にそんなに狩ってるのか!!」

「はい。」

「本当なのかどうかは判らないが・・・。調べればすぐに確認できそうだな。」

「そうですね。ハーリさんとハーリさんに紹介してもらった皮屋さんに聞けば、

確実だと思います。」


「次は、グリズリーの事だ。

お前が1人で狩ったと言うが、本当にあのグリズリーベアを1人で狩ったのか?」

「はい。証拠はありませんが・・・。

でも、複数の人数で狩ったとしても、傷が付かずに倒すことは難しくないですか?」

「なるほど・・・。

俺の知らないやり方で、お前は1人でグリズリーを傷なしで倒せるって事か。

さらに言うと、そのやり方はグリズリーだけでなく、シカやヘビを大量に狩れる方法だと?」

「その通りです。」


ここでは、自重せずに、強さをアピールしておく。

そうじゃないと、子供には、大銅渡せないとか言われる可能性とかもあるかもしれない。

それに、冒険者ギルドのマスターと言う立場の人が、俺を有用と思って貰えれば、

今後が楽になる可能性がある。

特に、狩りの獲物を売る事が出来るギルドなので、狩り主体で稼いでる俺としては、

真っ当な値段でいくらでも買ってくれるギルドには、今後もお世話になるだろう。

「なるほどな。」


執務室のドアがノックされる。

「はいれ。」


さっき、ベスって人に話を聞きにいった人が戻って来た。

「ベスからは否定でしたが、周りの人間は聞いていたようです。

浮浪児に黒耳ウサギ返せとか叫んでたらしいし。

愚痴ってたのを聞いたやつもいた。

その子の言っていた通りっぽいですね。」


「ほかにもやってた可能性もあるから、捉えて尋問してから首にしろ。

それと、ハーリに話を聞いてこい。

ハルトって子の獲物について聞けば判るそうだ。」

「ハーリですか?」

「なんでも、ハーリの所で解体を習ったらしい。」

「判りました。」


「坊主の冒険者ギルドへの加入を認めよう。

今回、グリズリーベアを狩った功績を認めて、大銅への昇格も認めよう。」

「ありがとうございます。」


「それと、ギルドの試験を受けて貰う。」

「試験ですか?」

「ああ。軽く手合わせしてもらう。」

これはまずいな・・・。魔法までは見せたくないので、避けたいところだ・・・。


「試験がいるんですか?・・・それって受けないとダメです?」

「なに、刃のついてない木の武器で、軽く手合わせするだけだ。

見るのは、殺気を当てられても、逃げないかどうか程度だ。」


う~ん。やばいなぁ・・・。

こんな試験の話なんか聞いてないよ・・・ロベルトさん。

魔法で何とか誤魔化して出来るかなぁ・・・。

「・・・分かりました。やるだけやってみます。」

やらないと貰えないならやるしかないんだろう。

試験までに、なんとか考えないとな・・・。


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