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96 帰宅

 初めての狩りの旅はなんだかんだで無事に終了。

 マザーが迎えに来てからは、3日ほどかけて自宅へ戻った。


 なおゲームみたいに巨大なマザーの上に乗っかって、自宅までひとっ飛びで到着なんてことはできない。

 超高速で飛んでいるマザーの上にいれば、風圧で確実に落とされる。


 ならばマザーに地面の上を歩いてもらって、その上に乗っていればよさそうだけど、マザーが1歩歩くだけで、上下の揺れが凄まじい。1歩動くだけで、そのたびに上下に数メートルは揺れてしまう。

 そんなところに乗ってたらいくらドラゴニュートの僕たちでも酔う。そして確実に落っこちる。


 てなわけで、帰りは自分たちの足を使っての歩きだ。

 ただマザーが同伴だったため、帰りの旅路ではモンスターにまったく出会わなかった。

 地面の中に身を潜めている砂蜥蜴も、群れで行動する砂狼も、全く視界の中に入ってこない。


 超巨大なマザーにビビって、全ての生き物が遠くへ逃げてしまうのだろう。




 そんなこんなを経て、いざ自宅へ帰ってきた。


「うおおーー、なんか懐かしいなー」

 そう言って、木造の巣の中でゴロリと横になるミカちゃん。


「クンクン。あれ、家の中ってこんな匂いがしてたっけ?」

「あら本当ですね」

 レオンとフレイアは久々の帰宅で、家の中にする臭いに違和感を覚えている。


 ちなみに僕たちが住んでいる家の中は、割と血の匂いが濃い。

 生まれた時からモンスターを食べまくってるから、当然だよね。一応掃除はしているけど、それでも抜けきらない血の匂いが染み込んでいる。


 そう思うと、我が家はマジもののモンスターハウスだね。

 モンスターが大量にいるって意味でのモンスターハウスでなく、モンスターが殺され、食われれまくっている家という意味でね。



「レギュラス兄上、持ち帰った物はどこに置いておきましょうか?」

「とりあえず倉庫部屋に頼む。整理は後でゆっくりとやって行こう」

『分かったー』

 リズの質問に答えておく。

 それに変身(メタモルフォーゼ)の魔法でドラゴニュート化しているドラドが返事をした。


 今回の旅では植物の種や鉱石、羊毛など、色々と新しい物を手に入れた。

 僕としては木材も入手したかったけれど、自宅西側(正確には西北西)の平原は草は生えていても、木は1本もはえていなかった。

 案外、この辺りでは木材が貴重なのかもしれない。


 でも、我が家に初期からある巣は木材でできてる。

 別の方角に行けば、案外近くに木がはえてるのかもしれない。



 そう言えばマザーも、南には森林が広がっていると言ってたから、そっちに行けば木が手に入るかな?


 南にもその内いく事になるだろうから、その時に木材を手に入れるとしよう。




 その後は、兄弟全員で荷物を倉庫部屋へ運んでいく。


「フンフンフンー」

 新しい収穫物の数々に、尻尾をフリフリ上機嫌な僕。


「あー、家に帰った途端に早速荷物運びとか面倒くせー」

 とは、ミカちゃん。


「カニの甲羅の盾ですけど、これって邪魔にしかなりませんでしたよね」

「……そうだね」

 これはユウの指摘。


 以前作ったカニの甲羅の盾は、1メートル程度の大きさがあるので、体全体を守れる。だけど大きすぎて、持ち運びに凄く不便だった。

 重量の面では問題なかったけど、運搬の事を考えると、ただのいらない子だ。

 それに今回狩りをしたモンスター相手では、ドラゴニュートの僕らの方が圧倒的に強かった。

 僕たちの防御力を前に、傷一つ付けられないモンスターたちだったから、盾を持っていく意味すらなかった。


 それでも、将来的には防御力頼みで済まないモンスターにだって、遭遇することがあるだろう。


「今度、もっと小さい盾を作れるといいな……」

 とりあえず今の資材では無理なので、将来の予定ということにしておこう。

 竜皮のマントと同じで、結局この盾もお蔵入り決定だ。



「ハグハグ、うっ、にがーい」

「レオン、何を食べているのですか?」

「種」

 荷物運びをしている最中、フレイアのリュックの中に入れていた種を食べていたレオン。


 ――をぃ、なぜ勝手に食べる!


「これ、ちっとも美味しくないよ」

「ハムハム……」

 フレイアも味見して、変な顔をした。


「レオン、水を下さい」

「うん、これは水で飲み込まないとダメだね」

 なんて感じで、この2人は暢気だった。



 なお、この種は地中に落花生っぽい実を作る食物の種だ。ただ味が悪いので、品種改良をしようかと僕は考えていた。

 まだ2人の食べ残しの種が残っているから問題はない。


 でも品種改良しようにも、自宅周辺には岩とコンクリートのように固い地面ばかりで、畑に使える場所がなかった。


 まあ品種改良はすぐに成果も出ないので、余暇の畑いじり感覚でやってみようという、軽い気持ちしか今のところなかったりする。


 品種改良は、一度取り掛かれば数十年単位で時間をかけていかないといけない作業だ。

 それだけの時間があれば、別の場所を探索した際に、もっと食用に向いた木の実を発見してそうだ。



「……」

「GYAOーGYAOー」

 そしてリズは黙々と荷物を運び、ドラドは尻尾をフリフリ鼻歌交じりで荷物を運ぶ。


 リズは僕たち兄弟の中でも特に力がある。そしてドラドは兄弟随一の力持ち。

 外見がリザードマンそっくりのリズと、ドラゴンそのものの外見のドラドは伊達じゃない。

 まあ、今のドラドは変身(メタモルフォーゼ)によって、ドラゴニュート形態になっているけど、この姿でもドラドの力は兄弟の中でもっととも強い。


 2人は野営で使ったテントや鉱石などを軽々と抱えて、倉庫部屋へ運び込んでいった。



「てさ、これで荷物も運びこんだし、久しぶりの我が家だ。今日はゆっくりしよう」

「ウエーイ」

 僕の言葉に、ミカちゃんがダラケながら返事を返した。


 見た目は幼女でも中身がおっさんらしく、床の上でゴロンと横になる。

 畳に寝っ転がるおっさんそのものだな。


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