11 罰
前回に1文追加しました。
最後からカギカッコ4つ前です。
再び、時が止まった。
二ルソニア達も固まった。
だが、彼女たちの思考は、止まっていなかった。
「ローゼ。ねぇ――ローゼ」
ネットリと、問いかける。
同時に二ルソニアの笑顔も深まった。
ただし、緋色の目は笑っていない。
「な、なんでございましょうかお嬢さま」
ローゼには、二ルソニアが何故こんな態度を採っているか、心当たりがあった。
雑談は途中で切り上げる。寝ている最中にいたずらしても、一切反応がない。
それぐらい、二ルソニアの心は閉じていた。
正確には、ある一定ラインより奥には踏み込ませなかった。
それが、―――100年もあったのだ。いくつも見ていただろう―――怖い夢を見た程度で、ローゼのベットに潜り込んだ。そして馬鹿騒ぎにすら付き合った。
――寝ぼけて、ローゼを『お母様』と思った。
これらは、心を開いていた証拠だった。
だというのに、ローゼは――
メイドの頬を冷や汗がダラダラと伝う。
目が泳ぎそうになるが、どうにか耐える。
その光景が見えているのか、いないのか、
主は、トーンを落として言う。
「年甲斐もなくはしゃいでしまったわ。情けない姿を見せたわね」
先程と同じ――まではいかなくとも、似ている科白を放つ二ルソニア。
……失態を犯したローゼに、寛容にも卍解の、否、挽回のチャンスをくれるようだ。
ローゼは、ホッと一息吐いた後、主の質問に答える。
「いえ、全然。むしろ可愛かったです。特に――」
が、
「ホント? 嫌じゃなかった? 本音隠してない?」
二ルソニアが、ローゼの台詞を遮って、言葉を発する。
口を開いたことにより、いっそう八重歯が鈍く光る。
鋭く冷たい視線が、ローゼを貫く。
どうやら、無かったことには、してくれないらしい。
それどころか、掘り起こし暴こうとしているようだ。
だが、メイド兼奴隷のローゼにとって、本気の主に逆らう事はしたくない事だった。
(この二人の奴隷契約は少々特殊で、あまり強制力が無い。奴隷首環も付けていない)
「ええ、隠してるわけないじゃないですか。とても至福のひと時でした。我々の業界ではご褒美です」
逆らいたくはない、逆らいたくはないのだが、若干、誤魔化しにかかるローゼ。
だが、
「我々? 他に誰かいるのかしら?」
「……私にはご褒美です」
「……まんざらじゃなかったのね、あの行為。私、血が出るぐらいには、あなたの乳房噛んだのだけど」
冷たい緋い目に、見抜かれてしまった。
これで、ローゼは、3歳程度の幼女に欲情する人間の1人となった。ローゼは、二ルソニア以外の3歳児には興味がないが。
ロリコン認定(二ルソニア限定)を受けたローゼ。
内心、焦っていた。
(どうしましょう。どうしましょう。二ルソニア様に嫌われてしまいます。……いや、それもご褒美なのでは?)
・・・案外余裕であった。
1時の気の迷いであってほしいが。
だが、1度外れた心のタガは、そう簡単には戻らない。
(もう、こうなったら、いっその事、襲ってしまいましょうか。ベッドの上ですし)
ジュルリ。
ローゼが、いつの間にか、
肝が据わった顔つきで舌舐めずりをしていた。
† † †
ゾワッ!
ローゼの心の中はわからなくても、身の危険を覚えた二ルソニア。
今のローゼは、猛獣が黙って逃げたすほど滾った目をしていた。
(これはしたくなかったけど、仕方ないわよね。この子が悪いんだから)
今から行われるのは、主が、おいたをした、またおいたをしそうになった奴隷に対してする罰。そう折檻である。
だが、ローゼと二ルソニアは10年間共に育った。
それ故に、二ルソニアは知っている。
通常の折檻では懲りるどころか、反撃すらしてくるだろう、と。
(どうしようかしら、何かいい案は……そういえば1度も試してない罰があったわね)
なにかいい案を思いついたようだ。
短い? 先週の反動だ。
次回、「悪夢再び」




