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解りあえない価値観

 うちに超イケメンのホームステイがやってきたということになりました。

 金髪だし無駄に顔整ってるしとっても素敵じゃないか。猫耳さえなければな!


 お兄ちゃんの説得とジャックさんの魔法により見事にお父さんもお母さんも騙されております。

 てか魔法使えんじゃん。

 魔法で猫耳なくしたら? って言ったら「まだ魔法がうまくコントロールできなくて」とまた耳をしゅんとさせたのが可愛かったので許した。可愛いは正義。


 お父さんとお母さんはそういうファッションが流行ってるんだと思って「最近の技術はすごいわねぇ! 本物みたい!」と感動していたから「そだね」と返してそっとしとくことにした。内心は「そんな訳あるかー!」と突っ込みたかったけどぐっと堪えた私偉い。

 とりあえず今の所ジャックさんがいた世界(お兄ちゃん曰く異世界)に帰る手段もないしどうすればいいのかもわかんないということで「それじゃあこの世界を案内してあげればいいじゃないか!」とお兄ちゃんに言われて私は今ジャックさんと街をぶらぶらしております。


 本当はお兄ちゃんも来たかったみたいだけどバイト行かなきゃいけないらしく今日から泊まり込みで夏休み中帰ってきません。


 はっ、ざまぁ。


 そんな私は夏休みの予定が特になく、まぁいわゆる暇人というやつで……なんかちょっと切なくなった。どうせ彼氏とかいないよ畜生。


 あ。そうそう。お出かけという事でジャックさんは猫耳を帽子で誤魔化し、お兄ちゃんの服に着替えました。

 だって明らかRPGの世界から飛び出てきましたって感じの服だったからね。だから隣にいるのが嫌になるくらいカッコいいです。何このイケメン。

 そしてそんなイケメンをギラギラとした目で見つめるお姉さん方の視線が半端ないです。


 狙われてる! めっちゃハンターに狙われてるよ! ジャックさん! そんな自販機に目を輝かせてる場合じゃないよ! 可愛いな!



「ひなー! ここなんか綺麗だから入ろ!」

「いやいやいや確かに綺麗だけどそこランジェリーショップだから!」

「らんじぇり??」

「女の子の下着売ってるとこ」

「っ!! す、すまんっ!!」

「いや、いいけど。気にしないし。他のとこにしよ」



 視線を彷徨わせているジャックさんの顔は真っ赤だ。年上イケメンなのに初心とか何なの。ギャップ萌えを狙っているの? クリーンヒットです。

 ジャックさんはオロオロしながら「じゃ、あ、あそこは?」と指差した。そのお店の看板には大きく『100yen』と書かれている。



「100均だね。いいよ。行こっか。あそこに売ってるものは何でも100円なんだよ」

「ひゃくえん? 安いのか?」

「安いよ。気に入ったのがあったら買ってあげる」

「いいのか!?」

「いいよ。100円だし」

「本当か! ありがとな、ひな」



 本日一番のシャイニングスマイルを頂きました。うわぁ、眩しさに浄化されそう。

 終始目を輝かせていたジャックさんをナンパなお姉さん達からそれとなく守るのは大変だったけど、あれだけ楽しそうにしてるなら連れてきてよかったかな。


 ――ジャックさんのセンスは理解できなかったけど。


 

「何でこれを選んだし」

「カッコいいじゃん!」

「……」



 主にどの辺が? と聞きたかった言葉は口から出て来ませんでした。どこからどう見ても孫の手だよね。

 わぁ! ゴルフボールが反対側に付いていてかっこ良……くはない。

 私たちがわかりあうことはないのかなとジャックさんにちょっと壁を感じて思わず遠い目をしてしまった。

 


 ……背中が痒くなったら借りよう。

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