転生
テンプレ乙って言わせます。
『貴方は死にました。』
その女性は目の前の光の塊にそう話しかけた。
女性と光は気が狂いそうな赤しかない異空間にいる。
どこまでも怖くて、気持ち悪くて、負の感情を煽り続ける。
だけれどどこか安心感を与えてくれるような不思議な赤でもある。
だが、同時にその二つが存在するからこそ、正常じゃないとも言えるだろう。
『貴方には転生してもらいます。』
光の塊は興味なさげにゆらゆらと漂う。
『この先どんな運命が待っていようとも、どうか後悔のないように。』
光の塊は女性に振り向いた気がした。
『…ええ、異世界です』
光の塊はなにかを女性に聞いた気がした。
『前世よりもいい死に方ができるか…ですか、答えは貴方次第、そんなのは私にもわかりません、ただ、一家心中よりはマシな死に方にはなるかもしれませんね。』
光の塊は一瞬だけ黒が混じったような光を放った。
『まぁそれほど怒ってはいないようですね』
光の塊は頷いた気がした。
『そろそろ時間です、異世界をどうぞお楽しみを』
光の塊は魔法陣に囲われると少しずつ消えていった、だが最後に女性の声が聞こえた。
『その転生!ちょっと待った!』
どこか焦っているのが印象に残った。
僕は変な赤い世界から異世界に転生したらしい、最後に何か言っていたけど聞き取れなかった。
まずは自分を確認しよう。
この世界の常識やらは知識としてすり込まれている。
視界は高いのと低いのが同時に存在していてすごく気持ち悪い感じだ。
左腕と右足は無い、熱さや寒さ、睡眠欲と性欲はほぼ無い、食欲はないこともないがお腹が空くとかはなさそうだ。
服装はボロくてわからないが、黄色いドレスのようだ。
……なんか色々とアレじゃない?
ていうか人形じゃね?この体
そしてここは老朽化したクソボロイ屋敷だ。
こうして僕はよくわからない場所によくわからない物に転生した。
ステータスもある、こんな感じで
魔物名:爛れた人形 [ユニーク]
名前:ルイ
LV:1
ランク:G
総合戦闘力:3
スキル:【人形の異常耐性】【念力LV1】
【言語理解LV10】
ランク=世界基準の強さ
脅威度=存在としての強さの数値
スキル=その者が出来る事
まぁ、とりあえず頑張っていく方面で、僕は生きていこうかと。